2012年9月 9日
今年の稲作体験は、久しぶりの豊作!
「大地を守る会の稲作体験」 -23回目の収穫がやってきた。
この田んぼで22年 (「稲作体験」2回目の1991年からこの田んぼ)、
有機栽培(無農薬・無化学肥料) による米づくりを完遂させてきた。
もちろん地主・佐藤秀雄さんの支えのもと、素人の 「体験」 レベルではあるけど、
若手職員によるボランティア・リレーによって、
苦しくも連綿と受け継がれてきた、伝統のイベントである。
豊作への願いを込めた案山子は、いつの頃からか必須アイテムになった。
効果のほどは不明だが、案山子を立てることによって 「田んぼに気が入る」 というか、
ま、遊び心としての、最終ステップに入る儀式のようなものか。
でも、不思議と鳥害はない。
去年は放射能対策やら何やらに追われて、ついに参加できなかったけど、
今年は何とか立ち会うことができた。
ここの収穫を見届けることはやっぱ、
僕にとって秋の陣に向かう 「案山子が立つ」 スイッチのようなものだと思うのだった。
この黄金色の風景は、僕の必須アイテムなのだ。
育ったのはイネだけではない。
雑草たちも (失礼、そういう名の草はないか)、しっかり子孫を残そうとしている。
オモダカの花。
こちらはコナギ。
いずれもイネにとっての強力なライバル。
申し訳ないが、ここに種を残してもらっては困るんだよね。
きれいな花が咲いてる~ なんて言ってないで、容赦なく取りたい。
特にコナギは、咲き始めと咲き終わりの2度にわたって自家受粉するという、
独自の生き残り戦略を持っている。
お前とは、永遠にたたかう関係なのか。 いっそ有効利用の道を考えてみようか。
虫たちの行動も旺盛である。
ジョロウグモ?
いや、こいつはナガコガネグモという美しい名前を持っている。
この田んぼにもたくさんのクモがいる。 こいつらは益虫なんだ。
生物多様性の世界をたしかめる、ひとつの指標でもある。
子どもたちは、バッタは取るけどクモは敬遠する。
来年はちゃんと彼らの地位を回復させてやりたい。
ほら、触ってみればいいんだよ、愛が生まれる。
参加者も集まってきて、さあ、稲刈りの開始。
佐藤秀雄&綿貫直樹の、仲が良いのか悪いのかよく分からないコンビの
レクチャーを受けて、作業開始。
子どもたちも大人と一緒に、鎌を使って稲を刈っていただく。
これが 「大地を守る会の稲作体験」 の流儀である。
ケガをする子は、平均 0.75人(4年に3人) くらいか。
でもその子は、間違いなく成長する。
お母さんお父さんも、頑張って教えようとしてくれる。
鎌をうまく使えなくて、嫌気が差してきた子に声をかけて、
後ろから手を持って、切り方を伝える。
2~3度やっているうちに、だんだんコツを覚えてくる。
何度目かに、スッと切れる。
「お母さん! サクッと切れた!」
と叫ぶ瞬間が、喜びである。 こちらも思いっきり拍手してあげる。
今日のその男の子は、しかも言い直したのだった。
「サクッ、じゃない。 ザクッ、だ。」
いいなあ、この感じ。
よくできました。 イイ笑顔です。
頑張れ!
いいねえ。逞しくすら感じさせる。
涙腺のゆるいオッサン、見ているだけで泣けてきちゃうよ。
稲刈り、終了。
ハザ(稲架) が、例年より一本多い。
久しぶりの豊作の感触。
佐藤秀雄の読みは、「9俵(玄米で540㎏) はいくと思うよ」。
今年は、草対策を優先して日程を組んだ。
これは稲作りの基本だってコトだね。
午後の交流会。
いつもの 「陶さんの生き物講座」。
今回は、バッタのお話。
陶ハカセの人気は、衰えることがない。
子どもたちは、命あるものに本能的に関心を示すのである。
佐藤秀雄さんを囲んで、今年の講評。
山武のゴローちゃん (ドラマ 「北の国から」 で田中邦衛が演じたゴロー)
こと秀雄さんも、なかなかお話上手になった。
子どもたちが田植えのときに描いた 「未来へのメッセージ」。
今日は、この絵を持って家族ごとに記念撮影という趣向。
スタッフは年々入れ替わりながら、毎年いろんなことを考えてくれる。
職員も育てられているのだ、と思いたい。
すっかり出番のなくなった初代実行委員長は、たそがれながら
それなりに満足している。
収穫量はまずまずのようだが、こんなに暑い稲刈りは今までにない。
品質が心配なところ。
美味しい米でありますように。