2013年8月27日

TPP交渉 日米の食い違い

TPP交渉が進むにつれて、政府が語ってきたことのウソ:矛盾が明らかになってきています。

TPP問題について、何度も来日されている、ジェーン・ケルシーさん
(ニュージーランド・オークランド大学法学部教授/
「異常な契約 TPPの仮面を剥ぐ(農文協)」著者)が、

『TPP協定における日本・自民党の国益条件に関する問題提起』と題して、
問題を提起してくださいました。

STOP TPP!! 市民アクションのブログに掲載されています。
ぜひご覧ください。


TPP協定における日本・自民党の国益条件に関する問題提起
―2013年7月19日、ジェーン・ケルシー教授



自由民主党(LDP)TPP対策委員会は、2013年3月13日、
「TPP対策に関する決議」のなかで次のように述べた。

「とりわけ、政府は最優先の課題として、聖域または最重要分野の保護を追求しなければならない。

すなわち、日本が自然及び地理的条件の制約を受ける農業、林業、漁業における5つの重要産品と、
長い歴史をもつ国民皆保険型の健康保険制度のことである。

これらの分野の保護が困難と判断される時は、
政府は交渉から離脱することをためらってはならない」。


この小論は、自民党が選挙運動の中で推進し、2013年3月13日付の
自民党TPP対策委員会決議で繰り返し述べられたTPPに関する6つの国益上の条件が
達成されえない理由を説明するものである。

本分析は、過去3年間にわたるTPP交渉について集約された情報と、
安倍内閣が日本の交渉参加の条件としてアメリカと合意した取引内容を示した
公式文書に基づいている。


日本政府はすでに、TPP交渉への参加承認の代価として、
自民党のいう条件とは矛盾する譲歩事項に合意している。

自民党が掲げた条件のいくつかはアメリカによって明確に拒否されており、
2013年2月にワシントンで安倍首相がオバマ大統領と会談した際に明らかになっている。

2013年7月18日、米通商代表(USTR)のマイケル・フロマンは
アメリカ連邦議会歳入委員会に向けた証言のなかで

「アメリカが4月に日本の交渉参加を合意した際には、
日本の個別分野での先行的な例外は一切なかった、と強調した」。


TPP交渉参加に関する日本の条件を記載した2つの「食い違った」文書が
発表されたことを指摘しておくことは重要である。

アメリカが発表した文書では、日本が大きく譲歩したことが強調された。

日本はTPP加盟国となるために、アメリカが要求した重要関心事項(利害が対立する)を
解決するためアメリカとの二国間交渉をおこなうことに合意するとの内容が含まれていた。

さらに、日本郵政による新規の医療保険商品発売の留保に関する合意など、
日本からの具体的な譲歩内容が含まれていた。

一方、TPP参加の条件を要約した日本の文書には、これらの譲歩が明らかにされていない。
ほとんどの日本の新聞は、この経過について安倍内閣の筋書きをそのまま伝えただけだ。
朝日新聞はその全体像について報告している。

朝日新聞:日本とアメリカによるTPP合意文書間の隔たり
(2013年4月17日-7ページ)


日米両政府は4月12日、環太平洋連携協定(TPP)交渉会合への日本の参加について合意した。
これに基づき、両国政府はそれぞれ別々に文書を発表。

しかし、その2つの文書に食い違いのあることは明らかである。
両文書とも両国の国内読者に都合よくしたてられている。
例えば、日本の文書は日本郵政のかんぽ生命については触れておらず、
アメリカが公表した文書は農業問題に言及していない。
このような修正により、両国内での文書の受け取られ方に相違が生じる。
このことは将来のTPP交渉において問題となる可能性がある。


合意の詳細は、日本とアメリカ双方の公式合意として、
佐々江賢一郎駐米アメリカ大使とマランティス通商代表代行との間の
往復書簡の形で発表された。

しかし、両国政府はそれぞれの国民に向けて別々に文書を発表し、
これについて内閣官房長官は、両国が強調したい部分に焦点を当てて編集したと述べた。

日本の文書は「合意の概要」という題名がつけられ、
アメリカは「日本との協議」と題した。
この命名が文書の食い違いを表わしている。

・・・・

STOP TPP!! 市民アクションのブログに全文掲載されています。
つづきも、ぜひご覧ください。


大地を守る会の震災復興支援

生産者に会いに行こう 商品を知ろう! 料理を楽しもう! 知って学ぼう! みんなで話そう!

海外とつながろう! 安心な食べもの 食べて守る生物多様性! 農業のこと 環境のこと 大地を守る会のこと 「NEWS大地を守る」PDF版 大地を守るメディア取材 大地を守る Deli