フードレポート

多様性か効率か、二者択一とはいかない現実

タネについて考えてみよう

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山形県の庄内地方の在来種「だだちゃ豆」は、庄内地方の人々が良い味のものを選抜しタネを採り続けて今に伝わるおいしい枝豆。タネにはそれぞれ長い長ーい時をわたってきた物語があります。

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親の性質がそのまま伝わらない「F1」

家庭菜園で野菜を栽培しています。時折植えた記憶のない野菜が芽を出すことがあります。おそらく前年に栽培した野菜のどれかからタネ(種)がこぼれ落ちたのでしょう。

菜園の環境に適応しているらしく、病気にも虫にも強く雑草のように育つのですが、親と同じ姿形をしていなかったり味がよくなかったりするため、自家用にするには良くても販売には向きません。これが一代交配種(F1)。その世代においては素晴らしいものができますが、次世代にその性質がそのまま伝わらないのです。


現在日本で売られている野菜のほとんどがF1です。作りやすく作業効率がよく、病気に強く正品率も高い。いいことばかりのF1ですが、ひとつ弱点があります。それは自家採種できないこと。

前述の野菜のように、親の持つ性質がそのまま子に伝わらないため、農家は自分でタネを採ることができません。実は農家がタネを買うようになったのはここ数十年のこと。そうなるまでは自分の畑でタネを採っていました。

F1という新しいタネが登場して以降、農家はタネ採りができなくなりました。農家は日々忙しく、買ったほうが手間がかからないという側面もあり、在来種や性質の変わらない固定種を選択して栽培する人はごく少数派。タネは今やビジネスとなり、農家は毎年何万円ものタネ代を支払っています。

 

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誰かがタネを採り続けることで継続する在来種

そうは言っても買う価値があるのがF1です。病気に強いもの、味の良いものなど、作りやすく作業効率が大幅に上がるF1を選択するのは当然でしょう。また仮に固定種や在来種を作っても、売りにくいという問題があります。手間がかかるこれらの品種を作るのなら、それに見合った売価が必要ですが、安価なことに価値がある現在の日本ではそういう野菜は売りづらく、ますます作られなくなっていきます。


古来より誰かが採り続け、食べ続けてきたことで現代まで存在している在来種。このわたしたちの財産を、そのまま次世代に伝えるのが今に生きるわたしたちの仕事でしょう。しかし、作られなくなりタネが採られなくなると、その品種はそこで失われます。

現在、世界中からものすごい速さでタネが失われていると言われています。この速度に歯止めをかけることは可能でしょうか。
みなさんが今日食べる野菜はおそらくF1だと思います。その野菜の出自について、タネについて、また、種の多様性について、少しだけ考えてみてはいかがでしょう。考えることで何か変わるかもしれません。

 

文・写真/手島奈緖(てしまなお)
食料ジャーナリスト。2010年「ほんものの食べものくらぶ」を設立、食べる人と作る人をつなぐ活動に取り組んでいる。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。