2012年4月 2日

news大地を守る4月号 食品と放射能問題 検討共同テーブル続報

「バランスのとれた食事こそ大事な防護」白石久二雄さん学習会

放射能対策特命担当 戎谷徹也

 大地を守る会など4団体で構成する「食品と放射能問題 検討共同テーブル」では、2月17日、元(独)放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センター・内部被ばく評価室長の白石久二雄さんをお招きし、「食物摂取による内部被ばく」をテーマに内部学習会を開きました。

 白石久二雄さんは、食品による放射線内部被ばくのリスクについて専門的に研究された日本で唯一の研究者。チェルノブイリ原発事故後、「ウクライナ医科学アカデミー放射線医学研究センター」との共同研究に携わりました。
 ウクライナでは1994年、知識不足によって健康を損ねがちな現地の人々のために、放射線に対する正しい知識と防護のための食事法(食材の選び方や調理法など)を解説した小冊子が、国際赤十字社の支援によって無料で配布されました。白石さんはその冊子を翻訳し、自費出版しました(『チェルノブイリ:放射能と栄養』)。
 それが今、福島原発事故の発生によって注目されるとともに、多くの書物等に援用されています。学習会では、放射線の基礎から始まり、事故前の自然放射性核種と人工放射性核種の被ばく実態、体内の放射能、放射性物質の人体に及ぼす影響、吸入摂取・経口摂取による内部被ばくの計算法などについて解説いただきました。

食品からの内部被ばくを避けるための防護の基本は以下の4 点。
  1. 可能な限り放射性物質の含有量の低いものを摂取する。そのための情報開示が必要。

  2. 調理や加工法により放射性物質を減らす。基本は、洗う(皮を剥く)、煮る(浸す・茹でる)、塩や酢の活用、前処理なしでの油料理は避ける、魚は骨や内臓を避ける、等。

  3. 放射性物質の吸収阻害と排泄促進。カルシウムはじめミネラル類と食物繊維の摂取を推奨。カリウムとペクチンも有効。

  4. 被ばくに対する生体の抵抗力(免疫力)を強化する。バランスのとれた食事によって免疫力を上げることが重要。ビタミン・ミネラル類、抗酸化物質、タンパク質を摂ること、脂を摂り過ぎないこと。海藻類や発酵食品を主とした伝統的和食を見直すこと。

 白石さんは、国の新たな基準については一定評価しつつも、検査機器の徹底した配備、陰膳法の活用など、もっと子どもに対して配慮する必要があると主張されました。「共同テーブル」では、こういった内部学習や専門家へのヒアリングを進めながら、食品における放射性物質に対する規制・基準の"あるべき形"について、検討を重ねています。

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