2013年11月19日

資源管理漁業の第一歩を「いわき」から

11/17()17:00から行われた

「第1回いわきの漁業の未来を考える会」に参加してきました。

 

この集まりは、震災以降、おさかな喰楽部(吉田)が三陸の漁師と

交流を重ねてきた中で、福島の漁業の将来を真剣に考えている

2人の漁師(新妻竹彦さんと石井宏和さん)と出会ったことが、

きっかけに誕生いたしました。

 

2人の漁師は、

「福島第1原発事故以降、魚貝サンプルを獲るために網を30分ほどしか入れないにもかかわらず、

震災前なら2時間以上網を入れたときよりたくさんの魚が獲れる」

と言います。

 

これは、強制的に行われた禁漁により、

魚の資源が急速に回復してきたということです。そして

「福島の今の現状を考えると、自分の代には結果は期待できないかもしれないけど、

孫子の代に豊かな海を残して、漁師をやれるようにしてあげたい」

という強い気持ちがあります。

 

そのような話を一緒にする中で、この禁漁というマイナスをプラスに変えるには、

いわきの漁業が日本一の資源管理型漁業に転換するしかない。

 

そのためには、おさかな喰楽部の新年勉強会でも講演いただいた資源管理の

第一人者である勝川俊雄さん(三重大学生物資源学部准教授)に力を貸してもらい、

みんなで「いわきの漁業」について話をしましょうということになり、

1回目の会合が行われました。

 

当日は、漁師のお二人をはじめ、

勝川先生、市議会議員、水産加工関係者、消費者など13名が集まりました。

 

漁師と水産加工・魚屋は、利害が逆になるので

一緒のテーブルに着くことはまずありません。

漁師は自分が上げた魚は高く買って欲しいし、

魚屋さんは良い魚をいかに安く買い付けるかが商売の基本になるからです。

 

この結果何が起きるかというと、

漁師はたくさん獲ることだけに走り、資源はダメージを受け、

結果として水産加工関係でも良い魚を安く?適正な値段で仕入れることができなくなります。

そして、それは最終的には、消費者にとっても大変不幸なことになります。

 

勝川先生は、今安く流通されるヨコワ(本マグロの幼魚)を5年獲らずに太らせれば、

漁師も魚屋も消費者も持続的な魚の恩恵を受けられると言います。

小さなヨコワは11500円程度、これが5年後の本マグロに成長すると

148万円になるのです。

 

ヨコワの幼魚が本マグロまで成長できるのは1/3なので、

少なくとも今のヨコワは約16万円ほどの価値となり、

漁師や魚屋はもちろん、消費者にとっても資源の心配をしないで

おいしいマグロを食べ続けることが可能になります。

 

原発事故により28カ月続けてきた禁漁は、

資源管理にとってはまさに天の恵みです。

いや、天の恵みに変えなければ福島の漁業の真の復興はありえないだろうと、

4時間にもおよぶ話し合いがもたれました。

 

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漁師と魚屋そして議員や消費者が、

水産資源の管理によって、地域振興をすすめよう!

という歴史的な一歩が刻まれた瞬間だったと思います。

 

汚染水をはじめとする放射能の問題、この先、本当に漁師が一丸となり

IQITQという漁獲割り当てによる資源管理を実行できるのか、

仲買いや水産関係者も適正な値段と情報をつけて流通していけるのか、

問題はまだまだ山積みです。

 

しかし、「いわき」だからこそ、持続可能な水産ビジョンを策定し、

前進していこうという強い意志が集まった仲間から発信されました。

 

大地を守る会・おさかな喰楽部では、

これからも、いわきの福島の漁業に注目し、皆さんに情報を発信していきます。
(おさかな喰楽部・吉田和生)

 

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