大地農産物の現地監査-青森編
8月19-20日
青森・新農業研究会(平川市/以下、新農研)にて、農産物の現地監査が実施された。
これは大地に出荷される農産物がすべて大地の生産基準に合致していることを、
第三者認証機関の監査によって確認する作業で、
5年前から毎年いくつかの産地が認証機関から指定され、監査を受ける仕組みである。
今回その指名を受けたのが新農研。
29名の生産者の中から、りんご、米、野菜それぞれで生産者がサンプリングされ、
有機JASの検査員によって監査される。
りんごの生産者・外川春雄さんの圃場(畑)での監査風景。
手前のお二人が、認証機関の方と検査員である。
向こうにいるのが、就農して3年目の後継者・順春(よしはる)さん。
次に来た時は、君が説明して回るように。
さて、写真の順番が逆になったが、
監査は、まずは事務所(事務局)の管理状況の確認から始められる。
組織概要から大地との契約書類関係の保管状況、そしてメンバーの管理記録が
順次チェックされていく。
(オーガニック検査員の針生展彰さん。手前は認証機関・アファス認証センター代表の渡邊義明さん)
生産者個々の栽培記録や、農薬・肥料の管理について、
大地との各種やり取りの記録、会内部での運営記録、入出荷の伝票類チェック、
そして倉庫の確認、などなど。
次にサンプリングされた生産者を巡回する。
生産者の自宅でも、同様の確認作業が繰り返される。
「大地の生産基準はお持ちですか?」
「あなたの栽培記録はどんなふうに管理されてますか?」
-栽培の計画書から実績まで。その裏づけとなる作業日誌まで確認される。
農薬の使用がある場合は、その購入伝票から使用量、在庫までがトレースされる。
生産者は「監査」と聞いただけで、緊張の面持ちである。
でもしっかりと保管された記録が出てきた時に、ホ~と胸をなでおろすのは、
実は立会う事務局の方である。
現場では、初歩的なことも聞いたりしながら、
検査官が見ているのは生産者の姿勢とか考え方だったりする。
(右が小枝均さん。青森県の農林水産部の職員-技術指導員でもある)
また最近では、周辺圃場からの農薬の影響が必ず聞かれる。
お隣が慣行圃場(一般栽培)の場合は特に。
しかしこればっかりは、現状では100%防ぐことはできない。
これは有機や減農薬がまだ少数派である限り、どうしようもない現実であり、
有機農業の考え方や技術が広がっていかないと、根本的には解決できない課題である。
そのためにこそ「有機農業推進法」があるのだが、
高齢化が進む中では手間をかけた農業は敬遠され、
また経営リスクも考えたりして、生産現場はそう簡単には変われない。
水田では、取水と排水の区別など水まわりもチェックの対象である。
(右が生産者・今井正一さん。新農研の事務局担当も兼ねる。)
とりあえず周辺環境からの影響は、今後の課題として認識するとして、
(この‘課題として認識している’ことが大事
-これは大地の基準における「基本姿勢」であるからして)
今回の監査目的である生産(栽培)行為については特に問題点は認められず、
若干の記録の改善が指摘されたレベルで終了した。
無事監査終了で、生産者も安堵し、僕もホッと一息。
この作業の積み重ねが、大地への信頼を担保するものにつながる。
生産者は意外と(失礼!)よく承知していて、
しっかり管理されていることに感謝しつつ、
夕方には少し涼しい風も吹いてくれた青森をあとにする。