フードレポート

注目の食料ジャーナリスト手島奈緒がお届けする、本物の食べ物レポート

加工食品のラベルでわかること、わからないこと 「原材料表示の裏のウラ」

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全原材料が表示されているわけではない「一括表示」

お店で売られている加工食品の裏側にある一括表示をご存じでしょうか? これは商品の原材料が記載されている、言ってみれば加工品の履歴書のようなものです。どのようなもので作られているか、気になる人は必ず目を通す部分ですが、平成23年の消費者庁の「食品の表示に関する消費者の意向等調査」によると、一括表示を見る人は43.5%しかいないという驚愕の結果が報告されています。意外と気にしない人が多いということなのかもしれませんね。この一括表示、実は全ての原材料を表示しているわけではないのです。 たとえば、原料の食品(物質)を作る際に使われる加工助剤、原料の添加物等のキャリーオーバー、原料がすでに加工されている場合、その原料について表示義務はありません。少しわかりにくいですね。某市販品メーカーの「どら焼き」を例にあげてみていきましょう。一括表示には以下のように記載されています。

 

『小倉あん、小麦粉、玉子、砂糖、ぶどう糖、水あめ、オリゴ糖、蜂蜜入り液糖、本みりん、濃口しょうゆ、重曹、イスパタ(膨張剤)』

一括表示は重量順に記載されますから、このどら焼きは小倉あんの重量が一番多いことがわかります。では小倉あんの原材料はどうでしょう。

『小豆、上白糖(さとうきび)、上白糖(テンサイ)、水あめ(コーンスターチ)、水あめ(馬鈴薯でんぷん)、水あめ(甘藷でんぷん)、寒天』

水あめのコーンスターチの由来を確認したところ、遺伝子組み換え作物でした。さらに水あめの加工助剤を見てみます。

『水酸化カルシウム、シュウ酸、リン酸水素ナトリウム、イオン交換樹脂、αアミラーゼ(※GM酵素)、βアミラーゼ、イソアミラーゼ、珪藻土、活性炭』

いろいろな物質名が並んでいますが、これらはその食品を加工する際に使用されるけれども最終製品に残らないという理由で表示義務はありません。残っていないという点では問題ないと思いますが、消費者には直接見ることができない原材料はたくさんあるのですね。

 

このように、どら焼きの原材料の一つひとつにキャリーオーバー、加工助剤があり、中には遺伝子組み換え作物由来の添加物なども含まれていますが、それらを消費者が直接知ることはできません。わたしたちは加工品を口にすることで、思ってもいないさまざまな物質を体内に取り込んでいるとも言えます。 安心して食べられる材料だけで加工品を作るのは、至難の業なのかもしれません。ともあれ、食品の裏側(一括表示)を見ることは習慣にした方がいいでしょう。わたしたちの体は自分が選択して口に入れたものでできているのですから。

どらやき

大地宅配の和菓子に使われているあんは、国産の小豆で作られています。一方、市販品の加工あんは多くが中国産ですが、原産地の表示義務はありません。表示を義務づけられた一部の原料以外、消費者には原料原産地がわからないのが現在の食品表示です。

 

文・写真/手島奈緖(てしまなお)
食料ジャーナリスト。2010年「ほんものの食べものくらぶ」を設立、食べる人と作る人をつなぐ活動に取り組んでいる。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。