2012年12月 2日
水とともに 「未来を拓く農業」
会津・喜多方市山都町 「堰(せき) と里山を守る会」 から
しばらく前に届いていたお米 - 「上堰米」(じょうせきまい) を食べる。
今年5月の堰さらいボランティア に参加したお礼として送られてきたものだ。
コシヒカリとヒトメボレが一袋ずつ。
堰さらいの写真が貼られている。
下手な写真が腹立たしいのだけれど、
ピカピカと輝いていて、本当に美味しい米だった。
10月に行なわれた須賀川での 「備蓄米収穫祭」 でお土産にもらった新米も
美味しかった。 福島の米はやっぱ、ウマいと思う、掛け値なしで。
同封されていた 「上堰だより」 によれば、
越冬のために家に入ってくるカメムシの数はいつもより少なく、
カマキリの卵の位置は低めで、ソバの背丈も低かったそうで、
「今年の冬は積雪量が少ないかもしれません」 とある。
また、10月にインド・ハイデラバードで開かれた
国連生物多様性条約第11回締約国会議(COP11) の
サイド・イベントに参加された浅見彰宏さんの報告も記されている。
サイド・イベントとは、政府間で議論する本会議に対して、
NGOが企画する対抗イベントのこと。
「農業は土や水を通して生態系の保全と関係が深く、農業と原発は両立できない」
と英語で訴えてきたそうだ。
そして 「堰と里山を守る会」 の活動を、美しい風景とともに伝えることができたと。
すごいなあ。 浅見彰宏は国際人だ。
ここで、浅見さんが11月に出されたばかりの本を
紹介したい。
コモンズから、「有機農業選書」 のシリーズとして出版された。 1900円+税。
「 会津の山村へ移住して16年。
有機農業で自立し、江戸時代から続く水路を守り、
地域社会の担い手として活躍する、社会派農民の書き下ろし」 とある。
「ひぐらし農園」 と名づけた山村農園での四季の暮らしが綴られ、
有機農業の世界に飛び込んだ経緯やⅠターンゆえの苦労、
そして地域の人々との関わりや堰を守る活動から獲得してきた
農への思い、農の哲学が、実に読みやすいタッチで語られている。
放射能汚染とたたかってきた苦悩も、苦悩で終わらない、
有機農業の力と明日を信じる浅見さんの願いが伝わってくる。
最後のほうで思いがけず、大地を守る会とのつながりと
「会津の若者たちの野菜セット」 企画が実現したくだりも紹介されていて、
嬉しくなってしまった。
最後に掲げられた浅見彰宏の信条。
「 ひぐらし農園のめざす農業は 『未来を拓く農業』 でありたい。
そのためには、社会性があり、永続的であり、科学的であり、誠実であること。
そして、排他的であってはならない。」
イイね。
浅見さんが農から発信するなら、僕はこの地平から応えたい。
そしてつなげてゆきましょう、人と人を、価値と価値を。
未来開拓者は、いま、あらゆる分野から生まれ出なければならないのだ。
食べものと環境とのつながりを見つめ直し、
暮らしをどう設計するか、し直すか、
一人一人が立ち止まって考える時代にあって、
16年前に、農の世界に、しかも雪深い山村に飛び込んだフロンティア、
「社会派」 農民が描く未来のかたち。
ぜひたくさんの人たちに読んでほしいと思う。