2012年9月 3日

NEWS 大地を守る2012年9月号 環境百科 エコペディア

環境ジャーナリスト・天笠啓祐が身近な環境問題を読み解く

食品表示が変わる!?
 食品表示が大きく変わろうとしています。検討を加えているのは消費者庁で、昨年9月から「食品表示一元化検討会」を開催、この8月3日に終了、来年3月には法案が提出されます。食品表示はこれまで、複数の省庁、法律にまたがっていたことから、消費者庁に一元化します。具体的には食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律の中の食品表示に関する部分を集め、新しい法律を作るのです。すでに一般からの意見が募集され、意見交換会が開催され、市民の意見がまとまりました。

 要望として多く寄せられた項目は、
①法律の目的に「消費者の権利」「食文化を守る」という言葉を入れてほしい、
②「加工食品の原料原産地表示」を行ってほしい、
③「遺伝子組み換え食品」のきちんとした表示を行ってほしい、
④「栄養表示を原則義務化」を行ってほしい、というものでした。

 しかし検討会は、この消費者が求めるものに、背を向けて議論をすすめてきました。というのは、この検討会で大きな位置を占めているのが、大手企業が力を持つ業界団体だからです。業界団体が狙っているのが表示の簡略化であることも、明らかになりました。「分かりやすい表示」という言葉で、文字を大きくし簡略化することを求めています。一見、消費者に配慮した良い提案のように思えますが、簡略化すれば中身が分からなくなります。食品表示には、大手食品メーカーには都合が悪いものが多いからです。分かりやすい表示とは、消費者がその中身を正確に知り、選択できるものでなければいけないはずです。消費者の意向を無視する業界団体と、その業界団体の方ばかりを向いている消費者庁という現実があります。

天笠 啓祐(あまがさ けいすけ)
ジャーナリスト。遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、市民バイオテクノロジー情報室代表。
著書に『遺伝子組み換え作物はいらない!ー広がるGMOフリーゾーン』『世界食料戦争』ほか多数。

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