<06>みんなで話そう!: 2012年9月アーカイブ

2012年9月 3日

NEWS 大地を守る2012年9月号 報告 第75回 くらしから原発を考える講座 「原発はいらない! 被ばく労働の実態」

多くの人が犠牲になる原発を今すぐゼロに!
7月1日(日)、原発とめよう会主催による報道写真家・樋口健二さんの講演会が開かれました。
38年間にわたり、原発で働く労働者たちを取材してきた樋口さんのお話や数々の貴重な写真により、原発のおそろしさと重層的な問題点があらためて浮き彫りになりました。
(消費者会員・鈴木 孝子)

原発の中を撮った貴重な写真。                                             3.11後、福島原発の作業中に亡くなった
定期検査中の福井県敦賀原発で(1977年)。                          作業員の奥さんの写真を前に語る樋口さん。

原発がある限り被ばく労働者は増えていく
 去る5月5日は日本中のすべての原発が停止した記念すべき日でした。しかしその後、残念ながら大飯原3号機が再稼動してしまい、現在止まっている49基の原発も、廃炉になったわけではなく、定期検査をしているにすぎません。そしてこの定期検査には、少なくとも1日に1500人の労働者が必要とされています。また、原発で働く総労働者数はこれまでに200万人を超え、そのうち50 万人近い人たちが被ばくしていると言われています。樋口さんが取材した労働者の中にも、被ばくが原因と思われる病気に苦しみ、亡くなった方が大勢いたそうです。にもかかわらず、被ばく労災が認定されたのは過去35 年間でわずか11 件しかありません。累積被ばく線量が50ミリシーベルトに達していないと、たとえガンや白血病を発症しても被ばく労災とみなされにくいからです。
 「労働者たちにとっては、定期検査、廃炉のどちらにしても、被ばく労働はさけられない。原発がある限り被ばく労働者はどんどん増えていく。私の話は過去のことではない、今この瞬間にも引き続いているのです」と樋口さんは語ります。さらに、被ばく労働がはらむ数々の問題点を指摘し、放射線管理手帳の改ざん、粗末な医療体制、賃金の中間搾取、経済性優先のために定期検査の期間を短縮し労働者を使い捨てにするなど、労働者の安全と権利がまったく保障されていない現場の実態をお話しくださいました。

原発は差別の上に成り立っている
 「弱い底辺労働者を踏みにじって、とことん差別して、われわれは豊かな社会をつくってきた。今日この瞬間にも、放射性物質をぞうきんで拭いている人たちがいるという事実を忘れてはいけない」という樋口さんのメッセージは、電気のある便利な暮らしを享受している私たちに、暮らし方、生き方の見直しを迫ります。また、「"ボロぞうきんのように使われている"という被ばく労働者たちにもそれぞれ人格、人生、家族があり、その人たちの上に電気のある暮らしが成り立っていると思うと切ないです」という、参加者の感想も胸に響きます。
 今回、樋口さんのお話を聞き、原発はエネルギーの問題だけではなく、人権と差別の問題でもあることがよく理解できました。「普通の暮らし」をするために、多くの人の命と健康が犠牲になるようなことがあってはなりません。その意味でも、これ以上日本に原発を1基も増やしてはならないし、既存のすべての原発を、1日も早く廃炉にしなくてはいけないという思いを新たにしました。



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