社会貢献活動(CSR)

時には昔の話を

大地を守る会 40周年記念対談[中]

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対談

対談は加藤さんの事務所の一室で行われました。

大地を守る会は今年40周年を迎えました。設立からこれまでの長い道のりを支えてくださった恩人の一人が歌手の加藤登紀子さん。加藤さんのお連れ合いは大地を守る会初代会長の故・藤本敏夫さんです。今年デビュー50周年となる加藤登紀子さんと、大地を守る会代表取締役社長・藤田和芳との特別対談が実現。大地を守る会の「これまで」と「これから」を語り合いました。

 

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政治の季節から、命の営みへ

藤田 75年には、有吉佐和子『複合汚染』が出版されました。『複合汚染』は僕がこの会を始める大きなきっかけでもあります。私たちが学生のころは、ベトナム戦争から日米安保条約まで、世界中が大きな「政治の季節」でしたから、僕も世の中を変えようと学生運動に参加しました。しかしその運動は、最後には連合赤軍事件のように同じ仲間どうしが傷つけあうところまでいってしまった。卒業して就職しながらも悶々としていた僕は、『複合汚染』を読み、政治運動以外でどうすれば社会に対して働きかけられるのだろうかと問い直したときに、原点に返ろうという気持ちになったんです。それが第一次産業であり、私の実家の家業でもある農業だった。そこが、藤本さんと出会って話していてすごく気持ちが合ったんですね。 加藤 藤本は69年の7月に、ベトナム反戦デモの後で学生運動が四分五裂の悲惨な状態になってしまったのを見て、「この地球の上に人間は土下座して謝らなあかんな。もうゼロからやり直しや」と。労働者と資本家との戦いというくくりではなく、自然と人間とはどうやって向き合うのか、自然の破壊者としての人間をどうやって律して、バランスのとれたライフスタイルを作っていくのか、から考えようと。 藤田 藤本さんは、日本の家族とか、農村にあったような「結い」のような人のつながりみたいなものをイメージしていました。それを農業という、命に関わっている人たちからもう一度学び、新しい日本の社会を展望するようなものを作りたいと考えていたと思うんですね。
大地を守る会代表・藤田和芳

大地を守る会がなくなるような世の中を目指します

  加藤 当時、藤本は、日本のどこかに入植することを考えていました。 藤田 結局、藤本さんは81年に、千葉県鴨川市に農事組合法人「鴨川自然王国」を作り、移住すると同時に大地を守る会の会長を降りました。「自分は農民になるんだ」と言って。 加藤 大地を守る会を藤田さんが続けていってくれるのなら、自分は生産者の側に近いところにいって次のテーマを見つけていく、と。 藤田 こんなことがあったんです。ある日、大地を守る会の目標とは何かを藤本さんたちと議論してたときに、「究極的には大地を守る会という組織がなくなってしまうことだ」と。つまり、いつか日本中に農薬を使う人たちがいなくなって、どこでも有機農産物が買えるようになるということが目標だ、と。 加藤 いつまでも大地を守る会が大事にされるような社会じゃむしろだめだという話だったのね。いい話。でもそうはなっていかなかったのね。それが創立40周年の意味ですよ。 藤田 現実は、残念ながら、我々が今でも大事にされるような社会であり続けています。 加藤 私は「土と平和の祭典」や、9月に開催された「ラブファーマーズカンファレンス」といった農業に関するイベントに積極的に関わっています。「土と平和の祭典」はもう9回目になるんですが、農業という現場と対話を続けることができたことは本当に良かったと思っているんです。Yaeが結婚して鴨川自然王国を継ぐことになったときにこう言ったんです。「パパは農業という現場を『運動』として捉えていた。でもね、私たちはここを『暮らし』の場として捉えてますから。そこを勘違いしないでね」と(笑)。それがすごくかっこよく聞こえたんですね。藤本も暮らしの場としたかったんですが、私がついていかなかった(笑)。藤本が他界して「鴨川自然王国の跡を継げよ」というメッセージは伝わっていたので、それが胸にとても痛かったんですね。でも、結局Yaeたちがそこに住むことになり、私ができなかったことを超えていってくれる。今の若い人たちが新しい可能性と発想で、どんどん農業の現場に移住している。60年、70年代初頭までの運動のイメージとはまったく違うものが生まれてきてるんだなと思いますね。   加藤登紀子 1965年にデビューし、「百万本のバラ」「ひとり寝の子守唄」など日本の音楽シーンに残る数々のヒット曲を生み出す。世代やジャンルを超えた活動は歌手という枠に留まらず日本を代表するアーチストとして国際的に活躍。   大地を守る会40周年記念対談[上]はこちら 大地を守る会40周年記念対談[下]はこちら

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。