『プロセス』 から 『ツチオーネ』 へ
大地を守る会の「大地宅配」。
会員向けの商品カタログ 『PROCESS』 の誌名が変更される。
今週が最後の 『PROCESS』 となった。
『PROCESS』が発刊されたのは1989年7月。
何度ものリニュアルを重ねながら18年。
大地の成長とともに歩み、まさにそのプロセスを体現してきた情報誌だったと思う。
この誌名を社内に提案し、最初の編集・制作を担当したのは私である。
大地の姿勢や思想をそれなりに‘つかんだ’ネーミングだったと、今でも思っている。
今の時代、カンペキに 「安全です」 と言い切れる食べものは存在しない。
水も空気も循環している以上、どんなに頑張っても、どんな場所でも、
100%汚染から免れていると保証できるものはない。
だからこそ 「安全」 にこだわり、前に進み続ける。
できていることとできていないことを認め、自覚し、
今の到達点を正直に伝える。
目の前の商品ライン・アップもまた理想に向かう 「過程」 (プロセス)である。
その 「いま」 を伝えよう。
この姿勢は、今日言われるところの ‘トレーサビリティ’ や ‘情報公開’ の視点を
先取りしたものだったと自負するところだ。
たかが誌名であるが、我々の行動規範を示す言葉として、堂々と存在していたように思う。
これが『PROCESS』の創刊号。
それまでバラバラに作られていた農産物情報や水産物情報、会員との交流紙などを
一本にまとめ、統一感をもたせるとともに柔軟な編集を可能にさせたい。
そんな意気込みで新しい媒体づくりに挑戦したものだった。
A4サイズ・16ページ・モノクロからのスタートだった。
それがいつの間にか、タブロイド版で28ページ・カラー印刷ものになっている。
ここまできたんだ、と改めて感慨深いものがある。
しかし印刷物のタイトルというものは、時代の変遷の中でいつかは寿命がくる。
これは仕方のないことだ。
変化の激しい大地の中で、よくぞ持った18年である。私は素直に誇りたい。
さて、来週からの誌名は、『Tsucione (ツチオーネ)』。
正直、驚いた。大胆なセンスだ。
ツチオーネ・・「土大根(つちおおね)」。古事記に記された大根のことらしい。
大地を守る会設立時のメッセージ
「農薬をこわい、こわいと百万遍叫ぶよりも、安心して食べられる大根一本を、つくり、食べよう」
この原点を忘れないという気持ちも込められている。
「プロセス」はその精神ゆえに、進化を求める。
前に進むためには、何かを変え続けなければならない。
しかし変化の中でも、変わらない精神を確認し続けることも大切なことだ。
大地年表に、新しい「ツチオーネ」時代が生まれた。
どんな時代を映し出すかは、我々次第である。
長く愛されることを願ってやまない。