2010年5月20日
バングラディッシュ訪問しました!
とよまること豊島 洋が、2010年3月にバングラディッシュのNGOタナパラ・スワローズを訪問しました!
このNGOは、フェアトレードカンパニーを通して、大地を守る会に衣類を提供してくれている団体です。
やっぱり、実際に見ると聞くのでは大きな違い!知らないことがたくさんありました。
以下その簡単なご報告です。
首都ダッカの町はこんな感じ。人力車と車が混ざって走るカオスな世界です。
ここはキリスト教系のNGO「メノナイト中央委員会(MCC)」の事務所。代表のギャスディンさんに
話を聞きました。
MCCはパキスタンからの独立戦争の時に土地を追われた難民たちに食料支援を行ったNGO。
現在は様々な社会奉仕活動を続けていて、女性に就職の機会を与える仕事などをしています。
大地を守る会はJR東京駅のエキュート東京に「大地を守るDeli」というお店を出店しましたが、
そこで販売予定のショッピングバッグの製作を依頼しているのがこのNGO。
秋口には出来上がってくるでしょう。
左側の女性は、フェアトレードカンパニー(株)代表のサフィア・ミニーさん。
ロンドンからかけつけてくれました。
ダッカからバスで約4時間。ガンジス河の支流が近いタナパラ村に到着。NGOタナパナ・スワローズ
の入口です。
右の入口を入ると子どもたちが花束を抱えて待っていてくれました。
タナパラ・スワローズ代表のライハン・アリさん。
とても人当たりの柔らかい方ですが、悲しい過去が、、、、。
この村では、西パキスタン(現パキスタン)との戦争中、村の男性のほとんどが殺されてしまったとのこと。
幸いライハンさんは子どもとみなされ助かりました。村の大切な産業でもあるはた織は男の仕事でしたが、
残された女性たちがはた織を始めたそうです。
その支援を行ったのが、スウェーデンのNGOスワローズであり、このタナパラ・スワローズの創設団体でした。
では、衣類の製造行程を簡単に。
買ってきた綿糸(インド製が多い)を染めます。これはその洗いの行程。
染色した糸は、織機にセットできるようにボビンに巻きます。カラカラと軽快な音がしていました。
そしていよいよはた織りです。足と手を両方使いながらどんどん織り進みます。
もともと男の仕事だったというだけに力が必要です。敢えて電動式にはしていません。
私が持っているシャツの柄が、今ここに!!!こんな風に作られていたのかと改めて感動します。
フェアトレードカンパニーのデザインをもとにした型紙の数々。
型紙にそってカットされた布地が縫製チームにより立体的な衣類に仕上げられていきます。
敢えて昔ながらの足踏み式にこだわっているそうです。
返品された衣類を縫製チームで検討していました。
なぜ返品になるのか。日本人の求める品質と彼らが十分と考える品質の違いを話し合います。
返品を手にとって見るそれぞれの顔は職人のものです。
タナパナ・スワローズのもう一つの活動である学校教育。
約600名の子どもたちが学んでいました。学費は無料です。
こちらの行動にストレートに反応してくれるのが嬉しい!しらけていません。
タナパナ・スワローズで働く人たちのための託児所もありました。
ここはNGOグローバルヴィレッジも出資しています。
※グローバルヴィレッジは、フェアトレードカンパニー(株)と対をなすNGO部門です。
有機農業講座も開かれていたのには驚きました。1,600人の農民に有機農業指導を行っているそうです。
農薬による健康被害が多いのがその理由。また、自然なものではありますが、ヒ素による水の汚染も
大きな問題となっているので、その浄化活動も行っています。
さらにドメスティックバイオレンス撲滅のための講座も開かれています。
外に出てみました。田んぼの真ん中の立札。この田んぼはタナパナ・スワローズの主導で、
有機栽培をしていることがわかります。
田んぼ全景。草むしりをしている方のお顔は撮れませんでした。暑くて大変です。
以下バングラディッシュ番外編です。
バングラディッシュと言えばグラミン銀行。
銀行と言ってもりっぱな高層ビルで、事務室がたくさんあるような感じ。
総裁であるムハマド・ユヌスさんがノーベル賞をとった時の記念に活動内容が紹介されていました。
貧しい人たちの自立のために始まった少額金融(マイクロクレジット)はあまりにも有名です。
タナパラ村では、牛車が当たり前に使われています。ゆっくりのしのし歩いています。
日差しが強いので遅いくらいがよいようです。
これは木の棒に牛の糞をくっつけたもの。ギザギザに見えるのは手の指の跡。
乾かして煮たきの燃料にします。エコロジーな燃料です。勝手に「エコ棒」と呼びました。
夕日を背に農作業を終えて家路につく農夫。
西パキスタン(現パキスタン)と戦争中、後ろの麦畑で村の男たちが200人以上殺されたのだと
後で教えてくれました。
さらに奥にはガンジス川の支流があり、その向こう岸はインドです。
最後に乗ったバスは日本語が書かれたHINO製のバスでした。
日本を出ておそらく40年以上、酷使され続けてもなお現役です。モノを大切にすればここまで
使い込めるんですね。
今回の出張でタナパナ・スワローズの素顔が確認できました。
衣類を作るだけでなく、多角的に地域を支援しているNGOだったのは驚きです。穏やかだけど熱い
ハートをもった人々でした。
そして、現地の持つ伝統と技術を、おしゃれなデザインと結びつけて世に問うたフェアトレードカンパニー
は新しいフェアトレードの形なんですね。
大地を守る会 国際局 豊島 洋