2013年5月21日
除塩
5月16日(木)、福島から郡山に下り(上り?)、
高速バスで浜通り・いわき市まで向かう。 所要時間、1時間半。
いわきで訪ねたのは、福島有機倶楽部・小林勝弥さん。
先に書いたとおり、今回の目的は除染ではなく除塩、塩害対策の打ち合わせである。
奥様の美知さんが駅まで迎えに来てくれて、畑に直行する。
ソラマメが育っている。
働いているのは、障がい者たち。
美知さんは、障がい者の自立支援活動を行なう
NPO法人「ゴールデンハープ」 という団体に属されていて、
「フルクテン」 という小規模作業所を運営している。
ノルウェー風のパン 「フルクテン」 を製造・販売して、収益を工賃として分配する。
また農業セラピーの実践として、農作業の場を提供する。
こちらは勝弥さんが教える。
美知さん曰く。
「 失敗もいっぱいやってくれるんですけど、
勝弥さんは、ほんとうに優しく、辛抱強く教えてくれます。」
しかし、震災と原発事故による影響で売上は激減し、
この活動もついに休止せざるを得ないところまできてしまった。
美知さんが胸の内を語ってくれる。
「 何とか続けたいと頑張ってきましたけど、もう (賃金を) 払えないです。
それに、今度あれだけの津波がきたら、あの人たちを守れる自信がありません。」
私はそれでも、農業セラピーの力は信じてる・・・ と言いながら。
「 勝弥さんも畑が塩害にあって、風評被害でモノも売れなくなるし、
相当落ち込んでたはずなんですが、黙々とやってました。
これからは私がお手伝いしてあげなくちゃ、って思ってます。」
これが塩害で、野菜が作れなくなったハウス。
手前の2棟が空いた状態である。
塩分は水で流す、というのが基本なのだが、
地盤沈下によって、その水(地下水) に塩水が入ってくる。
去年、春菊を作ってみたが、しょっぱい春菊になっちゃって・・・
と笑う勝弥さん。
土が締まっていって、白く潮が吹いたような塊もあった。
それでも起こしている。
何とかしたいのだが・・・
こちらが海に近い露地の畑。
去年はソバを蒔いてみた。 まあまあ出来たことは出来たけど・・・
と言葉が続かない。
防風林の向こうに道路が一本、その先は浜である。
せっかく有機の認証も取ってやってきた。
農薬や化学肥料は入れたくない。
さて、どうやって回復させるか・・・
僕が提案を持ち込んだ資材についての詳細は省かせていただくが
(ここで特定資材の宣伝みたいになってはいけないので)、
塩分を好むバクテリア(好塩性細菌)を使って発酵させた炭化肥料である。
有機JAS認定のほ場でも使えると判断している。
もちろん認証機関にデータを提出して判定を仰ぐようにと、メーカーには伝えている。
仮に効果はなくても、マイナスになるものでもないだろう、
と考えての提案だが、小林さんは 「やってみたい」 と前向きに答えてくれる。
メーカーさんからは 「試験データを取らせてくれるなら原価で提供したい」
と申し出てくれている。
6月から開始しよう、ということになった。
力になれれば嬉しいのだが、さて結果やいかに-
障がい者たちと一緒に育てている畑では今、
ソラマメの花が順番に咲き出している。
実も成ってきている。
たくさんの収穫があることを祈りたい。
海のそばの畑にも、花は咲いていた。
花は咲く。。。
歌の文句じゃないけれど、私は何を残せるのだろう。
一見、2年前の大災害など想像もできない浜辺だが、
通ってきた途中では、ガンガンと堤防工事が行なわれていた。