2013年10月 9日

「第10回全国農業後継者会議 in 高知」 報告

   佐藤CSR運営委員による後継者会議報告をお届けします。

 ***********************************************************************************************

8/29日(木)~30日(金)、今年最高気温を更新した、

まさにHotな高知での全国農業後継者会議(以下後継者会議)に出席してきました。

 

01_ryoma.JPG

まず、空港で、龍馬像がお出向え。

02_hanbaiki.JPG

外に出てみると、賑やかな自動販売機がお出迎え。

 さすがに、市内は普通の自動販売機でした。


気温が35度を超えていたらどうしよう・・・と心配していましたが、

高知空港についたときの気温、まさかの26度!!なにそれ?まぁいいか。

過ごしやすいに越したことない。それに朝のまだ9時台だしね。

などと考えながらほかの出席者とマイクロバスに乗り会場に到着したら、

ちょっと早めのランチです!

こちらは、ホテルおすすめの、地場産の野菜をふんだんに使ったビュッフェスタイルのランチです。

エディエブルフラワーのサラダが嬉しくて、ついたくさん頂いてしまいました!!

03_tyushoku.JPG

1時から後継者会議が始まりました。

まず、藤田会長の挨拶がありました。

藤田会長は、農業は命を育む産業であり、そして日々命と向き合っているためか、

農家には魅力的な方が多いと思われていることや、

インドネシアのバリの芸術は農民の芸術であり、しかも世界レベルであること、

またこれらも命の営みと日々寄り添って生きているからだからこそであること、

またTPPが導入されると、今国産で90%以上の米作は10%に、

食料自給率は13.9%になると農水省は言っているが、が、大地を守る会の消費者は違う。

怒涛の様に安い海外の農産物が入ってきても、それに飛びつくことなく、

顔の見える関係のものを選んでくれると思うなどのお話をされました。

 

藤田会長の挨拶に続き、今回の会議の受け入れ団体の弥生ファームの

小田々仁徳さんが挨拶をされました。

 

続いて、(株)ローソンさんとの関連事業について、

(株)ローソンから大地を守る会にいらしている山口さんより、

提携の意味とその方向性や、(株)ローソンの店舗にて大地の青果物を販売したり、

中食用、加工用の原料に使用したりして、畑で発生する余剰の受け皿や、

作付面積の拡大に貢献を目指す等のご説明がありました。

 

その後、基調講演「ボクが百姓になった理由~3.11後の福島から~」と題して、

ひぐらし農園の浅見彰宏さんが公演をされました。

04_asami.JPG

浅見さんは、千葉県出身で1993年の大冷害で日本の農業の脆弱さに気がつき、

民俗学や環境問題にも関心がおありになり、一度は鉄鋼メーカーにお勤めだったのですが、

埼玉県小川町の有機農家金子美登さんの農場にて1年住み込み研修をされて、

福島県喜多方市山都町で農業を始められました。

 05_higurashinouen.JPG

今年で17年になるそうです。

稲作と畑作、養鶏をされています。

 

浅見さんは、中間山地での農業の意味&社会的役割や、

また3.11以降、あらためて安全とは?福島で耕し続ける意味は?

またどう変わるべきか、について考えられたそうです。

そして、人と人、また、人と自然が繋がる新しい循環や新しい価値観の創出、

農業の社会的役割・価値を社会で共有することや、今生きている人同士だけの繋がりではなく、

過去、現在、未来といった時間軸でのつながりを再構築されることを提案されていました。

 

休憩を挟んで、「語ろう!これからの農業!」と題したパネルディスカッションが始まりました。

パネラーは、ひぐらし農園の浅見彰宏さん、有機農業就農支援組織SOEL代表ニラ農家・酪農家の

田村雄一さん、いわみ地方有機野菜の会の三浦大輔さん、コーディネーターとして

大地を守る会の戎谷徹也さんが登壇されました。

06_panel.JPG

まずは、それぞれの営農の状況を資料を見ながらお話され、

それから、今後の展望や課題といったことをディイスカッションされました。

圃場の状況や作付作物は違っても、各地域において共通の課題は、

新規参入や規模拡大の際に、入手できるのは条件不利地ばかりで、

しかも販路を新たに開拓するのが非常に大変である、ということでした。

 

有機農業の若手の定着と継続には、こういった方面でも支援が必要である

ということが挙げられていました。

 

休憩の後、高生連の田中正晴さんから「高知市の自然環境への取り組み紹介」と題して、

講演がありました。

07_kouseiren.JPG

 

高知市の環境への取り組みから高知県の環境への取り組みなどを短時間で

まとめてお話くださり、高知という土地の環境への熱い思いを感じました。

 

最後に、この度参加していた、CSR生産者運営委員の日本食品工業の中西さん、

消費者CSR委員の佐藤(私)、安西さん、見澤さんの順で一言ご挨拶させていただきました。

 

会議は終了、1時間の時間をおいて、懇親会がありました。

08_konshinkai.JPG 

小田々さんが乾杯の挨拶をされ、和気あいあいとした懇親会が始まりました。

順に、参加された生産者の方が前に出て、一言ご挨拶をされるのを聞きながら、

会場の皆さんと楽しく歓談が行われていました。

 

途中、無茶々園の飯島さんが東農大名物の大根踊りを披露され、

その後、ローソン農業推進部シニアマーチャンダイザーの下澤さんがご一緒にまた踊られる、

という楽しい余興もあり、懇親会も大盛り上がりのまま2時間開催されました。

 

翌日は、高知県香美市香北町の弥生ファームの圃場および施設の見学でした。

09_yayoifarm.JPG


弥生ファームさんは、慣行農法されていたのですが、農薬にかぶれる体質のため、

有機に転向されました。この施設では洗って袋詰めされています。

見学に行った日は、生姜と万能ねぎとニラの作業が行われていました。


10_in kakoujo.JPG

こちらの施設では、食品並みの配慮が行われており、着帽、マスク、手袋をして

作業を行っていらっしゃいました。

施設見学のあとは、圃場見学です。

ゆずとニラのハウスの見学をさせていただきました。


11_hojo.JPG

写真は柚の畑です。

実は、藤田会長の前の柚の木の根元から立派なこんにゃくが出ていて、

それがあまりに立派だったのと、なんでこんなところに?

というところで皆さん盛り上がっているところです。

この木だけで、柚畑の前にこんにゃくを植えていたわけでもないようで、

どこから紛れ込んだのか不思議でした。

 

最後施設に戻り、3本で締めて弥生ファームを後にしました。


このあと、木質ペレットを燃料にしたボイラーでハウスを加温して、

ナスを作っているハウスを見学に行きました。


12_kisotank.JPG


高知県に豊富にある、木材を有効利用し、山林を守ると共に、CO2削減にも貢献する、

という従来の重油ボイラーから考えると、夢のようなボイラーです。

ここ高知市は冬場のナスの産地で、たくさんのビニールハウスが立っていて、

そこにボイラーが設置されています。

 

暖かい高知でビニールハウス?とはじめは思ったのですが、理由を聞いて納得しました。

重油ボイラーを使用しているハウスとの違いは、

外に酪農用のサイロが設置されていることでわかります。

温度設定もでき、自動で燃焼カロリーもコントロールできるそうです。

導入事例はメーカーの相愛さんによると、2008年から昨年までで、133台とのことでした。

ここが最後の見学場所で、このあとは一路空港へ向かいました。


途中でお昼をいただいたのですが、そこにうつぼが飼われていて、

なんとうつぼ料理があるとのことでした!


13_utsubo.JPG

残念ながらうつぼ料理はいただかなかったのですが、ちょっと食べてみたいと後ろ髪をひかれつつ、

お店を後にしました。

 

 

そして空港でまさかのゆるキャラと遭遇!!「かつお猫」と「とさけんぴ」です!

14_yuru_chara.JPG

見た目はどちらもは可愛くてよかったのですが、

「とさけんぴ」の動きが「ふなっしー」とそっくりで、ちょっと怖かったです。

が、「とさけんぴ」はステッカーを配っていたので、つい頂いてしまいました。

 


今回の後継者会議で感じたことは、全国各地、圃場は風土にはいろんな条件や

作付作物の違いはあるけれど、同じような問題を抱えているということを知りました。

こんなに耕作放棄地が増え、食料自給率は低く、

さらにTPPによりダメージを受けようとしている第一次産業の行く末に、

一般消費者はさほど興味があるようには感じていない、と私は日頃から感じています。

TPPが導入されれば、大地の消費者のような消費者と、

100均ローソンのようなところを愛用する人たちとに2極化していくだろう、という声も聞きました。

既に、アメリカやヨーロッパはそうなっている、とのことでした。

確かに安い普通の商品には大地のような消費者はあまり関心がないかもしれませんが、

オーガニックだって入ってくるでしょう。

そうなった時に、コストが高い日本の農業はどうなるのでしょうか。

自分の目先だけの消費を追い求めるのではなく、

商品を購入することの意義をもう一度消費者が思い出さなくてはいけない、と切に感じました。

 

消費者運動が盛んな頃、不買運動というものがありましたが、

今度は何かをしない、というアクションではなく、購買運動というものが起こればいいと思います。

 

商品を購入するということは、その会社、その商品を支持し、未来へ繋げる、という意味もあります。

国産そして、効率はよくないからコストは割高になるであろう中山間地の国産のものを選ぶことは、

社会システムを維持し、子供たちに生きるための多様性を守るという大きな意義があります。


そういう新しい視点を持つ生活者が増えることが社会を良い方向へと変えていくのだと思います。

生産者も消費者です。

流通者も消費者です。

全ての人が、このような視点を持って生きていく、

そういう社会にしていきたいと感じた生産者会議でした

大地を守る会の震災復興支援

生産者に会いに行こう 商品を知ろう! 料理を楽しもう! 知って学ぼう! みんなで話そう!

海外とつながろう! 安心な食べもの 食べて守る生物多様性! 農業のこと 環境のこと 大地を守る会のこと 「NEWS大地を守る」PDF版 大地を守るメディア取材 大地を守る Deli