2012年12月11日

「もっこす」な生産者さんに会ってきました! 〜九州地区生産者会議レポート〜

みなさん、はじめまして! 消費者会員の安西直美と申します。今年の6月、CSR運営委員に着任しました。大地歴8年、千葉県在住2児の母です。

 

CSR運営委員のお仕事は、毎月開催される委員会や、生産者会議への出席などがあります。生産者会議は、作物・業種・地域やテーマ毎など多岐にわたり、それぞれ定期的に勉強会を行っています。

今回私が参加したのは、熊本県宇城市で開催された九州地区生産者会議。お米・野菜・柑橘・海苔など約90名ほどの生産者さんが参加する1泊2日の勉強会です。

 

そこで、「もっこす」な生産者さんに会ってきました!

みなさん「もっこす」という言葉を聞いたことがありますか?「もっこす」とは、頑固一徹(がんこいってつ)で無骨(ぶこつ)な人物・性格を指した熊本の方言です。

 

初日は、2つの講演会が行われました。

はじめは、熊本における有機農業の先駆者となった「温森(ぬくもり)の里」代表 寺尾勇さんから『命を守る農業』についてです。アフリカでの実体験を交え、命を守ることは命をかけること、人生における目的は幸せを追求すること、とお話しくださったのが印象的でした。

 

次の講演は、2001年から自然エネルギーの普及活動に積極的に取り組んでいる「NPO九州・自然エネルギー推進ネットワーク」代表の小坂正則さん。『自然エネルギーと農業』がテーマです。

 

現在九州では、太陽光はじめ、水力、地熱、木質バイオマス、メタンガス、風力、など土地に合った、自然エネルギーの発電所が随所に設置されています。中でも、焼酎粕からのバイオエネルギーで飼料製造、などというのは九州ならでは。

 

他にも、電力自由化における海外の事例、自然エネルギーの今後の展望などをお話しいただきました。エネルギーの地産地消で地域にお金を回すことについては、経済成長がなくとも会社は成り立つことや、幸せの定義ということについても言及され、私たちがこれからどう生きるか、しっかり考え選ぶときなのだと思いました。

生産者の皆さんも熱心に耳を傾け、質疑応答も活発な意見交換が行われました。

 

懇親会では、生産者さんからの近況報告を交え、楽しく美味しい九州の夜はゆっくりと更けていきました。


図1.jpg

*ブレス(柑橘類生産者)の皆さん

翌日の圃場見学では、まず、今回受け入れをしてくださった「肥後あゆみの会」澤村さんの、木質バイオマスボイラーを導入したハウスの訪問です。ハウスの中は、熊本県産の杉の間伐材を燃やしたクリーンな暖房で15度前後に保たれていました。

九州 澤村さん.jpg               *木質バイオマスボイラーの説明をする澤村さん

九州 チップ.jpg                 *熊本産杉の間伐材をチップにしたもの
九州 ボイラー燃焼.jpg

*木質チップ燃焼の様子

澤村さんによると、木質バイオマスボイラーに日々かかるコストは重油ボイラー使用の際と同じくらいとのこと。ただ、機械導入の初期費用はその5倍、県の補助は半分程度なのだとか。

 

「じゃあ、導入するメリットはなに?」「それは、誇りです」。などのやり取りがありつつも、限りある資源と持続可能な資源、これからの時代にどちらを選んでいくか、ということが大事なのだと思いました。いま私たちが何を選んでいくのかということが将来につながっていくのです。目の前の事がらにとらわれることなく、ずっと先の未来に想いを馳せることが大切です。

何をするにも、成功するか失敗に終わるか、最初は誰にもわかりません。それでも始めた人がいる、という事実は将来にとても大事な意味をもたらすことでしょう。

 

さらには、木質バイオマスボイラーを導入し、ハウス内にCO2を循環させ再利用する仕組みを創った結果、作物の成育がよくなったことを実感されているそうです。採れたお野菜も、きっとシアワセなお味なのではと想像してみました。

九州 ハウス.jpg       *ハウスから出ている煙突、その後ろにあるのは木質チップのタンク。

        自動でハウス内の機械に供給されます

澤村さんのもうひとつの圃場は海寄りの干拓地。土地がら、土壌の塩分を除去するのは難しいのだそうです。そこで作られているのが「塩トマト」。試行錯誤の甲斐あり、みなさんもご存知のブランドに育ちました。味が凝縮され、土壌の塩分やミネラル分の作用で味がギュッと凝縮された「塩トマト」は、糖度が通常のトマトの2倍ほど。高価格で取引されています。

害中対策には、小さな虫も通さない目の細か〜いネットをハウス内に設置するなど農薬に頼らない工夫が施されていました。

九州 トマト.jpg

次に訪れたのは、不知火海に臨む中村さんの柑橘類の圃場です。

今年、温州みかんなどはカメムシが大量発生。しかし、農薬は使えません。その対策として7月中旬ころ、摘果した青いみかんを半分に切って瓶の中で黒砂糖と一緒に漬け込んだ液体を散布したところ、3回ほどで、ようやくカメムシの被害は少なくなったそうです。


九州 みかん.jpg

*葉のグリーンと「みかん色」のコントラストが美しい

また、パール柑(別名:土佐文旦)は、木の根を切ってしまうというカミキリムシの発生に悩まされましたが、こちらも自然農薬(ボーベリア菌)を使って何とか乗りこえたということです。

九州 パール柑.jpg

*中村さんの「パール柑」 すくすくと育っています!

産地を訪問したり、直接お話をうかがうと、これまで知り得なかった生産者さんの情熱や努力を垣間みることができます。そして、わたしたちの食卓に上がる食べものに対する想像力や、感謝の気持ちは膨らんでいきます。今回の会議の冒頭に、受入生産者の澤村さんから「有機農業は楽しい。ラクではないけれど、夢や目標を持つことができる。」という言葉を聞くことができたことも、とても頼もしく嬉しく思いました。

 

生産者の皆さん、いつもありがとうございます。皆さんが「もっこす」でいてくれるお陰でわたしたち消費者は、安心安全かつ「シアワセ美味しい」食べものをいただくことができるのです。そして、わたしたちはその生産物を適正な価格で買い支えたいと思っています。これからも「顔の見える関係」を大切に、末永くお付き合いをよろしくお願いいたします!

 

 

【追記(消費者の皆さんへ)】

毎年2月下旬に行われる「だいちのわ 大地を守る東京集会」は、全国の大地を守る会の生産者さんと一堂に会することができるとても貴重な機会ですよ〜。

大地を守る会の震災復興支援

生産者に会いに行こう 商品を知ろう! 料理を楽しもう! 知って学ぼう! みんなで話そう!

海外とつながろう! 安心な食べもの 食べて守る生物多様性! 農業のこと 環境のこと 大地を守る会のこと 「NEWS大地を守る」PDF版 大地を守るメディア取材 大地を守る Deli