2013年9月16日
" 進化を誓う " お祭りにしよう
台風による激しい雨と風に弄ばれながら休日出勤。
東北方向へと走り去っていく雲を眺め、
自然の猛威に叩かれては鍛えてきた我が民族の底力を思う。
大地を守る会の放射能連続講座Ⅱ-第6回。
『福島と語ろう!』
最後に、3名の生産者からのメッセージを。
まだ福島を忘れずにいてくれたことに、とても嬉しい気持ちになりました。
心配なのは低線量被ばくの影響です。
データを取り続けていってほしいと願っています。
-福島有機倶楽部・阿部拓(ひらく) さん。
原発事故は、過去の何にも比べものにならないくらいの困難だ。
それでも、これまで通り暮らしていきたいと思う。
これを普通の困難だと思って一日一日を暮らし続け、
ひとつひとつ解決していきたい。
これまで受け入れた新規就農者が36人。
事故後もやって来てくれる若者がいる。
いいところがあるから来てくれるんだと思うし、
東京ともつながってるんだなあ、と気づかされる。
彼らがやってんのに、オレたちが怖がって何もやんねえワケにはいかない。
真実を知りながら、一緒に歩いていきたいと思う。
-ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会・佐藤佐市(さいち) さん。
福島県は、農業就業者の数が日本で第2位の県です。
それが今、県内の離農率が20%近い数字に跳ね上がってきている。
日本の農業(=将来の食生産) への影響はとても大きい。
どうかこのことを忘れないでほしい。
だから食べてくれ、と言いたいのでなく、
科学的なデータをもとに、大丈夫なものは
少しずつでも消費を取り戻していってあげてほしい。
-稲田稲作研究会(ジェイラップ)・伊藤俊彦さん。
コーディネーターの大江さんがまとめる。
皆さん、ぜひ福島に足を運んでほしい。
生産者に会ってほしい。
畑を見てほしい。
様々な取り組みが福島の地で行われている。
福島の復興なくして、日本の未来はないです。
僕もそう思う。
この秋、福島県須賀川市の稲田という地区の
丘の上にあるライスセンターの屋根に、太陽光パネルが敷き詰められた。
未来への責任を果たす、と何度も何度も自分に言い聞かせ
持続させた彼らの意思と願いが込められたものだ。
ゲンパツには絶対に頼らない!
必死の防戦だけじゃない。 オレたちは進軍するんだ!
ライスセンターの屋根にも進化への意思がある。
一人でも多くの人に、見てほしい。
10月26日(土)開催の
『 備蓄米 「大地恵穂(けいすい)」 収穫祭
~ 3度目の秋、未来に向かってコメを作ります 』
目下、参加者募集中!です。
詳細はこちらから ⇒ http://www.daichi-m.co.jp/info/event/2013/0902_4444.html
伊藤俊彦さんから収穫祭に寄せた一文が届いたので、
ここに掲載して講座レポート終了としたい。
ここ福島は桃の季節が終わり、
秋を告げる " 梨 " や " ぶどう " が美味しい季節となり、
田んぼの稲穂が黄金色に色づいて、
まさに収穫の時を迎えようとしています。
大地を守る会の皆さまとの関係も四半世紀を超え、
この間、大勢の社員の方々や会員の方々との出会いがあり、
多くを学び、多くを感じ、食を通して五感でつながってきたように思えます。
特に3.11以降、放射能測定器を真っ先に貸与いただくなど、
身に余るご支援を賜りましたこと。
このご恩を私たちは生涯忘れることはありません。
何より、皆さまからの " 憂いのこもった励まし " の数々は、
不安払しょくの種となり、復興を目指す気概となり、
自立に向けて歩きだすきっかけとなりました。
原子力災害という先の見えない逆境の中、
家族や仲間や子どもたちを守るためにご案内いただいた多くの学びを
片っ端から生活の中に取り込み、精査しながら
2年半が過ぎました。
この2年半の学びと実践から得た多くの知見から、
科学的根拠をもって、今後
" 研究会の生産者がつくる農産物を食べ続けても内部被ばくを引き起こすことはない "
と判断できるまでになりました。
今では同居する6歳と3歳の孫たちが同じ食卓を囲み、
何に箸をつけても不安なく見守れるようになりました。
" 家族に不安なく食べさせられる農産物であること "
を当初からの出荷基準にしてきたことは、
皆さまとつながりを持ち続ける中で身についた
" 食の安全 " に対する信念の行使であり、
つながりの容(かたち) であると認識しています。
2011年秋の復興祭、2012年秋の自立祭では、
深い情けと憂いに感動した涙の収穫祭でした。
この10月26日に予定されています2013年の収穫祭では、
" 今後の進化を誓う " おもいきり前向きな " 決意のお祭り " に
したいと考えております。
この災害から学び、そして実感した
" 頑張ってもできないことより、頑張ったらできることのほうが遥かに多い "
という生き方を合言葉にさせていただく所存です。
この7月、毎日新聞社主催の 「第62回全国農業コンクール」 が
昭和32年以来56年ぶりに福島で開催され、
農業生産法人稲田アグリサービスと (株)ジェイラップの連携による
農業振興活動が評価され、
グランプリには至りませんでしたが
毎日新聞社"名誉賞"、"農林水産大臣賞"、"福島民報社賞"
などの賞をいただきました。
これを契機に、受賞に慢心することなく、さらに産地組織の結束を高め、
学んで、学んで、私たちなりの近未来を創造していくことを決意したところです。
皆さまのお陰で元気を取り戻した 「稲作研究会の収穫祭」 に
ぜひご来場いただけますことを願い、
生産者・社員・その家族一同でお待ちいたしております。
-農業生産法人稲田アグリサービス、(株)ジェイラップ 伊藤俊彦