食物アレルギーの仕組みを学ぶ
昨日、大地の社内研修・勉強会を実施した。
テーマは、食物アレルギー。
研修の対象は、会員からの質問や意見・クレームなどに日々対応している会員相談グループ
だったのだが、入会のサポートをする部署や商品開発の担当者も手を挙げて、
16名の社員が参加してくれた。
講師は、NPO法人アトピッ子地球の子ネットワークの赤城智美さん。
ご自身も子どもの頃からアレルギーに悩みつつ、大人になった方。
大地は特別に食物アレルギー対策を目的としてきた団体ではない。
‘食の安全性’にこだわり、農薬や食品添加物などの化学物質に頼らない食べものを
生産者やメーカーと提携して、消費者に届けることを、ただひたすらに目指してきた。
しかし、であるがゆえにというべきか、
食物アレルギーは、すでに私たちにとって対岸の問題ではなくなっていて、
現実に食材選びに苦労される方々が多く入会されている。
農薬や添加物を極力排除した安全へのこだわりと、
原材料のトレースの精度が、それなりに信頼されてのことかと自負するところだが、
であるがゆえに、情報の確かさと質問等への対応はおろそかであってはならない。
正確で落ち着いた対応ができるためには、ただしい知識を持つ必要がある。
ということで、今回の研修会を企画したわけだが、
学ぶ上での基本認識を、次のように整理してみた。
食物アレルギーは、今日の食べ物の生産のありようや、
食をめぐる環境(自然環境だけでなく、グローバリズムによる流通環境なども含めて)
から鑑みても、いまや特殊な人に発生する特別な現象なのではなく、
だれにでも・どこででも起きうる、フツーのこととして捉える視点が必要である。
とはいえアレルギーの原因物質や症状の度合いなどは、その人固有のものであり、
対応は一律のマニュアルで片づけられるものではない。
だからこそ、その因果関係や仕組みを知っておかなければならない。
アレルギーを持ちながら、安心して暮らせる、そのためのサポート力を持たないか。
‘病い’ ではなく ‘その人の個性’ として受け止め、付き合える力を。
この呼びかけに、会員からの質問や意見への対応に追われている職員だけでなく、
入会問い合わせに対応する職員や、商品開発を担当する職員も
積極的に参加してくれたことが嬉しかった。
3時間にわたる研修は、
食物アレルギーについての基礎講座から始まり、
実際のリスク情報の正確な伝達ややり取りのポイント等のレクチャー、質疑応答。
これで目一杯となった。
講師の赤城さんは、初歩的な質問にも丁寧に答えてくれる。
時折ご自身の体験も交えられ、アレルギーをもつ方の心情なども伝わってくる。
今回は、あくまでも入門編である。
これからもう少しレベルアップさせてゆくつもり。
大地の職員も、
相当に知識を持っている者から、とんでもない勘違いをしている者までいる。
まあ健康な若い男性には、アレルギーの本を読めといっても、実はなかなか……
しかし、全体のレベルを上げないと、組織としてはうまくいかない。
そして、もうひとつの眼目は、
大地に関わっている食品メーカーの方々にも同様な認識を持ってもらい、
管理能力の向上にこちらも貢献できるノウハウを身につけたいと思っているのである。
「特別な人のデリケートな質問やクレームに対応する能力を持つ」
ではなく、いやそこから始めてもよいが、
「アレルギーを持つ人が、安心して、落ち着いて暮らせる社会を育てる」
ために、できることをする、につなげていきたい。
これもまた大地の役割のような気がしている。
とりあえず一発目は、まずまずだったか。