<07>海外とつながろう!: 2013年6月アーカイブ

2013年6月 3日

NEWS 大地を守る2013年6月号 GLOBAL REPORTS

エコシュリンプの新加工場が完成!

インドネシアで紡ぐ

フェアトレードの新たな物語

インドネシアのスラバヤ郊外シドアルジョで、エコシュリンプの新加工場(PT. Alter Trade Indonesia社(ATINA社))が完成しました。自然が育てる養殖エビに取り組んで20年。その歴史を振り返りながら現状を報告します。
(広報・国際課 豊島洋)








エビによく使われる黒変防止剤や保水剤などを使用せず、一度凍結したら解凍、再凍結はしません。鮮度が命。殻むき一つをとっても熟練した技術が必要です。








スラバヤ郊外シドアルジョの養殖池。
産地はほかに近郊のグレシック、スラウェシ島にもあり、合計3カ所です。
シドアルジョではプラヤンと呼ばれる竹かご(写真のもの)で収獲されます。





エコシュリンプってなに?

 かつての高級食材であったエビは、1961 年の輸入自由化以降、輸入量が急増し大衆食材の一つになりました。その多くは東南アジアから輸入され、乱獲による漁場の荒廃、養殖場の乱立による自然環境の破壊につながってきました。1992 年、(株)オルター・トレード・ジャパン(以下、ATJ)は、自然にまかせ、環境に負荷を与えない粗放型養殖をする生産者と出会い、生協などとともに取り扱いを始めたエビをエコシュリンプと呼んでいます。



エコシュリンプはブラックタイガーという種類。
自然の力で大きく育ちます。
池のほとりで食べた獲れたてのエビは美味でした。
皆さんにお届けするエビは冷凍した状態ですが、
おいしさは変わりません。
できるだけ鮮度を損なわずお届けいたします。






貴重な粗放型養殖

 養殖と聞くと、人工飼料や抗生物質などを多用するものを想像しますが、粗放型養殖はまったく異なります。300 年以上前からジャワ島に伝わる魚(ミルクフィッシュ)の養殖法とエビの習性に合わせた飼い方を組み合わせることにより、薬剤や人工的な飼料を一切与えることなく、自然のままで養殖できる方法です。

広々とした養殖池は海水と淡水が混じる汽水に満ち、魚やエビ、カニなどが共生しています。放流された稚エビは、水草が発酵して発生したプランクトンや虫を食べて大きくなります。エビの収獲は海水の干満を利用した仕掛けや網などを使い、収獲後できるだけ素早く氷で締められ、収獲日時、場所、収獲者を記載したカードとともに封印され加工場まで運ばれます。


新加工場が完成

 3月24日に開所式を迎えたエコシュリンプの加工場は、以前にも増してより安全で衛生的な加工場となっていました。ハセップ(HACCP)の管理手法を採用し、日本の食品加工場同様の衛生基準を満たしています。

さらに排水にも気を使い、BMW(バクテリア・ミネラル・ウォーター)技術を取り入れています。BMW技術とは、自然の自浄作用をモデルにバランスよく微生物を活性化し、生き物にとって「よい水」「よい土」を作り出す技術です。工場で働く人びとの労働意欲も高く、チームワークも良い職場となっています。自分たちの仕事が全体のどの部分を担っているのかを認識すること、安定した収入と良いコミュニケーションにより、働きやすい職場であることが感じられました。エビを育てる人、運ぶ人、加工する人、それぞれ責任感を持ってエビを扱うこのシステムが、何ごとものんびりしたインドネシアで実現できたことは20 年間にわたる試行錯誤の賜物と思われました。信頼なくして成り立たない安全性は日本と変わりません。


村井吉敬先生のご遺志をついで

 ATJの母体であるAPLA(あぷら、旧日本ネグロス・キャンペーン委員会)の共同代表、村井吉敬先生が3月23日に永眠されました。村井先生は、エコシュリンプの取り扱いのきっかけをつくってくれた方です。『エビと日本人』その他の著作で、日本と東南アジアの関係を明らかにし、新しい関係づくりを提案された村井先生のご遺志を継ぎ、開所式では全員が黙とうを捧げ、ご冥福を祈りました。よりおいしくより安全なエビを届けること、さらに現地の人々の生活に寄与し、自然環境を守る生産と流通のあり方を考えること。現地で各担当者と話をして、これからもこの模索は続いていくことを実感しました。





エビは手でも収獲されます。
腰をかがめて底を探ると、エビが驚いて水面高く跳ねますが、
熟練者は後ろに逃げるエビを上手に捕まえます。
薬剤漬けの養殖池では見られない風景です。



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