大地を守る会 企業情報[ソーシャルビジネス(社会的企業)]

たべまも

毎日のおいしい「食べる」で、生態系を守ろう

生物多様性を食べて守るキャンペーン「たべまも」

昔から受け継がれてきた在来品種の珍しい野菜、フランス料理の「ジビエ」で知られる鹿肉。そしてお米。こうした食材をおいしく食べることは、実は生物多様性を守ることにつながっています。大地を守る会は、生物多様性を食べて守るキャンペーンを「たべまも」と名づけ、2009年10月からスタートしました。

  • キャンペーン名:たべまも
  • 内容:食べて生態系のバランスを保ち生物多様性を守る呼びかけ
  • 開始時期:2009年10月12日~
  • 対象商品:
    1. 米:多様な生物のすみかである田んぼを、米を食べて守る。
      商品:65生産者約20品種、計123種の米が毎週届く登録制商品「コメニスト米」など。
    2. 鹿:生態系のバランスが崩れ、増えすぎているエゾ鹿を食べることで、北海道の生態系のバランスを取り戻し森を守る。
    3. 在来品種:日本各地の農家で受け継がれたきた品種を食べることで、種の多様性を守る。
      商品:珍しい在来品種の野菜がとれたときに届く登録制商品「とくたろうさん」

「たべまも」のキーワード・「生物多様性」

「生物多様性」という言葉を知っていますか?簡単にいうと「いろんな自然の中に、いろんな生物がいる」ということ。40億年前に生物が誕生してから、アフリカにはゾウやキリン、赤道そばの海にはサンゴ礁など、さまざまな環境条件に合わせて生物は進化してきました。このいろんな生物同士がつながりあって「生態系」をつくっています。例えば、動物の死体やフンを生物が分解して土をつくる。植物は土から水と養分をもらい、太陽をあびて生長する。この植物を食べる虫がいて、その虫を食べるカエル、カエルを食べるヘビがいる。どの生物も死んだり枯れたら分解されて土に戻る。

すべての生物は、このようにつながりあってはじめて生きることができます。人間も例外ではありません。生物多様性は人間にとって欠かせないものなのです。

人間の営みで守れるものがある

今、世界的に絶滅危惧種が増加しています。保護すれば絶滅を防ぎ、生物多様性を守ることができます。しかし一方で、「利用せずに保護する」のではなく、食べる・道具を得るなど、「利用する」ことで守れる多様性があるのです。その例が里山や田んぼ。里山の手入れをせずに木々を放置し、あるいは農薬を多く使って、自然の力以上に作物を収穫する農業を行うと、次第に里山や田んぼの生物多様性は失われていきますが、定期的に木々を利用して山の手入れを行うこと、また農薬や化学肥料に頼らずに行う有機農業は、原始の自然にはない独特で豊かな生物多様性を守り、持続可能な資源の利用をも可能にします。1975年から、他に先駆けて有機農業を広めてきた大地を守る会の活動は、まさに「たべまも」でした。

この経験をいかして、2009年10月、大地を守る会では、新たなキャンペーン「たべまも」をスタート。たべまもを通じて、生物多様性を守る大切さを伝えていきます。

注目される生物多様性

地球上の個性豊かな生き物が、食物連鎖や、共生などの関係でつながりあいながら存在しています。このことを「生物多様性」(Biological Diversity)といいます。いろいろな種類の野菜、くだもの、魚介類などの食材があるのも、生物多様性がなりたっているからこそ。食べ物を生み出す第一次産業はもちろん、第一次産業によって生み出される食文化、田園風景なども、生物多様性を基盤としている、と言えます。

この「生物多様性」の重要性は1992年の地球サミットより世界中に認識されはじめました。同年には生物多様性条約が採択され、日本を含む190カ国以上が参加。

2010年には名古屋で国際会議「生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)」が開かれ、世界の生物多様性の現状や、その保持について議論されます。

3つの「生物多様性」と「たべまも」

生物多様性は、「生態系の多様性」「種の多様性」「遺伝子の多様性」の3つの要素から成り立っているとされます。大地を守る会の「たべまも」商品は、これら3要素のいずれか、あるいは複数を守ることにつながっています

1. 生態系の多様性

地球上には、森林、里山、干潟、湿地、海など、様々なタイプの自然が生態系を維持しています。これらさまざまな生態系の中で、人間は自然の恵みをいただくことで生態系のバランスを保つ役割を担ってきました。鹿を山の幸としていただくことも、生態系を保つことにつながっています(11月号で特集)。

2. 種の多様性

じゃがいもや人参、ほうれん草やみかんなど、同じ野菜でもさまざまな種類があるのは、種の多様性があるからこそ。

3. 遺伝子の多様性

じゃがいもには2,000種類の品種があるように、同じ種の中にも多様性があります。これが「遺伝子の多様性」。日本各地に伝わる個性豊かな野菜「在来品種」を届ける企画「とくたろうさん」は、「種の多様性」と、「遺伝子の多様性」を守るための商品です。