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2007年11月07日

米国・コーン視察レポート(4)

ワゴンのレンタカー車2台に分譲した我々は、さらに走る。
北海道の生産地帯を10倍、あるいは数10倍に拡大したような風景が続く。

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途中いたるところで目についた、細長~い装置。
潅水用の機械だそうだ。これで水を撒く。
片翼100メートル以上はある。何もかもがデカい国だ。

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次なる目的地は、コーンの集荷センター(カントリー・エレベーター)である。

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南イリノイ地帯のセンチュリー・コーンが集まるセンターを駆け足で回る。

そのひとつ、
シカゴから250マイル(約400km)南、セントルイスから北に200マイル(約320km)
の位置にあるベアーズタウンのセンターでレクチャーを受ける。

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この地域の概況を、地図を広げて説明してくれたのは、
所長のボブ・ヘイル氏(写真左)。
西部劇の舞台から飛び出してきたような陽気なオッサン(失礼)だが、
ここでの現場たたき上げらしい。
カーギル本社で講義してくれたスペシャリティ・プログラム開発マネージャー、
Mr.リックもボブの元で修行を積んだとのこと。

ここイリノイは、巨大な水がめの上にある。
水が枯れたことはない。灌漑設備も網羅されている。
スィートコーン、ポップコーン、ジャガイモ、野菜、その他エトセトラ、何でも作れる。

ボブは、同席していた若い生産者を紹介し、
彼らのお祖父さんの代から付き合っている、と胸を張った。
ここら辺の農家は、だいたい3代目か4代目らしい。
つまり開拓時代から、ボブはこの地域のコーン農家を見続けてきたというわけだ。
先にも書いたが、センチュリーコーンの95%は農家から直接買い取っている。

現場最前線の長が、朗らかに農家との絆を自慢できるというのは、
素敵なことだと思う。
基本的に利害や思惑の対立する関係となってしまう経済構造の中で、
厳しいだけでは誰もついてこなくなる、甘いだけでは組織が持たない、
もたれあうことは不可能だし、嘘をつき合っては続かない。
カーギルという巨大企業の ‘生きた集団の一面’ として受け止めておこう。

こういうカントリー・エレベーターがイリノイ川に沿って、4ヵ所。
エレベーターは艀(はしけ)渡しと直結している。
ここから1500トンの積荷能力を持つ艀が、川を伝って運ばれる。
この川はミシシッピ川につながっている。

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しかし今の現実の状況となると、話は生々しい。
コーンも高ければ、燃料代も運賃もまた史上最高だという。

生産者(ライアンさんと言ったか。上記写真の右端の方)は、
いま農地を拡大中だが、地代も高騰を続けているらしい。
種の話も厳しい。
ここ1-2年で、最初からGM処理したものばかりになってきている。
数年でノンGM種子はなくなるのではないか…

色々と聞かされたGMとノンGMの比較整理や考察は最後にトライするとして、
次に進もう。
今度は、種子会社を訪問する。

イリノイからミズーリ州をエリアとして種を販売する、
こちらも今が3代目というBURRUS社。

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品種開発の難しさが語られ、
種の交雑を避けるための周辺の土地調査と汚染防止を徹底した、
BURRUS QUALITY 純度99.5%の種が彼らの誇りとなっている。

しかしここでも、やはりGMの勢いを見せられるばかり。
2002年に86%あったノンGMのシェアは、今年は26%まで落ちている。
ノンGMは契約のものだけが残っている状態で、自由に買えるものはなくなった、と。

それでも彼らは迷いもなく思っているのだ。
「農家のニーズに合わせて良質な種を用意し、
 彼らの経営の発展を支えることが、我々種子会社の使命である」
言葉に自信すら感じさせる。

ならば、と聞く。
農業は、天候や相場やその年の気象条件との品種適性など様々なリスクを抱えていて、
そられを想定しての経営上のリスクヘッジを支えるためにも、
ノンGMも含めた品種の多様性を維持しておくのが、種屋こその任務ではないか?

意味は充分理解されているようだったが、
残念ながら、私には頷ける回答ではなかった。

アメリカ国内の各地で、種会社が潰れるか、統合されていっている。
GM技術は、モンサント含む3社による支配状態にあって、
地方で農家のために頑張っているBURRUS社のような会社においても、
GMの種のシェアを上げないとやってゆけないのが現実となっているのだろう。
種を回す際に相応の圧力がかかってきていることも推測される。

単一化してゆく社会は、危険である。
もともとアブナイ国だとは思ってるけど。

それにしても、
こういう地方の中堅種会社を回ってノンGMの確保を追求しているカーギル社という図は、
けっこう珍しいレポートになっているような気がしないでもない。
あいつも乗せられたか、というありがちな声が聞こえてきそうだが、
それは最後まで読んでからにして欲しい (早く書け!ってか)。

収穫を終えたコーン畑。
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車中から見た、コーンの収穫風景。
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みんな誰だって、お金の計算だけで生きているはずはないのだが、
現実は何かに支配され、追いまくられている。
収穫の歓びというやつが、何処の国からも奪われていっているような気がしてならない。

長々と話を続けてしまったけど、
最後に生のアメリカ農民を紹介して、まとめに入りたい。