2011年9月23日
「地球大学」 の講義録
台風によって大量の水が太平洋から運ばれてきて、
人里には災害ももたらすけれども、水が潤沢に溜まることは幸いでもある。
百年後のミネラルウォーターの源泉だから。
でも山 (森) が崩れれば、その保証はできない。
台風一過で、水蒸気やちり(ダスト) が取っ払われて、天高く感じる。
秋が来ましたね。
今年はピッタリ " 暑さ寒さも彼岸まで " になったようです。
今日、幕張の歩道橋で赤とんぼと遭遇しました。
でも、やっぱり気は晴れません。
彼方此方から農産物被害の報告を聞かされることもあるけど、
一昨日のひと言がいけなかった。
「この崩壊現象は、なんだ。。。。 ヤバイね。本当にヤバイ。」
と書いてから、どうもいろんな場面で反芻してしまっているのです。
ロバスト(強健) な社会を再構築したい! いや、しなければいけない。
-そこで、おススメの本を一冊。
このところ本の紹介や引用が多くなっているのを気にしつつ、
でもこれは挙げなければならないワケがあって。
実はワタクシも登場しているのです。
『地球大学 講義録 -3.11後のソーシャルデザイン』
竹村真一+丸の内地球環境倶楽部・編著。 日本経済新聞出版社から。
このブログでも何度か紹介した、丸の内 「地球大学」 の講義録に
コーディネーター・竹村真一さんの一文が追加された形になっている。
2ヵ月前に出版されてすぐに送られてきていたのだが、
ようやく読むことができた。
収録された講義のいくつかは聴いていたものだけど、
改めて整理されたものを読んでみれば、やはりスゴい提言集である。
『脱原発社会を創る30人の提言』(コモンズ刊) に続いて、
しばらくは本棚に納めず、手元に置いておきたいと思わせる。
「 " 3.11後 " は、
私たちのなかでは少なくとも3年前に始まっていた。」 (「はじめに」より)
そうなのだ。
3.11後の日本にとって避けられないテーマに対する次の設計図が、
次から次へと可視化されてゆく。 しかしこれらは
「震災後になされた問題提起ではない。 ~すべて震災前に語られた内容である。」
「第Ⅰ部 宇宙船地球号のエネルギーインフラ」 から始まって、
「第Ⅱ部 未来をつくるソーシャルデザイン」、
「第Ⅲ部 地球公共財としての生物多様性」、
「第Ⅳ部 地球目線で考える都市の未来」、
そして最終講-「東日本大震災後の 「コミュニティ・セキュリティ」 デザイン」 で締め括られる。
飯田哲也さんら総勢38人による " 次なる時代へのプレゼンテーション " 。
僕はⅢ部のなかで、島村奈津さんと一緒に
「宇宙船地球号の 「食」 を守る」 のテーマで話をさせていただいた。
ラインナップに加えていただけただけでも光栄の至りである。
本書には、実に刺激的な言葉が溢れている。
「地域の人たちが発電者になるのです」(飯田哲也さん)
「数万人規模の 「住・職・食・楽・交・教・医・憩」 が一体となったコンパクトシティ群」(山崎養世さん)
「歩いたり踊ったりする日常の活動が 「発電行為」 になる」(速水浩平さん)
「流せば洪水、溜めれば資源」(村瀬誠さん)
「ゴミとは 「デザインの失敗」 である」(益田文和さん)
「味覚の刺激を経験していない子どもは、大人になる準備ができない」(三國清三さん)
「シルクと草木染めを合わせれば、化学物質を使わない防虫効果が出ます」(長島孝行さん)
「人間が自然と共存していた、以前の姿を新しい形で再生させること。
これは 「懐かしい未来」 とでもいえるでしょうか」(同)
「木を家づくりに活かすことは街に森を作ることにつながります」(小沼伸太郎さん)
「人間や鳥の 「食べる」 過程がないと、海に入った栄養物質は陸に戻りません」(清野聡子さん)
「 「俺たちの街」 という 「俺たち」 の集合体を作っていかないといけません」(村木美貴さん)
コーディネーターの竹村さんも呼応して、素晴らしい言葉を繰り出してくる。
- 私たちは新しい地球文明という一つの大きな 「物語」 を作ることに参画している。
- 地球号は 「水冷式」 の宇宙船であり、水に祝福された宇宙のオアシスだ。
- クルマの進化から、クルマ社会の進化へ-。
- 20世紀の文明はある意味で、「人間をバカにした文明」 だったと思う。
- 宇宙を身にまとう。
- 季節の変化に敏感な人が住んでいる街こそが真の 「エコシティ」 なのではないか?
- 「いのちの安全保障」 を国に頼る時代そのものが終わりつつある。
- 人類は進歩したからではなく、その技術文明が 「未熟」 すぎたがゆえに
地球環境を破壊してきた。
いかがでしょう。 想像力が刺激されないでしょうか。
そして、可能性はまだまだ無限にあるのだ、と思えてこないでしょうか。
" ロバストな未来社会 " は、
僕らの想像力のはばたきと、みんなの構想力がつながってゆくのを、
今か今かと待っているような、そんな気さえしてくるのです。
これらが今後の東北の復興と日本新生、ひいては未曾有の共感で
震災後の日本を支えてくれた世界への応答責任を果たす一助となれば
幸いである。(竹村さん)
「応答責任を果たす」 -そのメンバーであり続けたいと思う。
技術やシステムがいかに進歩進化しようとも、そこにヒトの心がついていってなければ、いずれは同じ過ちと崩壊が起こるのでしょう。
もっとも進化を求められているのは、私達の心や魂のあり方のような気がします。