<05>知って学ぼう!: 2010年3月アーカイブ

2010年3月30日

「神泉・食と農の畑の樂校」の現地説明会を行いました。

とらちゃんこと虎谷健です。

 

だいぶ春めいてきましたがまだまだ寒い日もあります。3月は天候も不安定ですから皆さんも

体調管理には気をつけてくださいね。

 

今年で4年目を迎える「神泉・食と農の畑の樂校」企画の現地説明会を行いました。

説明会が行われるのは畑の樂校の畑がある、埼玉県北部にある神川町。

あれ!「神川町」なのになんで「神泉」なの?と思われた方はするどい。

実は4年前にこの畑の樂校企画を始めた時、この地域は「神泉村」という村だったのです。

それが町村合併を経て、「神川町」になりました。

 

農業には全くの素人の私たちの願いを聞いてくれて「やってみてごらん」と快く畑を貸してくれた村長さん、

「草出すなよ~」と言いつつ、夏ごろには「まだあいつら続いているな」、秋頃には「なかなか続くじゃないか!」と

暖かく見守ってくれた地域の皆さんに敬意を表し、企画名に「神泉」の名称を残しているのです。

 

 

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参加者の皆さんが集まる前に畑の様子を見て来ました。

 

ほとんどの作物は収穫を終えて耕運機で耕されています。耕運機を使うのは年に2回ほど。

様々な作物が植わっているので、普段は必要な場所だけ鍬で耕しています。

そして畑が空くこの時期に、ほぼ全面を耕します。

雑草などもそのままに、一気に耕し、少し間をおいてからもう一度耕運することで、雑草の勢いを

抑え込んでしまいます。

 

 

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そら豆の苗です。赤城おろしが吹き付ける神泉の冬を乗り切りました。 

 

 

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村内を歩くときれいな水路が流れています。クレソンも生えていて沢ガニもたくさんいます。

川の音を聞きながらの生活っていいですね。 

 

 

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こちらのお宅は野菜を洗う場所も作っています。身近かにきれいな水が流れている生活ってうらやましいなぁ!

夏ならスイカやビールを冷やしても良さそう!

 

 

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説明会時間は約1時間半。東京から片道100kmもあるこの土地に、たった1時間半のために来て

いただくのは申し訳ない限りですが、参加申し込みいただく前に一度現地を訪ねてもらい、果たして

一年間通えきれるかどうか確かめていただきたい想いがあったのです。

室内で畑の樂校企画の概要をお話した後は「実際に畑を見ていただきましょう!」ということで

さっそく畑を見に行きました。

 

この日はちょうど、09年度の畑の樂校の最後の開催日です。すでに畑では皆さんが集まって

作業をしていました。ここで講師をお願いしている生産者、庄司義孝さんの紹介を行いました。

 

 

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今日の作業はじゃがいもの植え付けです。一年間、畑を耕してきた皆さんは手際がいい!

このじゃがいもの収穫は6月ですので10年度の参加者の皆さんが収穫を楽しみます。

09年度参加の皆さんの中にも継続を申し出てくれている方もいらっしゃいます。

 

 

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畑の樂校の現地窓口を担当して下さっている㈱ヤマキの角掛康弘さん(右端)の説明を聞きます。

杉林に囲まれている神泉で花粉症は少しつらそうです...。

 

 

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09年度の畑の樂校の最終日ということでなんと、ヤマキさんが昼食を用意してくれました!

「説明会に参加した皆さんもご一緒に!」とうれしいお誘いです。

おしゃれな庭を眺めながらヤマキさんの食材で作ったお昼ごはんをいただきました。

これを食べちゃったら、もう参加するしかないですね!(笑)

 

 

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09年度畑の樂校を頑張りぬいた皆さん。

抜いても抜いても生えてくる雑草にも負けず、葉の裏に潜んでいるあおむしの驚かしにもひるマズ、

夏の暑さにも冬の木枯らしの冷たさにもマケズ

イツモニコニコワラッテイル

サウイフモノニワタシモナリタイ

 

今年4月からの「神泉・食と農の畑の樂校」

今年は途中からの参加申し込みも受け付けますので「やってみよう!」と思われた方はぜひご連絡ください。

 

なお、今年は6月の大豆の播種にあわせて「大豆組」という大豆栽培体験に特化したクラスも設けます! 

畑の樂校で皆さんと畑を耕していただき、大豆の世話がある時はそちらの作業体験をしていただくクラスです。

6月中旬の播種、7~8月の草取り(この作業が大豆栽培には大切!)、11月の収穫体験と豆の選別を

体験していただきます。

また、その収穫した大豆を使って冬の手作り味噌も仕込むこともできます。

自分で世話をした大豆で味噌を仕込む...。ホントの手作り味噌ですね!

 

 

皆さんが昼食を楽しんでいるのを横目に私は次の訪問地、瀬山明さんのお宅へ向かいました。

 

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瀬山さんのお宅にある蔵を改装したおしゃれな空間で、5月16日(日)に行われる「本庄総合公園春まつり」の

出店打ち合わせを行いました。

テーブルの下には映写機が。こんな部屋で映画を見たら気分良さそうです。

今回、春まつりに皆さんで出店するのは初めての試みです。 

 

 

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松田マヨネーズの松田優正社長と娘さんの沙千さん。木曽馬とどさんこを神川で飼っていて

お祭に連れてこれないか思案中。

 

 

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右から高橋ソースの高柳圭司さんともぎ豆腐店の石川修さん。

 

 

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右から味輝のパンの荒木和樹さんとマリーレーンの石井誠一さん。

石井さんは元大地を守る会の職員です。私たちの大先輩ですね。

 

 

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今回の仕掛け人の瀬山明グループの瀬山明さん。

瀬山さんが主催者に出店の相談に行ったところ、担当の方に「瀬山さん、よくあの方たちをまとめ

ましたね!」と驚かれたそうです。

みなさん、信念と行動力がある事業者さんとして本庄市では知られている方々だそうで、

いつも忙しく飛び回っているようで、地域の集まりでみんなで何か一緒に行なう、という事が

あまりなかったそうです。

でも、大地を守る会でお付き合いしている方の中にはもっと豪傑もいますから、私の目には実に

品行方正な方々に見えます。

そのような豪傑生産者の皆さんを束ねて、さらに東京集会で出店までしてもらっている大地を守る会

って組織は実はすごく懐が深い組織なのかなぁ、などと思えてしまいます。

 

本庄総合公園春まつりは5月16日(日)10:00~15:00に行われます。

機関紙「NEWS大地を守る」4月号でお知らせしますのでお近くの方はぜひ遊びに行ってください。

JR高崎線の本庄駅からは徒歩で20分くらいかかりますのでタクシー利用が良いと思われます。

広い駐車場があるので自家用車での参加が便利です。

 

大地を守る会 交流局 虎谷健



2010年3月11日

「地域が支える食と農 神戸大会」 2010.2.20-21

10年3月11日(木)晴れ(by ドクターMaekawa)


大地を守る会では、2005年より、「農を変えたい全国運動」に参加し、その運動の成果として、

2008年に、「全国有機推進協議会」が発足しました。この会に、野田克己さん(大地を守る会

専務理事)が理事として参画し、有機農業の広がりをめざしています。また、大地を守る会が

事務局団体を担う、「全国学校給食を考える会」(→学校給食ニュースHP)の会長である、

五十嵐興子さんが、「食農プロジェクト」のメンバーとして参加し、有機農業をどのように、

学校給食の中で教育として位置づけるか、模索・検討しています。



この「全国有機農業推進協議会」などの理事メンバーが中心となって、この2月に、タイトルの

集会を神戸にて開催しました。この集会の目的のもう一つは、世界の有機農業団体、有機農業

に理解を示しそれを食べている消費者団体を一同に集め、世界へ向けて、今後の有機農業、

そして流通のあり方を発信しようというものでもあります。



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          神戸大会プログラム



このプログラムからもわかるように、アメリカ、イタリア、フランス、イギリス、インド、オーストラリア、

韓国といった世界各国から、約50名ほどの方が来日されました。まさに「有機農業の国際会議」

にふさわしい陣容となっています(→海外スピーカー紹介)。



会場は、15年前の震災で、大きな被害を受けたポートアイランドにある、神戸学院大学。

傷跡は今はほとんど見られません。



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     会場の神戸学院大学



初日の朝から、大きな講堂が満員になるほどの盛況ぶり。およそ、700名近くの参加者が

いたでしょうか。


 


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     多くの参加者で熱気にあふれる会場



午前中から午後のはじめにかけては、各国の有機農業の状況、生産者と消費者の活発な

提携活動が紹介されました。




午後は、7つにわかれての分科会。その一つの「食農教育」を、大地を守る会で担当しました。

パネラーとしては、

五十嵐興子さん:30年間、東京都の学校給食の現場で務められ栄養士。埼玉や群馬、長崎、
       岩手などの生産者と連携し、産直農産物を学校給食に導入し、食育活動を展開。
       現在、全国学校給食を考える会会長

安井孝さん:愛媛県今治市の企画振興部室長。今治で、積極的に有機農産物、地元農産物を
       用いた学校給食の推進活動を展開されている。

中川智子さん:兵庫県宝塚市長。1985年から、地元宝塚市で、学校給食運動に取り組み、その後、
      1996年から2期、衆議院議員を務められ、2009年より現職。

コーディネーター澤登早苗さん:恵泉女子大学准教授。自分の教え子の大学生たちと、有機農業
      に取り組むとともに、その周辺地域の多摩ニュータウンなどにおいて、「親子有機野菜
      教室」などを開催し、食育活動を実践されている。父親の澤登芳さんは、大地を守る会
      へ、有機のキウイを出荷されている生産者でもある。


これらのメンバーで、どうやったら、有機農産物を使った食育活動ができるか、そして、学校給食に

有機農産物をより一層いれていくためには、どのような工夫が必要かについて、議論されました。




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    左から、安井さん、五十嵐さん、中川さん、澤登さん



質疑応答では、自らを「オーガニックマン」と称される参議院議員のツルネン・マルテイ議員

から、「アメリカの学校では、学生自ら有機農産物を耕し、それを給食として食べているところ

があるが、日本でそのようなところはありますか」という質問がありました。日本にも、数箇所、

そういった活動をしている学校があるようですが、まだまだ統計資料になるにはほど遠い状況

であるという解説がパネラーよりありました。そして、ツルネンさんからは、政治家として、日本

の有機農業の発展に全力を尽くすという力強い発言もありました。また、中川市長からは、今後、

宝塚市を、今治に負けないような有機の里にしていけるよう頑張るとの決意表明もありました。


注)実は、僕の机の隣で一緒に仕事をしている「ナカティ」こと中川啓は、彼女の息子さんです。




二日目は、「産消提携」をキーワードに、さまざまな国のさまざまな取り組みが紹介されました。

実は、日本でいう産消提携の概念は、アメリカでは、CSA(Community Supported Agriculture)、

フランスでは、AMAP(Association pour le Maintien d'une Agriculture Paysanne)という言葉

で、実質的に同じ運動が実施されています。これらの世界の「産消提携」のパネルディスカッション

に、野田克己さん(大地を守る会専務理事)がパネラーとして登壇しました。




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    パネルディスカッションで発言する野田克己さん



野田克己さんの発言を要約

大地を守る会では、株式会社という特殊な形式で、生産者と消費者を結ぶ活動を展開して

きました。株式会社というと営利のみを目的としているような印象を受けますが、大地を守る会

では、学校給食運動、脱原発運動、有機農業促進運動を多くの団体と連携して、展開してきま

した。また、年間100回以上に及ぶ消費者、生産者の交流イベントを実施し、「顔の見える関係」

の構築に向けて活動しています。




有機農業という観点でデータを出すと、大地を守る会の出荷する農産物の11.9%が、JAS認証

を受けたものです。しかし大地を守る会では、JAS認証有機農産物だけにこだわっているわけ

ではなく、それに向けて努力する生産者との関係も大切にしています。今後も、生産者と消費者

のより一層の結びつきをめざしていきます。このブログの中で紹介されている、イベントレポート

はまさしくその活動の現場からの情報発信なのです。



大地を守る会 運動局 前川隆文






2010年3月 9日

「ヤマキさんの手作り味噌教室」に行ってきました

とらちゃんこと虎谷健です。

大地を守る会の2日間にわたる大イベント「東京集会」の興奮もさめやらぬ翌週、

埼玉県神川町にあるヤマキ醸造さんで手作り味噌教室を行いました。

いつもの年は1月と2月に2回開催するだけなのですが、今シーズンは手作り味噌教室企画が

大変な人気のため、ヤマキさんにお願いして急遽、追加開催をお願いしました。

3月に入ると暖かな日も増えてきますので、味噌作りの季節としてはぎりぎりのタイミングですが、

当日は小雨まじりの寒い日で冬に戻ってしまった様な天気でした。

 

 

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杉の木々は花粉をいっぱいに貯え、「いつでも飛べるぞ!スタンバイ、OK!」の構え。

山全体が赤茶けて見えるようです。

花粉症の私は花粉の飛散が少ないであろう、寒くて小雨混じりの今日の天気は歓迎です。

 

 

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前回の味噌教室で麦踏みをした麦畑。雨も何度か降って暖かい日もあったのでだいぶ成長しています。

ここまで成長したら株を痛めてしまうので麦踏みはできません。

 

 

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ヤマキさんと大地を守る会が一緒に行っている「神泉・畑の樂校」の畑も見てきました。

さすがにこの時期は作物も少なくて畑は眠っているようです。

しかし、雑草くんたちはすでに花を咲かせ成長を始めていました。

・・・この生命力、脱帽ですね!

雑草くんたちを食べる事が出来たらホントにいいのですが。。。(笑)

 

 

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唯一青々と茂っているのはほうれん草です。越冬中のほうれん草は体が凍らないように

糖分を増やしているので、見た目は悪いですがとてもあまくなります。

 

 

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テントウムシがいました!そういえば今日は二十四節気でいう啓蟄。虫も動きだす季節です。春はもうすぐです!

 

写真にあるように、葉が冷たい北風に吹かれて擦れてしまっています。

プロの農家さんはこのような傷がつかないよう、風が吹くと被覆材を掛けたり、蒸れそうだったら

外したり、とこまめに手間をかけますが、この「畑の樂校」の畑は会員の皆さん達だけで世話を

しているので2週間に一度しか作業日がありません。

どうしても世話が後手にまわりがちです。

人が畑にいないと動物たちもやって来てしまいます。野鳥にもだいぶついばまれてしまっています。 

 

 

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味噌作り会場に集合してまずは昼食。

味噌作りはお腹が減ります。たっぷり食べてがんばろう!おうおう!

ヤマキさんのスタッフの皆さんが準備してくださった、肉をほとんど使っていない、ヤマキさんの

食材だけでほぼ作られたお料理の数々。大豆ご飯がおいしい!

昼食が終わった後、食後の散策に「畑の樂校」の畑の見学にも行きました。

 

 

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会場に集まっていよいよ味噌作りの開始です!

 

 

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材料の大豆、麹、塩をよく混ぜてから潰し始めます。力がいります!

 

 

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子どもさんは足で踏んで潰します。

「食べものを踏んじゃっていいのかなぁ・・・ママ、怒らない?」と最初は不安顔の子どもさんも、

お手伝いになる事が分っていきいきしています。楽しそうですね!

 

 

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女性お一人で参加の方にはヤマキスタッフの強力な助っ人がつきました。

手際良く、あっという間にきれいに潰してくれました。

 

 

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がんばりすぎてひと休み。

 

 

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潰し終えたら、いよいよ容器に移す作業です。まずは講師のヤマキ醸造職員・森田さんの作業を見学です。

長い熟成中にカビが生えにくいように空気が入らないように詰めてゆきます。一番気になる作業ですね。

容器を持参していない方は自宅でこの作業を行いますので、皆さん真剣に森田さんの手元を見ていました。

 

 

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子どもたちも真剣に見学しています。自分の作ったお味噌をごはんの時に味わう体験は身近かな食育ですね。

「食育」などと難しい事を言わなくても素直に楽しいです。

 

 

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今回も無事仕込み終わりました。それぞれの家庭で秋まで面倒をみてあげてくださいね!

夏の終わりごろには、「手作り味噌同窓会」と称して熟成途中の皆さんのお味噌を持ち寄り、

味比べや森田さんのアドバイスを受ける企画を行います。みなさん、またお会いしましょう!

 

大地を守る会 交流局 虎谷健



2010年3月 3日

天鷹酒造さんを訪問してきました!

とらちゃんこと虎谷健です。

皆さん、日本酒を楽しんでいますか?

毎晩のように家や事務所で(終業時間後です!)癒していただいている私は大の日本酒好き。

特に新酒が出る今の時期の火入れをしていない生酒のプツプツはじける感覚を舌の上で

楽しみながら飲むことが大好きです。


醸造が最盛期のこの時期、栃木県大田原市にある天鷹酒造さんを訪問してきました。

今回の酒蔵見学会の目的は醸造現場の見学と作業体験、試飲。

酒造りの作業体験などなかなかできません。

東京でも小雪がちらついたこの日、現地でも雪が降っていました。

那須連山もマシュマロの様にまっ白でした。



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天鷹酒造さん外観。雪の中の酒蔵ってそれだけで美味しいお酒に出会えそうな気持になります。

天鷹酒造さんは、那須山から流れ出る那珂川と塩原渓谷から流れ出る箒川に挟まれた

水の豊かな田園地帯にあります。

那珂川は関東のカヌー乗りに人気の水のきれいな川で、鮭が遡上する南限の川でもあります。



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杉玉が下がっております。ご存じ「新酒ができましたよ!」の印ですね。

静かに雪の舞う中の杉玉。ますます美味しいお酒に出会える期待が高まって参ります!



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工場に入るとなつかしいお米屋さんの香りと精米機がうなる音に迎えられました。

天鷹酒造では精米から自社で行っています。手前にある青い石は精米する際の砥石です。

その上に乗っているのは研いだ状態の米のサンプルです。



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天鷹酒造さんでは、14年前に「米作り酒造りの会」を地元米農家さんといっしょに立ち上げて

地元栃木の水とお米にこだわった酒造りをしています。

倉庫には原料の米がいっぱい。日本酒の原材料がお米であったことを再確認!


ちなみに純米酒1升(約1.8L)を作るのに、約1kgの米が使われるそうです。

1週間に1升のお酒を飲むと年間60kg~80kg(お正月とか忘年会、新年会、とても嬉しい事があった時、

「いやぁ...ちょっと昨日飲み過ぎちゃった!」日も含める)、約1俵のお米を消費することと同じなんですね!

1俵というと私たち一人が年間に消費する平均量と同じくらい...。


そうです!日本酒飲みの皆さんは毎日毎晩、ご飯にお酒にと、うまずたゆまずせっせ、せっせと

お米を消費して米農家さんと田んぼを守っているんですね(笑)。

皆さんもお酒をたくさん飲んで田んぼと農家さん、田んぼの生物多様性を守ろうではありませんか!



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米が炊きあがってもうもうと湯気があがっています。酒造りの現場に来たことを実感!


さっそく帽子と長靴を着用して手洗いをしっかりして見学開始です!

天鷹酒造さんのお酒は有機JASの認証を取得し、「有機清酒」を名乗っています。

有機JASの認証を取るためには、工場設備はもちろん、酒を作る蔵人、さらに有機米を作る農家に

いたるまで認定機関が定めた手順に従わねばなりません。

今回私たちが有機JAS認定の工場に入るにあたって、全員分の認証機関指定の長靴を揃えて

もらわねばなりませんでした。

そこまでしても消費者の皆さんに自分たちの取り組みを知ってもらいたい、というその熱意に脱帽です。

...でも、事前に電話で皆さんの足サイズをお聞きするのはちょっと恥ずかしかったです。 (*^_^*)



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酒造りの戒めが。その成果がまわりを囲む賞状の数々なのでしょうか。

皆さんも「酒造り」の部分を自分の仕事にあてはめて頑張ろう!おうおう!



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蒸しあがった米を放冷機に移します。

この機械で、蒸しあがった熱々の米を麹菌が元気に活動する温度までさまし、さらに麹菌を混ぜ

やすいようにほぐします。



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ほぐした米を麹室に運ぶお手伝いをしました。さっと口をしばって手早く運びます。



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麹室では杜氏さんと一緒に米を拡げるお手伝い。

杜氏さんが作りだした麹菌が好む温度と湿度を体感しました!



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麹菌を振る作業です。さすがに私たちには手伝いは難しそうです。

均一に菌を振った後、さらに菌が全体に行きわたるようにかき混ぜ作業を行います。

そして湿度をさげて菌が米の奥に水分を求めて入り込むように、湿度と温度をコントロールするそうです。



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醸造樽のある奥へ進みます。入口には青々とした杉玉が。

お酒造りは神聖な作業のため、酒造りの初めには神官さんに来てもらいお清めの儀式が行われ、

酒蔵の各場所にはお札やこのような杉玉が下げられています。



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櫂入れのお手伝い。かき回して均一に発酵するように手伝ってやります。

櫂を動かすとプツプツと良い音がします。

樽の縁まで日本酒の清々しい良い香りが...。一日中嗅いでいたい良い香りです!


ここで虎谷、大失態!

欲張って深呼吸したとたんにグラッとして、一瞬気を失いかけてしまいました。

もう少し欲をだして身を乗り出していたら樽に落ちていたことでしょう。

樽の中は二酸化炭素に満ちているので数秒で気を失い、溺れてしまうこともあるそうです。


「酒に溺れて人生を棒にふる」とは人生訓の一例でありますが、酒蔵では人生を棒にふる

どころでなく命を落としてしまうこともあるのです!

たとえ運よく助け出されても「あいつは酒のニオイに誘われて樽に落ちるような奴」という烙印を

おされてしまうでしょう。まさに「酒に溺れて人生を棒にふる」ところでした(笑)。

皆さんも酒蔵でどんなに良い香りに出会っても深呼吸をしてはいけませんよ~。



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見学会の後は天鷹酒造さん自慢の有機清酒4種類を飲み比べ。

他にも生酒なども含めて合計10種類も試飲させていただきました!

同行した職員には「とらちゃん、いちばん飲んでいたよね。」と冷ややかに分析されてしまいました。

いやぁ、天鷹酒造さんのお酒、私、大好きでございます。



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試飲会の後はお忙しい中作っていただいた酒粕汁とおにぎり、大地を守る会の日本酒に合う

おかずで昼食会です。

カウンターにいる方が天鷹酒造の社長さんの尾崎宗範さん。

その右が杜氏さんの大将、直町昊悦さんです。直町さんは岩手から仕込みにきているそうです。

他にも数人の杜氏さんが働いていらっしゃいますが、地元の農家の方が冬の仕事として来て

いるそうです。一年を通してお米に関われて良いお仕事ですね。


私は特別に直町さんに「知識としての」お酒の作り方を直々にこっそりと教えていただきました。

教わっただけですよ!どぶろくを作るような、そんな日本国の法律を犯すような事は致しません!(笑)



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酒米をおにぎりにしてくれたものを試食してみました。

「酒米はまずい」と聞いていたのですが、「とちぎ酒14号」はけっこう美味しい・・・でも同じく酒米の

「五百万石」の味はちょっと...。やはり酒米はお酒にして楽しむのが一番のようです。


昼食会では参加者の皆さんにも訪問会の感想やお酒にまつわるお話などをしてもらいました。

酒造りのプロとお酒好きの参加者が集まり、軽い酔いも手伝いほんのり良い連帯感も生まれて、

居心地の良い空間が誕生しました。

美味しいお酒を味わって蔵人さんのお話も聞けて大満足の訪問会になりました。


大地を守る会 交流局 虎谷健




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