<07>海外とつながろう!: 2010年9月アーカイブ

2010年9月14日

古着のゆくえを追いかけて パキスタン編 その2 

とよまること豊島です。

 

2005年10月8日午前8時50分ごろ、パキスタンの首都イスラマバードの北北東約90Kmを震源とする

マグニチュード8近くの地震が発生しました。

震源地から100Km以内でも激しい揺れが襲ったとみられ、最終的な今回の地震による死者は8万人

を超えたといわれています。

大地を守る会は、会員の皆さんに呼びかけて支援を要請、その結果700万円近くが集まりました。

その後、天候や治安の問題から大地を守る会としては直接現地確認ができていませんでしたが、今

回関係者の皆さんの協力を得て実現しました。

 

 

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山あいのケートサラーシ村よりバラコート市を望む。一帯が地震被災地。5年前の朝、職場や学校で

被害にあった人たちが多数いました。

 

 

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山肌は、崩れたままのところも多く、埋もれてしまった人々がそのままになったところも多いそうです。

学校では、多くの子どもたちがコンクリートの校舎に押しつぶされてしまいました。

いまだに遺骨が発見されることがあります。

 

 

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バラコート市内の建物。復興は進んでいましたが、このように放棄された建物もあります。

建物の中は被災時のまま。

 

 

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3つめのアルカイール・アカデミー、バラコート校。ケートサラーシ村にあります。

地震直後に始めた青空学校は、斜面に建てられた小さな校舎になっていました。

これも皆さんの支援金によるものです。

 

 

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カラチから同行してくれたムザヒル校長先生が、特別授業として教壇に立ちました。

ここでは、2歳から5歳までの子どもたちのためにモンテッソーリ教育を基本に教えています。

6歳以上の子どもたちは、近隣の公立の学校に通いますが、学校の先生が「不登校」するという問題

があります。

 

 

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今学校で学んでいる子どもたちは、地震の後に生まれた新しい世代。

ムザヒル校長先生は、今後も学校は続けていきたいと考えています。支援金はまだ残っているとの

ことですが、長期的な戦略が必要な時期でもあります。

 

 

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こどもたちが持っている板はノートの代わり。その日の授業で大切なところを書き写していました。

家に戻ってからノートに清書するそうです。

 

 

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カラチ市へ戻ります。ここは古着業者があつまるハジケンプといわれる地域。

世界中から古着が集まる町です。

 

 

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NPO法人JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)のスタッフであり、古着のお店Kapre(千葉

県柏市)の店長でもある田辺航太郎さん。古着を売ると同時に買い付けも行っています。

世界中から集まる古着の中から、日本で売れるものを買い付けます。Kapreで販売し自らの活動資

金としています。

 

 

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とよまるもお手伝いさせていただきました。

左がアルカイール・アカデミーの事業部のアマダリ君、左が田辺さん、中央がとよまる。

革ジャケットの山によじ登って一品ずつ選んでいます。室内温度は軽く40度を超えるので、

塩を舐め水を飲みながらの作業です。

 

 

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さらに場所は変わって千葉県柏市柏駅前の古着店Kapreです。

 

   

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Kapre店内。試験的な輸入販売を経て、2007年に開店。おしゃれなお店です。

価格は安めの設定なので一度はのぞいてみる価値ありです。

 

 

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店内には、JFSAの活動を紹介するコーナーもありました。普通の古着屋さんとは異なるところ。

 

 

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田辺さんが持つのは今回カラチ市で発見した一品。大戦中のフライトジャケットです。

70年も前のジャケットがどのような経緯を経てカラチにたどりついたのか。

まさに古着は世界を回るなあと実感します。

皆さんの出した古着も世界のどこかで誰かが大切にしていることでしょう。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



2010年9月10日

古着のゆくえを追いかけて パキスタン編

とよまること豊島です。

6月に千葉県千葉市のNPO法人JFSA(日本ファイバーリサイクル連帯協議会)を出発した

古着コンテナは、7月初旬パキスタンのカラチ港に到着しました。

今回は現地からの報告です。

(7月中旬、パキスタンで大雨が降る前に現地を訪問しました。)

 

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まずは、カラチ市の北にあるアルカイール・アカデミー本校。

現在2,000人の生徒が学んでいますが、御覧の通り校舎を改築中です。

鉄筋が十分に入っていなかったので、地震がきたら危ないということで鉄筋を入れて建て直していました。

古着を販売した売り上げは、学校の運営資金になっています。

 

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どこでも子どもたちは、元気いっぱい!ホッとする瞬間です。

本校は人数が多いので午前と午後で2シフト制です。

学費は無料。昼食が必要な子どもたちには無料で出しています。

 

学校に行きたいけど、「教育など必要ない」と親に反対される子どもたち。

幼い兄弟姉妹のめんどうを見ながら、仕事をしなければならない子どもたち。

学びたいけど学べない、そんな世界を変えたい。

ムザヒル校長先生が数人の子どもと始めた学校は大きく成長しました。

 

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こちらは、カラチ市の中心からさらにはずれにあるゴミ捨て場カチラクンディ。

両側の建物はアルカイール・アカデミーの校舎です。

ここにカラチ市のゴミが次々と運び込まれ、火が放たれます。

そこに住む人々は金属屑などを集めて、それを売り生計を立てています。

ダイオキシンレベルは相当なものだと思います。歩くだけで目とのどがつらくなります。

目に障害を持つ人々が多いのも空気が汚染されているため。

 

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運び込まれるゴミ。

生ゴミ、注射針や期限切れの血液などの医療ゴミ、粗大ゴミ、産業ゴミなど、なんでもミックス

されています。

人々には自分たちの領域があるので、運転手にお金を払って自分たちところにゴミを捨てて

もらうそうです。宝の山です。

牛やヤギなどの家畜も放たれているのが驚き。

 

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ここが、その宝を買い取るところ。ゴミ捨て場の脇にあります。住民の貴重な収入源です。

 

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学校では授業中でした。

本校に較べて衛生状態が悪いにも関わらず、きちんとした格好です。

そしてなにより授業を受ける態度が真剣です。これも驚き。ここに学級崩壊はありません。

2年前に訪問したときは、誰もがハエだらけでしたが、今回は風向きのせいで少なめ。

ハエが耳に何匹も入り込んで炎症を起こす子どもも多いそうです。

過酷な生活でも学びたいという気持ちが伝わってきました。

 

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JFSAのスタッフ西村さん。義理人情の鉄人であり私の師匠です。

1年の半分はカラチに住み、アルカイール・アカデミーの活動に協力しています。

JFSAの活動は、現地との深いつながりが基本となっています。

パキスタンは人と人とのつながりがとても深く、またつながりを非常に大切にする国です。

 

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7月12日、いよいよコンテナが届きました。

ここはカラチ市内、古着業者が集まるハジケンプという町。

コンテナそのものは千葉を出発した時と変わりません。

 

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業者の方々とアルカイール・ビジネス事業部のスタッフが荷降ろしをします。

コンテナは税関で開けられていたので、盗まれていないかチェックします。

 

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JFSAのスタッフが丁寧にまとめた50キロの古着のロールは検査のために開けられていました。

今回は幸運にも盗まれたものはなかったようでホッとしました。

税関検査の時に盗まれていることも多いのだそうです。

 

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ここからは番外編。

カラチでは庶民の足として日本の古い車がタクシーとして活躍しています。

カローラが多いようですが、みな黒と黄の配色です。

 

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ロバはいたるところで活躍しています。

大きな荷物を運ぶ時は涙を流しているように見えて胸が痛みます。

かわいいけどペットとは違うのだと実感。

 

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カラチ市ではムザヒル校長先生の家に泊まりました。

食事はカレーとナン、チャパティのパターンが多いのですが、このときはパスタ。どれも美味です。

近所の人なども集まり賑やかな食事です。

皆イスラム教徒なのでアルコールは一切ありません。

気温は40℃を超えることもあるのでたくさん食べて体力をつけます。

私が去ったあとすぐにラマダン(断食)が始まりましたが、体験してみたかった。

右端が私、とよまるです。

 

今回はカラチの報告でした。

2005年の北部地震被災地も訪問しましたので、その報告は追って。

 

大地を守る会 国際局 豊島 洋



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