2012年2月 1日

NEWS 大地を守る2012年2月号 くらすことつながること


  寒い季節がおとずれると「どうしようかな」と思います。それは、味噌づくり。今年は「どの豆を使い、どの麹にしようか」と、そんなことを考えはじめるのです。
味噌を仕込んでいる人は周りに多く、何人もから「味見」と称する自家製味噌をいただきます。
おなじ豆、おなじ麹を使っても、その人、その家で味はずいぶんちがいます。しっかりした味噌、やわらかな風味の味噌、塩が強い味噌。その人の手とその家の空気が、それぞれの味噌をつくり出すのを感じます。
 味噌づくりをはじめるまでは、家での味噌作りを「むずかしい」と思いこんでいました。でも、友人に教わったところ、とても簡単。
1 日か半日の作業で、半年後にはおいしい味噌ができるのです。
前日の夜、豆をたっぷりの水に浸けます。この作業をわすれないようにするため、いつも、豆を目につくところに置き、メモ書きしておきます。翌朝、目が覚めると、ふっくら膨らんだ豆がまっていてくれます。
豆を圧力鍋で煮て、つぶして、塩と麹と混ぜる。空気をなるべく抜くようにして、保存容器へ。作業を確認しながら、話しながら、味噌づくりを進めます。
仕込んだ味噌は、しばらくしたら「天地返し」を。これは、上と下の味噌を入れ替える作業。でも、うちではしません。それでも、おいしい味噌ができるのです。麹の力はすばらしい。
仕込んだ味噌は、半年後から食べられますが、わたしは、1 年、寝かせてからいただきます。みずみずしい味噌は自家製ならでは。
 こうして、その家らしい味噌ができ上がっていくのです。

いままで、味噌づくりは、友人と夫との3人での作業でしていました。わが家の味噌づくりは、すべて手作業。豆をつぶすときにフードフロセッサーを使う方法もありますが、手のほうが作業が早いのです。つぶす作業を手早くするには、男性の力があると助かります。
 でも、今回は様子がちがいます。
3.11 を受け、それぞれの生き方、在り方を見つめ直しはじめた人もいると思います。わが家もそう。しばらく、夫と別々に暮らすことになりました。夫はすでに自分用の味噌を仕込み終わったところ。わたしの味噌づくりは、これからです。どこで、どんなふうに味噌を仕込むんだろう。
自家製味噌は、麹が生きています。発酵がつづいています。食べるなら、ぜひ、生きている味噌を。
 


廣瀬 裕子(ひろせ ゆうこ)
作家。日々の暮らしがその人を育むという思いを言葉に乗せている。著書に『できることからはじめています』、『まいにちのなかにオーガニック』など。3.11 を受け5 年後10 年後のこどもたちが健やかに育つ会を立ち上げた。
http://y-hirose.com/



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