<07>海外とつながろう!: 2010年3月アーカイブ

2010年3月11日

「地域が支える食と農 神戸大会」 2010.2.20-21

10年3月11日(木)晴れ(by ドクターMaekawa)


大地を守る会では、2005年より、「農を変えたい全国運動」に参加し、その運動の成果として、

2008年に、「全国有機推進協議会」が発足しました。この会に、野田克己さん(大地を守る会

専務理事)が理事として参画し、有機農業の広がりをめざしています。また、大地を守る会が

事務局団体を担う、「全国学校給食を考える会」(→学校給食ニュースHP)の会長である、

五十嵐興子さんが、「食農プロジェクト」のメンバーとして参加し、有機農業をどのように、

学校給食の中で教育として位置づけるか、模索・検討しています。



この「全国有機農業推進協議会」などの理事メンバーが中心となって、この2月に、タイトルの

集会を神戸にて開催しました。この集会の目的のもう一つは、世界の有機農業団体、有機農業

に理解を示しそれを食べている消費者団体を一同に集め、世界へ向けて、今後の有機農業、

そして流通のあり方を発信しようというものでもあります。



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          神戸大会プログラム



このプログラムからもわかるように、アメリカ、イタリア、フランス、イギリス、インド、オーストラリア、

韓国といった世界各国から、約50名ほどの方が来日されました。まさに「有機農業の国際会議」

にふさわしい陣容となっています(→海外スピーカー紹介)。



会場は、15年前の震災で、大きな被害を受けたポートアイランドにある、神戸学院大学。

傷跡は今はほとんど見られません。



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     会場の神戸学院大学



初日の朝から、大きな講堂が満員になるほどの盛況ぶり。およそ、700名近くの参加者が

いたでしょうか。


 


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     多くの参加者で熱気にあふれる会場



午前中から午後のはじめにかけては、各国の有機農業の状況、生産者と消費者の活発な

提携活動が紹介されました。




午後は、7つにわかれての分科会。その一つの「食農教育」を、大地を守る会で担当しました。

パネラーとしては、

五十嵐興子さん:30年間、東京都の学校給食の現場で務められ栄養士。埼玉や群馬、長崎、
       岩手などの生産者と連携し、産直農産物を学校給食に導入し、食育活動を展開。
       現在、全国学校給食を考える会会長

安井孝さん:愛媛県今治市の企画振興部室長。今治で、積極的に有機農産物、地元農産物を
       用いた学校給食の推進活動を展開されている。

中川智子さん:兵庫県宝塚市長。1985年から、地元宝塚市で、学校給食運動に取り組み、その後、
      1996年から2期、衆議院議員を務められ、2009年より現職。

コーディネーター澤登早苗さん:恵泉女子大学准教授。自分の教え子の大学生たちと、有機農業
      に取り組むとともに、その周辺地域の多摩ニュータウンなどにおいて、「親子有機野菜
      教室」などを開催し、食育活動を実践されている。父親の澤登芳さんは、大地を守る会
      へ、有機のキウイを出荷されている生産者でもある。


これらのメンバーで、どうやったら、有機農産物を使った食育活動ができるか、そして、学校給食に

有機農産物をより一層いれていくためには、どのような工夫が必要かについて、議論されました。




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    左から、安井さん、五十嵐さん、中川さん、澤登さん



質疑応答では、自らを「オーガニックマン」と称される参議院議員のツルネン・マルテイ議員

から、「アメリカの学校では、学生自ら有機農産物を耕し、それを給食として食べているところ

があるが、日本でそのようなところはありますか」という質問がありました。日本にも、数箇所、

そういった活動をしている学校があるようですが、まだまだ統計資料になるにはほど遠い状況

であるという解説がパネラーよりありました。そして、ツルネンさんからは、政治家として、日本

の有機農業の発展に全力を尽くすという力強い発言もありました。また、中川市長からは、今後、

宝塚市を、今治に負けないような有機の里にしていけるよう頑張るとの決意表明もありました。


注)実は、僕の机の隣で一緒に仕事をしている「ナカティ」こと中川啓は、彼女の息子さんです。




二日目は、「産消提携」をキーワードに、さまざまな国のさまざまな取り組みが紹介されました。

実は、日本でいう産消提携の概念は、アメリカでは、CSA(Community Supported Agriculture)、

フランスでは、AMAP(Association pour le Maintien d'une Agriculture Paysanne)という言葉

で、実質的に同じ運動が実施されています。これらの世界の「産消提携」のパネルディスカッション

に、野田克己さん(大地を守る会専務理事)がパネラーとして登壇しました。




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    パネルディスカッションで発言する野田克己さん



野田克己さんの発言を要約

大地を守る会では、株式会社という特殊な形式で、生産者と消費者を結ぶ活動を展開して

きました。株式会社というと営利のみを目的としているような印象を受けますが、大地を守る会

では、学校給食運動、脱原発運動、有機農業促進運動を多くの団体と連携して、展開してきま

した。また、年間100回以上に及ぶ消費者、生産者の交流イベントを実施し、「顔の見える関係」

の構築に向けて活動しています。




有機農業という観点でデータを出すと、大地を守る会の出荷する農産物の11.9%が、JAS認証

を受けたものです。しかし大地を守る会では、JAS認証有機農産物だけにこだわっているわけ

ではなく、それに向けて努力する生産者との関係も大切にしています。今後も、生産者と消費者

のより一層の結びつきをめざしていきます。このブログの中で紹介されている、イベントレポート

はまさしくその活動の現場からの情報発信なのです。



大地を守る会 運動局 前川隆文






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