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いま改めて、命と向き合う

【NEWS大地を守る9月号】命と向き合う

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鶏舎内を好きなように動き回れるので、生まれて約15日ですでに足がたくましいヒナ鶏。

今、「アニマルウェルフェア」という考え方が、世界的な広がりを見せています。安心安全な畜産を続けてきた大地を守る会の生産者は、この世界的な潮流を、どのように考えているのでしょうか。鶏の生産者「まほろばライブファーム」を訪ね、お話を伺いました。  

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まほろば式のアニマルウェルフェア

見渡す限り緑が生い茂る山々。街道沿いの渓谷には滝があり、清涼感あふれる音が響いています。標高約400mという夏でも涼しい山麓にあるのは、まほろばライブファーム(山形県高畠町)の鶏舎。「ここでは、街道を挟んで道の駅の目の前に鶏舎があります。普通であれば鶏舎の匂いで敬遠されがちだけど、まったく匂いがしないでしょう? だから人里とも共存できています」とは、代表の伊藤幸蔵さん。

「山に囲まれた平地で、実り豊かな住みよい所」という意味の“まほろばの里” 山形県高畠町は、果樹園や田んぼが広がっています。

本社から七ヶ宿街道で隣接する宮城県七ヶ宿町の鶏舎の隣りにある滝。鶏たちもリラックスするそう。

  くさみがなくうまみが濃いという声が多く寄せられるまほろばの鶏肉。ゆったりとしたスペース、地元産の飼料米や米ぬか、酒粕などを独自に配合した発酵飼料で、35年以上前から耕種作物の栽培と畜産を組み合わせた〝有畜複合農業〞というかたちで鶏を健康に育てています。

生産行程管理責任者・石川さん(左)と代表・伊藤さん(右)。

  近年、「アニマルウェルフェア」という考えが世界的に注目されています。アニマルウェルフェアとは、簡単に言えば、家畜ができるだけストレスなく、自由に、健康に生きること(下記「アニマルウェルフェア 日本の現状」参照)。まほろばライブファームは2014年、日本の肉鶏で初めてアニマルウェルフェアの第三者認証を取得しています。「でもじつは、認証を取るために特別なことは何もしていないのです。これまでやってきた〝まほろば式〞の畜産が、そのままアニマルウェルフェアに認められただけなんです」と伊藤さん。  

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地に足つけて生きる鶏たち

鶏舎に着いてまず気づいたのは、とても静かなことでした。鶏たちは、まるで縁側でくつろぐように、穏やかに座っています。「これは鶏たちがリラックスしているからなんです。鶏は非常に繊細で、見知らぬ人が近づくと鶏舎の隅に一斉に逃げ、圧死してしまうこともあるほどです」と生産行程管理責担者・石川公士さんが説明してくれます。

いつもお世話するスタッフなら逃げずに落ち着いている鶏たち。

  続いて驚いたのが、山から降りてくる風と暖かな日差しが心地よいこと、そして、くるぶしまで埋まりそうなふかふかの床。「床には地元の籾殻を10㎝も敷いているから、ふかふかの布団みたいでしょう。籾殻は湿度を調整してくれ、糞が落ちてもべちゃべちゃにならず衛生的。きれいなことは人同様、鶏も気持ちがいいんですよ」と石川さん。自由に動き回っている鶏たちの足は、太くてたくましい。この足こそ平飼いの証とでもいうように、大地をしっかりと踏みしめています。

風と日差しが入り、床は殻でふかふか。水を飲んだり好きな場所に行ったりと、鶏たちは自由に過ごします。

  「養鶏では、外気と日光から遮断された窓のない『ウィンドレス鶏舎』が多く、たたみ2畳分に対して65~70羽を育てているケースも聞いたことがあります」と石川さんは話します。病気の発生・蔓延予防として、飼料には抗菌性物質が入っています。また、鶏舎内を薄暗くし、鶏が眠らず、動き過ぎずの状態にすることで、飼料をおとなしく食べ続けさせる〝工夫〞もあるとか……。「鶏はもはや工業製品のように〝製造〞されている」という伊藤さんの言葉通り、効率性と生産量が重視されているのが一般の養鶏の現状です。  

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鶏も田畑も菌活! 畜と農で地域循環

まほろばライブファームの鶏たちが健康な理由は、水と飼料にもあります。鶏たちが飲んだり、鶏舎に撒かれているのはBMWという活性水。バクテリア・ミネラル・ウォーターの略で、バクテリアとミネラルの働きで畜産の糞尿を分解・活性化した生物活性水は、鶏の腸内環境を整えると同時に鶏舎内の衛生も保ちます。

岩石を吊るしながら培養することでできるバクテリア・ミネラル・ウォーターは、ミネラルが豊富です。

  また、自社製の飼料には、非遺伝子組み換えのとうもろこしや大豆の他に、地元で農薬をなるべく使わずに栽培した飼料米、自家培養した植物性の乳酸菌などを使用。私たちと同じように、鶏たちも菌活で体にいい食事を心がけているのです。

1 日に最大約20トンの飼料を作る自社の飼料工場。鶏の成長に合わせて配合を変えるなど細やかな仕事を担う尾形さん。

農薬を極力使わずに栽培された飼料米を使うのも、鶏たちの健康に配慮してのこと。

  この循環の取り組みは、もともと米農家であった伊藤さんの発案で生まれました。「自分も米を育てていて、地域には米や野菜、果物の農家が多いから、農業と畜産業の地域循環を考えることは自然なことでした」。養鶏に籾殻や米ぬかなどをもらう代わりに、農家には鶏糞をBMWで発酵させた堆肥を渡しています。海外からも指導のオファーがあるほど、「有畜複合農業」の実績を長年にわたり確実に積み上げています。

鶏たちの糞は堆肥にして地元の農家へ。「作物に合うよう複数の堆肥を作っています」と話す伊藤さん(左)と阿部さん(右)。

 

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相手を想い、命と向き合うこと

農薬に頼らない農産物の産直から始まった大地を守る会は、1978年から取り扱い始めた精肉においても、「健康に育った畜産物」をお届けすることを大切にしてきました。非遺伝子組み換え原料の飼料や飼育方法、投薬の制限などの取り組みも率先して行っています。 今、「アニマルウェルフェア」という新しい潮流が、日本にも届き始めました。「家畜がストレスなく、行動欲求が満たされ健康的な生活ができること」とも定義される「アニマルウェルフェア」は、じつは、大地を守る会の畜産生産者が、これまで実践してきたことと重なります。  

「大量生産の鶏肉をつくることは、私にはできません」と伊藤さん。

「お母さんが子どもにごはんを作る感覚と一緒で、生産者は食べる人を想い生産すること、食べる人は作ってくれた人に感謝して食べること、つまり〝顔の見える関係〞が一番大切なんです。私たちが親ならば鶏は子どもで、地域の農家は私たちの鶏のために飼料米を作ってくれる。こうした〝相手を想うこと〞の循環が、持続可能な畜産を生み出し、ひいてはアニマルウェルフェアにつながるのです」と伊藤さんは語ります。   大地を守る会は、アニマルウェルフェアを広めることを目的に畜産関係者が集まった団体「アニマル・ウェルフェア・フード・コミュニティ・ジャパン」に加入しました。ただ一つ、相手を想い、命と向き合うことを忘れずに、日本の畜産の未来を模索していきたいと思います。     【アニマルウェルフェア 日本の現状】 2000年以降、欧米諸国では、人と家畜に共通する感染症や安全な食品などに対する市民の強い関心を背景に、「アニマルウェルフェア」に配慮した畜産への転換が盛んです。家畜の「アニマルウェルフェア」とは、「家畜が最終的な死を迎えるまでの飼育過程で、ストレスから自由で、行動欲求が満たされた健康的な生活ができること。それにより、家畜と人が相互に満ち足りた生活を与え合っていること」。アニマルウェルフェア畜産は、世界獣医学協会の方針ともなっている「5 つの自由」に沿って行われています。 「アニマルウェルフェア」は世界に広がりつつあり、日本でも政府による指針の策定や、畜産関係者による団体の設立などが進んでいます。大地を守る会が参加している団体「アニマル・ウェルフェア・フード・コミュニティ・ジャパン」(山形県韮崎市)のその一つ。しかし、日本における実際の具体的な飼育方法については、意見がまとまっていないのが現状です。大地を守る会の畜産生産者も参加していた7 月のシンポジウムでも、熱い議論が繰り広げられていました。命を大切にする畜産と生活を広げるための努力はこれからも続きます。   まほろばライブファームの鶏肉を含む大地を守る会の鶏肉はこちら   アニマルウェルフェアと日本の畜産業についてトークイベントを9/29(金)に開催! まほろばライブファームの鶏肉も試食予定です。 詳細・申込はこちら  

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。