2011年9月11日
稲田の挑戦は続いている
今日は一週間遅れとなった 「稲作体験田」 の稲刈りの日なのだが、
こちらは若い実行委員会諸君にお願いして、
僕は急きょ須賀川・ジェイラップに向かうことになった。
ここに当社の放射能測定器を一台据え付けてもらったことはお伝えしてきた通りだが、
これまで測定してきた200件あまりの土やイネの結果を検証して、
取ってきた対策やこれからやろうとしている方向が誤ってないかどうかを
確認することになったのだ。
測定結果の評価と対策のアドバイスに協力してくれることになった専門家は、
四日市大学講師の河田昌東(まさはる) さん。
NPO法人「チェルノブィリ救援・中部」 理事という肩書のほうが有名か。
8月にジェイラップで地元の方々も招いての講演を開いてから、
測定にもお付き合いを頂いている。
河田さんをジョイントさせたのは 『通販生活』 のカタログハウスさんである。
今日は河田さんのご都合に合わせて設定された。
しかもNHKが取材に入ることにもなって、少々ものものしい雰囲気になった。
収穫が近づいてきた稲田の田んぼ。
カリウム散布に各種の実験。
" やれるだけのことはやった " の思いがある一方で、
それでもこの半年、ざわざわとした胸騒ぎは消えることはなかっただろう。
イネは、何事もなかったように、元気に穂を垂れてきている。
収量は- 「平年作並みだね。 味はイイよ、ゼッタイ」 と胸を張りつつも、
けっして気は晴れていない。
3.11以降味わった激しい怒りや悔しさは消えることはなかった。
原発事故さえなかったら、
俺たちは震災から立ち直ったぞ! と声を張り上げて叫びたいところだろう。
ジェイラップ代表の伊藤俊彦さん(右)と、測定結果を分析し合う河田昌東さん。
「すごいです。 数だけでなく、これまで仮説だったものの裏付けが取れた
ものもある。 国にもこれだけのデータはない」 と、感心することしきりである。
今の段階でのイネ体と土をサンプリングする小林章さんと伊藤大輔さんを、
NHKが追いかける。
「もうそこらへんの土壌分析の専門家並みですよ」
と小林さんをホメまくる伊藤社長。
こう言う時は、相当働かせているに違いないのだ。
でもホント。 実にていねいな作業である。
土は5センチ刻みで計測する。
セシウムはまだ表層に残っていることが、彼には見えている。
NHKさんの要望もあって、採取してきたばかりの生のモミのまま
測ってみる。 玄米より高く出てしまうことになるが・・・
30分後、結果は「不検出」! 胸をなでおろす。
「不検出」とは「検出限界値以下」と表現されるものだが、
実際の解析グラフを見れば実にきれいで、「0.0」 と発表してやりたいくらい。
これまでの測定結果を、河田さんのアドバイスも頂きながら、
「ちゃんとしたレポートにまとめますから、期待しててください。」(伊藤さん)
やっぱこの人は、自信に溢れた顔でいてほしい。
こんな米作優良地帯なのに、耕作を放棄した田んぼがある。
すでにいろんな草が繁茂して、花を咲かせていたりする。
専務の関根政一さんに聞けば、
「今年は作付してもダメだと思ったんでしょうね。 いや、切ないっすよ。
見たくないねぇ、こういう風景は。」
大丈夫だと分かって来年作ろうと思っても、これでは戻すのも大変だ。
「3年続いたら、もう戻せないですね。」
この草たちもセシウムを吸っているとしたら、土をきれいにしてくれているわけだ。
できれば刈って上げた方がいいのだが・・・
そういえば、ヒマワリを植えた場所で、
そのまま土にすき込んでいるという話を聞いた。
ヒマワリの葉茎はかさばり、分解も時間がかかりそうなので、
早目にすき込んでいるのだとか。
何だよ・・・と言いたくなる。
各地の葛藤が、葛藤そのままに聞こえてくるようだ。
我々の取り組み結果が、悩む生産者たちを元気づけられるものにしたい。
早く朗報を送りたいと、我々の気持ちはますます逸(はや)ってくる。
10月1日(土)には、大地を守る会の会員さんを迎えて、
「大地を守る会の備蓄米 収穫祭」 が予定されている。
「そこでは、喜んでもらえる中間報告をできるようにしますから、
ぜひ期待しててください! 」
稲田の挑戦は続く。
これはみんなの " 希望への挑戦 " でもある。
収穫祭の参加者募集は23日まで。
今年は頑張って、東京~須賀川間をバスで送迎します。
詳細は 「コメント」 にて、アドレスを付けてお問い合わせください。
なお、NHKの取材はこのあともあちこちと続けられるようで、
放送予定は、11月頃になりそうだとか。
放送日と番組名が決まれば、またお知らせいたします。
「それでも土をあきらめない!」
そんな農民の魂が届けられれば嬉しいのだが・・・
NHKさん、お願いします!
たしかに差が出ることになりますが、この成果は社会的な共有財産にすべきもので、みんなで取り組める仕組みに育てていきたいと思うのです。できるかどうかは、まだ私にも見えませんが…
よかったー!!
ちゃんとやった成果がちゃんと出て。
でも、これからは、やっているところとやってないところで差が出てくるって事でもあり、消費者としては、その見分けが大変になってもくるのですが、とにかくよかった!
ジェイラップさん、戎谷さん、ありがとうございます!