有機食材宅配のパイオニア・大地を守る会が中国NGO「北京富平（フーピン）学校」と2013年5月に設立した、北京で有機野菜の宅配を行う合弁会社「富平創源（フーピンソウゲン）」が、7月15日に北京にて生産技術報告会を開催します。富平創源の生産技術顧問や生産者、政府やNGOの関係者に加えて、大地を守る会社長・藤田和芳が参加し、生産基準や、生産者と消費者の信頼関係構築の方法などの共有をします。
　中国の有機食材市場は近年の経済発展を背景に成長率が30％を超えるほど（2010年）拡大しており、スーパーでも販売されるようになりましたが、一部の生産者による偽装もあるため、消費者は「有機」という表示を信頼していない現状があります。富平創源はその中で有機食材宅配の売上を伸ばすには、生産者と消費者の信頼関係を構築することが鍵だと考えています。

　実は中国は有機栽培がさかんで、日本の有機栽培面積は1.6万ha（2009年 農水省）に対し、中国は245万ha（2010年　中国緑色食品センターHP）です。これまでは日本など輸出向けに栽培を拡大してきましたが、最近では中国の一部地域は所得が向上し、中国国内のスーパーなど購入できる場所も増えています。しかし一部に偽装をする生産者もおり、中国では「有機」という表示自体があまり信用されていないという問題があります。
　そこで富平創源では、大地を守る会が設立当初より大切にしてきた生産者との信頼関係を構築することが、売上拡大の鍵だと考えています。信頼関係を築くと消費者は安心して食べられ、生産者は消費者の定期購入によって所得が保証され、おいしいという反応が見えるとより良いものを作ろうという意欲につながります。中国にはエコ農業という意味合いの「生態農業」という言葉がありますが、富平創源では目指す農業をあえて「生態信頼農業」と名付けるほど、「信頼」が必要だと認識しています。
　大地を守る会では、産地での収穫体験や消費地に生産者を集めるなど年間100回程度のイベントを行ったり、毎週配布する商品カタログで生産者の紹介をしています。またお届けする野菜には生産者カードを入れ、誰が作ったかわかるようにしています。こうして大地を守る会は現在（2014年3月末）利用者19万3千人、生産者は2,500人を抱え、年間133億を売り上げています。今回の報告会では、大地を守る会の設立者でもある社長の藤田がこれまでの経験を語ります。藤田は中国での宅配開始以来、中国にて有機農業の本を出版し、清華大学や上海同済大学で講演をしたこともあり、中国メディアから「有機農業の伝道師」と紹介されることもありました。今回の報告会も中国マスコミから注目されており、中国のNHKともいえる中央電視台など10社以上が参加する予定です。

富平創源とは

　　大地を守る会と中国農村部の貧困問題に取り組むNGO「北京富平学校」と設立した合弁会社。北京にて有機農産物宅配サービス「富平創源」を2013年5月に開始。