平沢さんのスタークリムソン
長野県松川町の平沢充人さんから、
「スタークリムソン」という名の、珍しい洋ナシが届く。
まだわずかしか収穫がないので販売には回らないが、
これから増えてくれば、数年後には注文書にもお目見えするかもしれない。
少しずつ穫れるようになってきたよ、という便りである。
特徴は何と言ってもこのワインをさらに濃くしたような皮の赤か。
この色を「クリムソン・レッド」というのだそうだ。
でも果肉は白く、ジューシーで、甘さの中にさわやかな酸味が混じる。
りんごにも同じ名で呼ばれる品種があるようだが、
りんごの場合は「スタークリムソン・デリシャス(Starkrimson delicious)」が正式名。
こちらの英名は「Star crimson pear」。微妙にスペルも違う。
専門家の間では「スタークリムソン」と言えば、洋ナシの方を指すとのこと。
食べ頃になるまで、どれくらいだろうか。
しばらくの間机の上において、眺めていよう。
気難しそうに見えて優しい、ちょっとインテリッぽくも見える平沢さんの顔など
思い出しながら。
これはちょっと珍しい、無理して笑顔を作ってくれた平沢さん。
4年前のワンショット。
平沢さんとは大地創設期時代からの長~い付き合いだ。
当初はお一人だったが、今は仲間4人で「赤石果樹出荷組合」を運営する。
でもここ3年、平沢さんからの出荷はない。
4年前に道路建設にかかって園地を切り替えることになってしまったのだ。
ちょうど今週配布の会員向けカタログ『PROCESS』で、
「梨作りのベテラン、赤石果樹出荷組合の4人衆」 が紹介されているのだけど、
キャプションには「平沢さんからの出荷はありません」と書かれている。
ちょっと寂しい……
でも目の前の色鮮やかな洋ナシが、そんな気分も帳消しにしてくれる。
平沢さんは元気で、新しい品種の栽培に取り組んでいるのだ。
体に気をつけて、暑い夏を乗り切ってほしい。
そういえば今年いただいた年賀状には、
息子さんに家督を譲ることにしたと書いてあった。
「さみしいけれど、バトンタッチができてよかったなぁ、と思っています」
いやいや、家督は譲っても、けっして果樹栽培への情熱は衰えていない。
今年の年賀状の写真。
好きなカメラをいつも離さず、伊那の風景を撮り続ける平沢さん。
深紅の実の成った樹は、どんなアングルで撮ったんだろう。