2013年5月 6日

山奥の水路にある世界技術 -堰さらいボランティアから

 

大型連休で人々が浮き足立っている間にも、

暦(こよみ) は早くも立夏となる。

季節というのはホント、無常に移ろっていくものだ。

その自然の流れに身を委ねながら、ある種の諦念や

災害に対する開き直り的強靭さまで、日本人は育んできたのかもしれないが、

一方で粘り強く、黙々と地域共同体の資産を守り続ける営みというものも、

たしかに存在するのである。

誰のためでもない。

私とみんなのためであり、先祖から子孫にいのちをつなげていくために。

ゴールデンウィーク、僕はそれを確かめるために会津に行く。

 

福島県喜多方市山都町での堰さらいボランティアも、

早いもので7年目となった。

堰の歴史からみればほんのひと呼吸程度の時間だけれど。

 

5月3日、仲間と乗り合わせ、激しい渋滞に揉まれながら一路北上。

午後4時過ぎ、山都町でも北の最奥部に入るあたりに位置する

早稲谷(わせだに) 集落に到着。

7年間変わらない、同じ桜と同じ景色が出迎えてくれる。

 

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今年のボランティアは46名。

過去最高の昨年より少し減ったけど、それでも地元の人にとってはけっこうな数だ。

めいめい到着しては温泉に入って、

地元の方に混じってまかないも分担しながら、

前夜祭の開幕となる。

大地を守る会から、今年は職員と会員合わせて10名の参加。

来る途中、大和川酒造で調達した 「種蒔人」 1ダース (12本) を献上する。

みんなが飲んで貯めた 「種蒔人基金」 からの差し入れです。

 

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採れたての山菜の天ぷらなどがふるまわれる。

これら自然の幸が美味いんだよね、ホント。

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都会からのボランティアを募った仕掛け人であり、

大地を守る会では、夏の若者たちの野菜セットを届けてくれる

「あいづ耕人会たべらんしょ」 の世話人的役割も担ってくれている、浅見彰宏さん。

 

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入植して17年。

今やこの人のネットワークなしでは、田に水を送る水路の維持も難しくなってしまった。

 

我々ボランティアという名の人足たちは、ふたつの公民館に分かれ宿泊し、

翌5月4日、朝ごはんを自炊して、お昼のおにぎりを用意して、

8:00 集合。

諸注意を受けて、作業にとりかかる。

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我らが 「チーム大地」 は、今年は上流から下る組に配属される。

早稲谷の上流部から取水して下の本木地区まで、

延べ 6km の水路(堰 :せき) が続く。

掘られたのが江戸時代中期、吉宗の時代だという。

 

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山あいを縫いながら、ほとんど水平に近い傾斜で、

ゆっくりと水を温ませながら流れていくように計算されている。

開設当時で 5000分の1 の傾斜を設計する測量技術があった

というのだから、驚きである。

ニッポンの誇る世界技術は、弛まぬ自然とのたたかい、いや

長い長い折り合いの歴史によって築かれてきたのだ、きっと。

この精神の廃れこそ、この国の危機なのではあるまいか。

 

すみません。 眠くなったので、続きは明日に。

作業ではなく、行き帰りの渋滞で、小バテしたかしら・・・

作業自体は、去年のベトコン体験に比べたら、

まあ  " イイ汗かいた "  と余裕で言っておこう。

 

ブヨに射された痕がモーレツに痒い。

合計11箇所あった。

アンモニア水が手放せない。

 



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