遺伝子組み換え食品いらない! の最近のブログ記事

2013年9月 3日

学校給食ニュース編集責任者「牧下圭貴さんと学ぶ連続講座」

学校給食ニュース編集責任者「牧下圭貴さんと学ぶ連続講座」
~ 10年後の子どもたちにできること ~

第6回「食品表示について考える」


全国学校給食を考える会は「10年後の子どもたちにできること」と真摯に向き合い、
学校給食運動の裾野を広げるための活動に重点をおいています。    
同時に、次の世代に運動をつなげることが重要と考え、
学校給食の歴史に学び、食に関する知識を深めるために、
学校給食ニュース編集責任者である牧下圭貴さんと学ぶ連続講座を開講しています。

第6回目は「食品表示」を取り上げます。

本来、子どもたちの健やかな成長を願って実施されるべき学校給食ですが、
現状では合理化による共同調理場・給食センター方式や調理業務の民間委託化等、
学校給食の質の向上に反する施策が進んでいます。

食材でいえば、農薬や食品添加物を排除できないまま、
更に遺伝子組み換え食品や放射線照射食品が学校給食をとおして子どもたちに忍び寄っています。

TPP交渉参加後の食品表示の変更が気がかりです。
さらに学校給食にどのような影響があるのか不安が広がっています。

是非、お誘い合わせのうえ、奮ってご参加ください。

          
■日 時:2013年9月14日(土)10:00~12:30(受付9:50~)
    
■会 場:大地を守る会 六本木会議室
    東京都港区六本木6-8-15第2五月ビル3階
    地下鉄日比谷線・大江戸線「六本木」出口3より徒歩5分 

         /corporate/info/access/


■参加費:500円(資料代を含む)
■主 催:全国学校給食を考える会(申込み・問合先)
    【Tel】03--3402--8902 【Fax】03--3402--5590
    【E-mail】kyushoku@member.daichi.or.jp
■内容(予定)
 10:00~12:00 学習会
       「食品表示制度の歴史と現在の動向」
 12:00~12:30 質疑応答・意見交換

 



2013年5月23日

遺伝子組み換えサケとアメリカでのGM表示運動



大地を守る会も構成メンバーである、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク

(以下、食農ネット)が、国際生物多様性の日(5月20日)を記念して、アメリカ食品センター

のペイジ・トマセリさんをお招きしました。

トマセリさんは、弁護士として、モンサントなどを相手に、アメリカ市民の食の安全を求めるため

の訴訟活動をされています。アメリカでは裁判は一つの市民運動の武器なのです。



toma.JPG



































今、アメリカでは遺伝子組み換えサケがFDA(アメリカ食品医薬品局)によって認可されようと

しています。このサケには、オオカミウオの成長ホルモンプロモータ遺伝子が挿入されており、

普通のサケより 3 倍の速度で成長するそうです。





salmon1.jpg































遺伝子組み換え作物大国のアメリカにあっても、動物性の食品が認可されるのは初めてのこと。

しかも、現在流通している遺伝子組み換え作物は、大豆、トウモロコシ、ナタネなどで、

ほとんどが動物の飼料か、加工食品の原料であって、アメリカ人にとっては、直接食べるもの

ではありません。

相当なアメリカ人が、このサケにはかなり面食らっているらしく、「表示くらいしてくれよ」と

いう運動が各州で広がっているということです。


トマセリさんによると、ことの始まりは、カリフォルニア州の主婦たちの草の根運動

だったということです。「Right to Know」、知る権利くらいは欲しいということで、

遺伝子組み換えの表示を求める運動が展開されました。


そして住民投票が実施されましたが、これに対抗して、モンサントやデュポン、バイエル

などのGM推進企業は、なんと4千5百万ドル(日本円で約40-50億円)ものコマーシャル費用を

投票前の3週間に投下し、残念ながら、49:51で、表示にNOの結果となりました。


これが昨年末(2012年末)のことなのですが、カリフォルニアという大きな州でのこと

だったので、この騒ぎは全米に広がりを見せたのです。その後、多くの州(19ほど)でなんらか

市民運動が活性化し、連邦議会にも影響が及んでいるということです。


しかし、遺伝子組み換えサケ、残念ながら認可され、販売される見通しです。

そうすると、切り身やスモークサーモンなどとして商品化されます。


次には、日本への売り込みがされるでしょう。手順としては、

1.食品安全委員会での安全性審査
2.安全だと認める
3.パブコメなどで市民へ意見を求める
4.厚生労働省での流通へむけての許認可作業
5.流通

ということになります。市民としては、3 で、いかに強く反対運動を展開するか。

日本には遺伝子組み換えサケなんていらいなという意思表示をするかになるかと思います。


今回、ペイジ・トマセリさんの話をお聞きし、遺伝子組み換え大国であるアメリカにも、

頑張っている市民運動はある、連携できる市民がいるということがわかりました。

ペイジ・トマセリさんが弁護士になるきっかけのひとつは、学生時代に、モンサントと闘う、

パーシー・シュマイザーさんのことを知ったことだということでした。パーシー・シュマイザーさん

とは、日本各地を講演活動で巡り、一緒に温泉にも入ったこともあります。

国や立場は違えども、目的をともにする仲間を見つけることができたシンポジウムでした。




2013年5月10日

生物多様性を脅かす遺伝子組み換え作物

国連が定めた「国際生物多様性の日」(5/22)に合わせて、世界各地でイベントが開かれます。
国内では、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)」が、
各種イベントを企画しています。

※食農市民ネットは、大地を守る会が構成メンバーである、
市民運動団体です。

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生物多様性を脅かす遺伝子組み換え作物

~遺伝子組み換え大国アメリカで何が起こっているか~

生物多様性に関する条約の採択を記念して国連が制定した「国際生物多様性の日」
(5月22日)には毎年、生物多様性の保全について理解を深めるためのイベントが
世界各地で開かれます。

食農市民ネットは、遺伝子組み換え作物について生物多様性の観点から考えるため、
アメリカで遺伝子組み換え作物の問題に取り組む市民団体「食品安全センター」から
ペイジ・トマセリさんをお招きし、シンポジウムを開催します。遺伝子組み換え大国
アメリカで何が起こっているのか、市民の取り組みと併せてお話しいただきます。
お誘い合わせのうえ、ぜひご参加ください。

【日 時】  2013年5月18日(土)13:30~16:30 開場13:00

【会 場】  星陵会館ホール 最寄駅:地下鉄「永田町駅」徒歩3分

資料代  1000円

内容
・基調講演「生物多様性を脅かす遺伝子組み換え作物~遺伝子組み換え
大国アメリカで何が起こっているか~」 ペイジ・トマセリさん 「食品安全センター」※
・報告「日本でも広がる遺伝子組み換え汚染」、パネルディスカッション

※英語名「Center for Food Safety」。1997年に設立されたアメリカの市民団体で、
食の安全や環境、農業の問題に取り組む。とくに遺伝子組み換え問題ではアメリカに
おける中心的存在で、政策や訴訟にも積極的にかかわっている

主催:食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)

※このシンポジウムは地球環境基金の助成金を受けて行ないます

<問合せ・予約先>
食農市民ネット事務局
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
Tel 03(5155)4756



2013年1月18日

イベント案内(2/15)映画『よみがえりのレシピ』の渡辺智史監督が 在来種について語る


大地を守る会として、ともに運動を展開している「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」

が主催する大豆畑トラスト集会です。おいしい大豆料理が食べられますので、ぜひご参加ください。

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第15回大豆畑トラスト運動全国集会
地域で守られている種子を次代に継いでいこう

日時:2013年2月15日(金) 12:00~16:30

会場:渋谷区リフレッシュ氷川 渋谷区東1-26-23 (渋谷駅下車徒歩10分)

参加費(昼食代含む):1200円

プログラム:12:00~昼食交流会
         13:00~講演「在来作物と種子を守り継ぐ人々」 渡辺智史さん
         14;00~講演「遺伝子組み換え大豆の状況」 天笠啓祐さん
                  「日本の大豆事情」 牧下圭貴さん
15:00~生産者リレート-ク

東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
℡03-5155-4756


不安な遺伝子組み換え大豆を食べたくないと、作る人食べる人が手を携えて安全な国産大豆の

生産を高めようと大豆畑トラスト運動が始まったのが1998年。運動は広がり、15年目の2012年は、

全国約39の生産地で取り組まれています。天候の影響を受けやすい大豆栽培は近年の異常気象

に悩まされ、十分な収穫ができない年もありました。それでも、信頼する生産者の大豆を食べたい

という消費者の思いに支えられて運動は継続してきました。

しかし2011年の福島原発事故は、地産地消を基本とする運動の根底を揺さぶりました。多くの

消費者が何をどう食べたらよいのか自問自答した2年。結局得た結論は「顔の見える関係を大事

に食べていこう」でした。

第15回の集会のテーマは、「地域で守られている種子を次代に継いでいこう」。

講師には映画『よみがえりのレシピ』の監督、渡辺智史さんをお招きします。渡辺監督は、在来作物

をめぐる地域の人々や食文化について語ります。放射能汚染後の食の世界でどう食べていくかを

考える良い機会となるでしょう。

集会では例年同様、幕開けはトラスト生産地の米や大豆を材料にした料理を食べながらの交流会。

皆様の参加をお待ちしています。




2013年1月10日

1/31食品表示法院内シンポジウム「どうなる・どうする食品表示」開催


食品表示の一元化がすすめられていますが、大きな文字で見やすくすることが消費者メリットという

視点から、現在より表示内容が後退することも不安視されています。EUでは、GMOの混入率は

0.9%と厳しいのに日本では5%まで許容。韓国では全ての添加物が表示できているのに、日本では

アミノ酸等など簡略表示で消費者の知る権利が守られていないことなど、多くの問題点があります。

大地を守る会も構成団体となっている「食品表示を考える市民ネットワーク」のシンポジウムにぜひ、

ご参加ください。                                          CSR推進部 吉田和生



新食品表示法 院内シンポジウム「どうなる・どうする食品表示」


日時:2013年1月31日(木) 12時~14時 

※11時30分よりロビーで通行証をお渡しします。

場所:衆議院第一議員会館多目的ホール 
最寄駅:国会議事堂前または永田町

プログラム
12:00 主催者あいさつ 議員あいさつ

12:05 基調講演
「日本の食品表示制度に期待すること」-海外の制度との比較-
 新山陽子さん 京都大学大学院農学研究科教授

12:45 食品表示ネット提言発表  
     佐野真理子(主婦連合会事務局長)

13:05 日本弁護士連合会意見書発表 
     石川直基さん(日弁連消費者問題対策委員会副委員長)

13:20 事業者報告 野本孝典さん(美勢商事㈱専務取締役)

13:30 質疑

13:45 各党国会議員意見表明

13:55 まとめ  神山美智子(食の安全・監視市民委員会代表)

主催:食品表示を考える市民ネットワーク
共催:全国農業協同組合連合会

【問い合せ】
東京都新宿区西早稲田1-9-19-207
tel 03(5155)4756 fax 03(5155)4767






2012年11月 7日

食品表示一元化問題 ~遺伝子組換え食品編~


前回の添加物編(→URL)に続いて、今回は遺伝子組換え食品編とします。遺伝子組換え食品は、

添加物と比べれば、法律的な位置づけなどもまったくシンプルで、争点も明確だと思います。

前回の添加物を理解していただけたみなさんなら、5分でわかっていただけると思いますので、

どうぞ気楽にお読みください。


消費者庁Q&A(→URL

厚生労働省(→URL

農林水産省(→URL


法律的な解説

添加物と違って、種類がたくさんあるわけではないのですが、一応、一通り、法的な位置づけ

などを追っていきたいと思います。


食品衛生法
食品が組換えDNA技術(酵素等を用いた切断及び再結合の操作によつて、DNAをつなぎ
合わせた組換えDNA分子を作製し、それを生細胞に移入し、かつ、増殖させる技術をいう。
以下同じ。)によつて得られた生物の全部若しくは一部であり、又は当該生物の全部若しくは
一部を含む場合は、当該生物は、厚生大臣が定める安全性審査の手続を経た旨の公表が
なされたものでなければならない。


遺伝子組換え技術を用いた食品は、一応、「安全性審査」を経て、認可される仕組みとなっています。

しかし、その実態は大変にあやういものだということがわかる事件(事柄)が、昨年、発生しました。

それは、遺伝子組換え技術で作成された微生物を原料とした、添加物の問題です。輸入品の中に、

認可されていない添加物(遺伝子組換え微生物由来)が混入していたことが発覚したのです(→URL)。

普通の市民感覚からすれば、厚生労働省はその販売業者に対しすぐに回収指示を出し、原因追及

などをすべきでしょう。しかしなんと彼らは、これらの添加物をたいした審査もせずに、後追い認可

したのです。行政がいかに業者よりであり、国民の安全を軽んじていることでしょう。これで、この

「認可制度」の信頼性も、一気に地に落ちた感がしました。



表示のはなし

ここまでは厚生労働省の食品衛生法の問題でしたが、ここからは表示になります。表示は、

今のところ、農林水産省管轄のJAS法で定められています。文章は長いのではしょりますが、

「JAS法第7条第1項」に規定されています。まず、上記の問題のような「添加物」の遺伝子組換え

食品は、そもそも表示の対象にすらなっていません。図1を見ながら、読んでください。

まずは、表示対象となっているものが何か、から見ていきましょう。まず、現在の日本で認可されて

いる遺伝子組換え作物は、大豆、じゃがいも、なたね、とうもろこし、わた、てんさい、アルファルファ、

パパイヤです。これら自体やこれらが原料となった加工食品が、表示の対象となっています。

認可されていないものは流通していたら、それ自体が違法だということです。

そして、加工食品にも表示義務となる対象群があって、納豆、きな粉、コーンスターチなど、

33品目群が指定されています。逆に言うと、遺伝子組換え作物が原料であっても、対象品目群

でなければ、表示対象となりません。今のところ、そのような商品が販売されている形跡は

ありませんが、逆に言うと、表示されないので見つけるのも不可能ということになります。


GMhyouji.jpg

































で、ここからは「駄目なルール」ばかりになってしまいます。

「上位3品目ルール」
今、加工食品は多種類の原材料から作られています。遺伝子組換えの表示ルールでは、上位3品目
だけが表示対象で、それ以外に遺伝子組換え作物が使われていても、表示されません。


「全体の重量に占める割合が5%以上」
上のルールに加えて、重量比が5%に達していない場合は、表示の対象になりません。遺伝子
組換え微生物由来の添加物などは、ほとんどの場合、1%未満しか使用されないので、対象に
なりません。


「混入5%許容ルール」
そして、アメリカ、及び事業者への最大の配慮から生まれたルールが、5%許容です。遺伝子
組換え作物の最大の生産国はアメリカです。特に、大豆、とうもろこしについては、アメリカの
畑の90%以上が遺伝子組換えになっています。アメリカから作物を輸入する場合、何ヶ所かの
港に集められ、コンテナに積み込まれ、大きな船で運ばれます。その作業場は、広大で細かい
分別まではできません。今、国どおしで、「分別生産流通管理」に関する規定が決められ、
「非遺伝子組換え作物」の流通が実施されています。この規定を使って流通したとしても、
先述のような理由により、一定の割合で遺伝子組換え品が混入してしまっています。最近の
調査では、3%前後の混入があるということです(伝聞で、根拠となるデータは持っていません)。
このような事態をふまえ、非遺伝子組換えの「分別生産流通管理」をしたものであれば、遺伝子
組換え品の混入(5%まで)があっても、「非遺伝子組換え」として扱っていいことになっています。


「非検出対象外ルール」
最後に紹介するのが、原料が遺伝子組換え品であっても、最終加工品に、組換えDNAやそこ
から生じたたん白質が、現在の技術で検出できなければ、表示対象外、というルールです。
これにあてはまる商品群が、「油」、「醤油」などです。油には「なたね」、「綿」、「とうもろこし」
などが、醤油には「大豆」などが使用されています。


非検出対象外ルール、があるために、実に多くの加工食品が、遺伝子組換え、の表示から

逃れています。輸入実績から見ると、日本はアメリカと並び、世界最大の遺伝子組換え食品

消費国です。しかし現実には、「遺伝子組換え」、と表示された商品は、日本にはほとんどあり

ません。これは、上記四つの例外規定のためです。つまり、今の表示ルールは消費者にまったく

何も示していなくて、「遺伝子組換え食品大量消費国」という事実を覆い隠しているだけ、

ということです。


では、私たちは何を求めていけばいいのか。その答えはすでにEUが出してくれています。EUの

ルールは、図2を見てもらえばわかりますが、完璧に日本の例外を排除するものとなっています。

上位3品目でなく全品目が対象なので、「添加物」までカバーしています(一部、加工助剤などでは、

表示対象にならない規定もあり)。重量比による例外規定もありません。そして肝心な点が、

非遺伝子組換え作物に混入している遺伝子組換え品の割合を、0.9%までとしている点です。

これで、アメリカからの輸入作物は、ほぼ全て「遺伝子組換え」と表示されます。最後に、

「非検出対象外ルール」でなく、トレーサビリティで遺伝子組換えが確認できるものは、表示対象

だということです。これらのルールにより、例えば日本で「遺伝子組換え」ではないとして販売して

いる商品が、同じ中身でEUに輸出されると、「遺伝子組換え」の表示で販売されている場合があり

ます。そういった実例を、「遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン」の方がベルギーで発見され、

会議で紹介されていました。

また、EUのルールでは、家畜飼料も表示対象です。そして、外食産業で遺伝子組換え商品が

販売される場合にも表示義務があります。そのままでなく、調理して出される場合は対象外です。

EUの表示についての参考サイト(→URL



EU.jpg



































コストもかからない、スペースもいらない

「遺伝子組換え」表示に関しては、消費者は、単純にその商品に遺伝子組換え作物が原料として

使用されているか否かが知りたいだけ。単純に、該当するものに「遺伝子組換え」と書いてもら

えればいいだけです。それには、コストもスペースもいりません。政治家、行政の判断だけです。

ぜひ、市民の思いをこれらの人々に伝えて、「遺伝子組換え」表示を実現させていかなければ

なりません。


新しい技術が新たな脅威に

表示の問題はまだまだ残っていますが、そんな中、遺伝子組換えに関しては、新しい技術を

使った遺伝子組換え微生物をメインにした開発が進んでいます。そしてその新しい技術に対して、

厚生労働省は、どんどんとお墨付きを与えてしまっています(→URL)。

それらは、「セルフクローニング」、「ナチュラルオカレンス」、「高度精製品」、「人口制限酵素」など

という言葉で表されるものです。

専門的なことについては、また別の機会にするとして、これらの言葉については、覚えておいて

いただき、報道などにも注意を払っていただければと思います。

市民運動としても、これらの技術に関しては、注視、監視していきます。




2012年9月24日

GMOフリーゾーン欧州会議報告会(2012年9月20日)


遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」ではこれまで、遺伝子組み換え作物のない地域、

GMOフリーゾーン、というアイデアを日本に紹介し、生産者(農家)、販売店、消費者の人々に

宣言してもらうという活動を展開してきました。その結果、日本でも多くの地域がGMOフリーゾーン

となってきました。遺伝子組み換え作物は、現在、日本では商業栽培はされていませんが、いつ

なんどき、商業栽培をする農家が出るやもしれません。今のクリーンな状態を守るためにも、日本中

を巻き込んで、GMOフリーゾーン運動を展開していかなければいけません。


Micr.jpg

















































 
 
 
 
 
 
 
当日のプログラム



アメリカ(モンサント社)の隙を突いたとんでもない戦略~ラムサール条約会議において


当日(9月20日)は、GMOフリーゾーン欧州会議報告の前に、国際的に重要な事件についての

レポートがありました。それは、今年の7月6-13日にブカレスト(ルーマニア)で開催された、

ラムサール条約締結国会議でのできごとです。ラムサール条約についてはリンクの「ウィキ」を参照

していただきたいのですが、世界に残された貴重な湿地の保全に関する国際条約です。その会議に

アメリカ(その背後にはモンサントなどの種子多国籍企業があります)が、「水田(これも一つの湿地)

の農薬を減らすために、遺伝子組み換え稲の導入を許可する」案を、提出したきたのです。ラムサール

条約に参加する各国の代表者は、環境系の人の中でも、どちらかといえば遺伝子組み換え技術に

ついては不案内の人が多いのです。なので、反対の論陣なども張りにくいということが想定され、

そこの隙をつく作戦をアメリカはとってきたと思われます。 しかし、そこは遺伝子組み換えに否定的な

EU各国の代表団や、日本から事前にこの情報をキャッチして反対の論陣をはった、日本消費者連盟

国際部から派遣されたマーティン・フリッドさんらの努力によって、なんとか今回の提案は阻止され

ました。しかしながら小さな隙も見逃さない遺伝子組み換え推進派の動きには驚かされます。

この経緯については、消費者レポート1518号(9月21日発行)に詳しく掲載されています。

日本消費者連盟までお問い合わせください。


IMG_0398.jpg




























 
 
 
 
ラムサール条約の会議で活躍された、日本消費者連盟のマーティン・フリッドさん




世界に拡散する遺伝子組み換え作物


まずはとても残念な状況から。2011年現在、遺伝子組み換え作物は、17ヶ国以上で、160万km2

で栽培されています。世界の耕地面積のほぼ 10% が遺伝子組み換え作物で覆われてしまって

いるのです。2000年のときで約 40万km2 であったので、急速に拡大しているのが実情なのです。



一方で、GMOフリーゾーン運動も世界で拡大している


市民側も嘆いているばかりではありません。1999年、スローフード運動で有名なイタリアで生まれた

GMOフリーゾーン運動。生産者(農家)、流通、消費者が以下のことを宣言していく運動です。

・ 遺伝子組み換え作物を作らない(生産者)
・ 遺伝子組み換え食品を買わない、売らない(流通)
・ 遺伝子組み換え食品を買わない、食べない(消費者)

2005年にドイツで第1回GMOフリーゾーン会議が今年で7回目。9月4-5日に、ベルギーは

ブリュッセルで開催されました。そこに、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンから西分千秋さん

日本消費者連盟から纐纈美千世さんが出席されました。2010年現在、GMOフリーゾーン宣言をした

地域は、169都道府県、123の地域、4,713の市町村、31,357人の個人がいます。



GM大国、アメリカの市民の間でも広がる、表示運動


世界最大のGM作物栽培国、アメリカでは、現状、遺伝子組み換え食品にはまったく表示はありま

せん。1996年の栽培開始依頼、表示を求める小さな市民運動はあったのですが、モンサント社に

よる妨害工作などによって、ことごとく黙殺されてきました。しかし、ついに、市民運動の先進地域で

あるカリフォルニアで、大掛かりな市民運動が展開され、議会にかけられ、住民投票にまだいたって

います。この運動の基本理念は明確で、遺伝子組み換え食品の安全性などではなく、「知る権利」

の要求です。市民には何を買って食べているか、「知る権利」があるだろうということ。運動の標語も

「 Right to Know 」。日本からも大いにエールを送りたいし、日本における表示問題(→過去記事

も頑張らなければなりません。


IMG_0400.jpg




























 
 
 
 
Right to Know 」運動



EUでの食品表示、遺伝子組み換え食品表示の実態

いま、日本では食品表示一元化問題で法案が作成されつつあります (→過去記事) 。

食品表示先進国であるEUでは、遺伝子組み換え食品についても先駆的な取り組みをしています。

まず、2点で大きく日本と違っています(→参照記事)。

1. DNA、タンパク質の検出できる残留物がなくても表示 → 日本で対象外の油に表示義務
2. 輸入時の混入について、0.9% まで許容 → 現在の混入が 1% 以上なので、全体が表示義務

この2点のしばりがあるため、EUでは多くの食品に遺伝子組み換え表示があります。

写真はないのですが、例えば日本からEUに輸出している「ミツカン酢」。酢には添加物的に、

トウモロコシ由来の抽出物が入っていて、それにはアメリカ産が使用されています。日本では、

「輸入時の混入について、5% まで許容」のルールによって表示されていませんが、EUでは

「遺伝子組み換え」の表示がされています。


EUでの表示で、とても意味があると思った、「飼料の表示」

いま、日本では食品ではない、家畜の飼料、については、遺伝子組み換えの表示規制はありません。

しかし、EUでは、「家畜の飼料」、が遺伝子組み換えの表示対象となっています。これは、家畜生産者

の意識を高める上で、非常に意味があると感じました。日本に入ってくる、大豆、トウモロコシ、ナタネ

などの家畜飼料は、現在、輸出国(主にアメリカ、カナダ、ブラジルなど)で、IPハンドリング、分別生産

流通管理システムによって、遺伝子組み換えのものと、非遺伝子組み換えのものが分けられて

います。しかし、これら輸出国の輸出港などは広大で、分別していても、「意図せざる混入」があります。

また、現実は不明なのですが、すでに畑の段階で、交雑していることも考えられます。結果として、

非遺伝子組み換えのものにも、数%、遺伝子組み換えが混ざってしまっているのが現状です。

そのことを、飼料の袋に、「非遺伝子組み換え(混入有)」、「不分別(ほぼ遺伝子組み換え)」、の

ように表示すれば、使用する生産者も、それを意識すると思います。反対運動は、まずは意識する

ことからがスタートだと思います。その点、EUの制度は大いに参考になります。





2012年9月19日

遺伝子組み換え食品を避けるためのチェックシート


その安全性が完全には担保されていない遺伝子組み換え食品。しかしながら現在の日本の食生活

の中には、様々な形で遺伝子組み換え食品が混入しています。その原因は、

1. 遺伝子組み換え食品に関する表示ルールの問題
2. 遺伝子組み換え作物の輸入における混入の問題

があります。1 についての最大の問題は、「痕跡がチェックできないものは表示対象外」というルール

です。日本には遺伝子組み換え食品に関する表示ルールはあるのですが、この規定により、非常に

重要な遺伝子組み換え作物を原料として品目群が表示対象外となってしまっています。それは、

「食用油」を使った製品です。多くの食用油の原料はナタネや大豆ですが、これらは最大の遺伝子

組み換え作物です。日本における「食用油」の大部分は、遺伝子組み換えナタネや大豆が使用され

ていると言われています。また、「食用油」は非常に多様な加工食品に使用されていますが、それら

の製品には「遺伝子組み換え」の表示はしてありません。


2 については、輸入時の遺伝子組み換え作物の混入を 5% までは許容するというルールです。

今、アメリカ、カナダ、ブラジルなどから輸入されるナタネ、大豆、トウモロコシの大部分は、遺伝子

組み換え作物です。そのため、「非遺伝子組み換え」として輸入したとしても、流通経路で少なからず

「遺伝子組み換え作物」が混入してしまうのです。実質的に数% (おそらく 3% ほど)は混入している

と想定されています。しかし、「5% の混入までは許容」というルールがあるため、そのほとんどが

「遺伝子組み換えでない」として扱われているのです。EUでは、「許容は 0.9% まで」となっている

ので、アメリカ、カナダ、ブラジルなどからのナタネ、大豆、トウモロコシは全て「遺伝子組み換え」

の表示規制がかかっています。ナタネ、大豆、トウモロコシを使用した食品は膨大にあります。

そのほとんどは、実質的には数% の遺伝子組み換え作物を含んでいるのです。表示されない

ままに。これらの点を考慮すると、日本の食は、その大部分に遺伝子組み換え作物が含まれて

しまっています。そこをはっきりと示すために、「遺伝子組み換え食品いらない ! キャンペーン」が、

チェックシートを作成しました。画像が不鮮明で申し訳ありませんが、一例だけを示したものを

掲載します。カップ麺ですが、赤字で示されたものが遺伝子組み換え作物が原料のものです。

これ以外にも、「えっ、こんな物にも遺伝子組み換え作物が!」というものがたくさんあります。

大地を守る会の食品安全に関するイベントなどで販売(または配布)し、活用していきます。

また、このチェックシートについてのお問い合わせは、e-mail : 大地を守る会CSR

のあて先で、件名に「遺伝子組み換え食品チェックシート」とお書きください。





check.jpg



2012年9月18日

MOP6(インド・ハイデラバード)で何が議論されるのか


9月13日、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」のよびかけで、院内集会が開催されまし

た。今日の報告は、ちょっと専門的な話しを含みますが、遺伝子組み換え作物についての重要な話題

があります。興味のある方はぜひご一読を。また、先にこちらの過去記事をお読みになるとよいです。


COP/MOP会議とは

この基本的な基礎知識については、ぜひ過去記事をお読みください。簡単に説明すると、COPが

「生物多様性条約に関する会議」、MOPがその中の「遺伝子組み換え生物バイオセーフティー議定書

に関する会議」です。この議定書を、締結した都市の名前で、「カルタヘナ議定書」といいます。

MOPとはすなわち、ザクッと一言で言うと、「遺伝子組み換え作物が及ぼす脅威に対して

世界的枠組みをみんなで考えて決めていきましょう」という会議です。

その6回目がインドのハイデラバードで今年の10月に開催されます。この国際会議には、環境省、

農林水産省の方々が出席されます。その会議に先立って、市民側から参加する各省の職員の方に、

日本の市民としての考えを知っておいてもらい、会議の進め方の指針としてもらおうというのが、

今回の院内集会の目的です。


MOP会議のこれまで

「遺伝子組み換え生物バイオセーフティー議定書に関する会議」、MOPは、2000年から始まり、前回

の2010年、MOP5が名古屋で開催されました。名古屋では、「責任と修復」という議題が議論され、

採択されました。これは、「遺伝子組み換え生物による環境への影響が明確にされた場合には、その

責任は開発企業にある」ことをうたったものです。この、市民レベルで考えて至極当然の議案に関しも、

実は各国での批准が進んでおらず、発足にはほど遠い状況にあります。


カルタヘナ国内法 → 雑草だけを守るための法律?

遺伝子組み換え生物(作物)の移動に関する規制を、実効的に取り締まるのは日本国内で2004年に

制定された「カルタヘナ国内法」です。この国内法にもいろいろな問題点があります。

1. 「人への健康」への影響については、実質的に適用になっていない
2. 「食品の安全性」は対象外 → 農作物は適用外
3. 昆虫や鳥、動物への影響についての評価を実質的に適用になっていない

今、日本で我々が問題にしている重要な案件が、ほとんどすべて対象になっていないのです。

1.→ 遺伝子組み換え生物(作物)の人への影響については、個別法でしか取り扱わない
2.→ 今、日本中に拡大している遺伝子組み換えナタネは農作物であるので、取締り対象外
3.→ 遺伝子組み換えナタネを食べた自然動物については知らんぷり

結果として、この法律は、「雑草を守るための法律」になってしまっているのです。カルタヘナ議定書

は、「遺伝子組み換え生物が生物多様性におよぼす危険を取り除くための法律」なのに、結果として

の実効的な法律は、「人」も「動物」も「農作物」も守れない法律になっているということです。


遺伝子組み換え生物(作物)は各地で生物多様性を脅かしている

現在、自然界にはびこっている最大の遺伝子組み換え生物は、やはり、除草剤耐性、殺虫性などの

遺伝子組み換え大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿などです。これらはモンサントなどの多国籍企業が

その種子を一極支配し、ブラジル、メキシコ、中国などの国に輸出しています。これらの国々では、

除草剤耐性雑草、耐性害虫が発生し、農薬使用量が増大しています。また、おおくの野生種の

トウモロコシなどが遺伝子組み換え作物と交雑してしまい、種として存続できなくなりつつあります。

これらの現状は、まさしく生物多様性をはなはだしく脅かしているといえます。

しかしながら、最大の原因国であるアメリカが、実は生物多様性条約、カルタヘナ議定書に加盟して

いません。


新たに不安な遺伝子組み換え関連技術が開発されている

こちらも技術的に専門的な話題になるのですが、カルタヘナ議定書ではその取締りの対象となって

いない新しい技術が開発され、実用化されようとしています。

・セルフクローニング
・ナチュラルオカランス
・人口制限酵素

これらの技術(言葉)の説明はここでは省略させていただきますが、市民側としては、これらの新技術

についても、取りこぼすことなくカルタヘナ議定書の対象として欲しいとおもっています。


問題点はつきないのですが、この日はこれらの案件について各省の担当職員と議論し、10月の会議

で議題としていただきたいという要望を提出しました。また、10月の会議には、「食と農から生物多様

性を考える市民ネットワーク」からも出向いて、会議の方向性を注視する予定になっています。

今回は法律の枠組みを含む複雑な話題でしたが、ぜひ市民の方々にも関心を持っていただくことが

最初の一歩だと思っています。





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2012年8月30日

緊急院内学習会「消費者が求める食品表示」2012年8月28日



政権交代が起こってすぐに発足した「消費者庁」。消費者庁発足がきっかけとなって、食品表示の

一元化に関する議論が活発化しました。

現在の食品表示には、主に下記の3っつの法律が関係しています

・ 農林水産省が管轄するJAS法
・ 厚生労働省が管轄する健康増進法と食品衛生法

これらの法律と関係省庁がからみあって、現在の表示は不明確な部分もあります。これらを整理し、

一元的に消費者庁が管轄しようということになり、食品表示一元化検討会が開始されました。


消費者が求めてきた、求めている食品表示

大地を守る会は、遺伝子組み換え食品の表示の拡充を、遺伝仕組み換え食品いらないキャンペーン

と一緒に政府に長年、要望してきました。この一元化の機運をきっかけに、キャンペーンを中心に、

院内集会、学習会が開催され、大地を守る会としても積極的に協力、参加してきました。その過程で、

さらに、消費者の求める表示を検討し、下記の3点を中心に運動を展開してきました。

1. 原料原産地表示の徹底
2. 食品添加物の詳細な表示
3. 遺伝子組み換え食品の詳細な表示

1. については、国産(地元産)のものを求める消費者になくてはならないものです。
2. は食品の安全・安心を求める消費者に必要な情報です。
3. は遺伝子組み換え食品に反対する消費者に必須のものです。

これらの観点は、大地を守る会の推進してきた「THAT'S国産運動」、「食の安全・安心」、

「遺伝子組み換え食品反対」に合致します。


消費者庁は「事業者庁?」

十回を超える検討会が消費者庁で開催され、さまざまな議論が展開され、この8月、報告書が

提出され、国民に知らされました。その内容があまりにもひどい代物でした。上記の3点について、

全くふれられない、もしくは「今後の検討課題」(つまり先送り)、という状況だったのです。

ここにいたって市民側も黙っていられない(これまでも黙っていませんが)ということで、

緊急院内学習会が開催され、関係する議員や消費者庁長官に訴えたのです。


検討会での議論の進め方、報告書の内容など、消費者庁の役人の動きを見ていると、その目線

は全く消費者には向いておらず、食品関係の圧力事業者のほうにのみ気を使ってるかのよう。民主党

の情けなさ、「政治"不"主導」も手伝って、役人はまさにやりたい放題。消費者庁とは全くなばかりの

「事業者庁」となってしまっています。


ちょうどこの8月、消費者庁長官が民間から抜擢され、阿南久さん(元全国消費者団体連絡会

事務局長)がその任に着いておられます。この緊急院内学習会にも参加されました。

ぜひ、この機会に、役人目線を排除し、消費者目線を大いに復活させて欲しいと期待しています。


大地を守る会会員、全国学校給食を考える会会長もアピール

この学習会には、十名を超える国会議員、200名を越える一般参加者、マスコミが参加しました。

その場で、消費者が求める食品表示について、十一名の方々がアピールをしました。その中で、

横浜地区で大地サークル連絡会をやっておられる大地を守る会消費者会員の「由良直子さん」が

原料原産地表示や、遺伝子組み換え食品の表示の必要性を熱心に訴えられました。

また、全国学校給食を考える会会長で大地を守る会の消費者会員でもある「五十嵐興子さん」も、

より良い学校給食実現のためには詳細な食品表示は必須であることをアピールされました。


11月30日に開催する、「表示で知りたい食品の安全」

実は由良さんは、11月30日に大地を守る会とサークル連絡会で共催する、「表示で知りたい食品の

安全」(日本消費者連盟が協力)の発起者でもあります。いつも「NEWS大地を守る」でおなじみの

天笠啓祐さんを講師にお招きし、食品表示についての学習会を実施します。10月号のNEWS大地を

守るでお知らせいたしますので、ぜひみなさん、ご参加ください。




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2012年7月 9日

遺伝子組み換え(GM)ナタネ自生調査全国報告集会@福岡


大地を守る会では、1996年のモンサント社の遺伝子組み換え大豆の商業販売開始を

受けて、「遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン」と一緒に、反対運動を展開して

きました。同時に、当社として販売する品目にも遺伝子組み換え食品を使用しないことを

宣言しています。



「NEWS大地を守る」6月号、5ページ、で紹介した、遺伝子組み換えナタネ自生問題。

遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンは全国の参加組織に呼びかけて、

長年GMナタネの自生調査を実施してきました。2012の調査報告会が福岡で開催されたので、

その様子をお知らせします。


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当日のプログラム(2012年7月7日、福岡建設会館)



全国に広がり続けるGMナタネ汚染

2005年から始まったこの調査なのですが、残念ながら、毎年、自生地域が広がり続けて

います。また、カラシナなどほかの野草との交雑、多年草化、ラウンドアップ耐性とバスタ耐性

品種どうしの交雑による両耐性化などが進行してきました。今年も900地点以上での調査の結果、

100を超す地点の自生ナタネがGMという結果となり、これまでにない高い割合で発見されて

しまいました。毎年、GMナタネが発見された地域の付近で自生しているタナネ様植物を積極的

に抜き取る作業も進めているのですが、自然の力には勝てず、根本的解決にはなっていません。



隠れGMナタネ問題

昨年、この市民による調査で初めて見つかったのが、「隠れGMナタネ」の問題。これまで遺伝子

組み換え食品いらないキャンペーンでは、次のような2段階でGMナタネを調査してきました。

①自生ナタネを見つけ、その場で「簡易キット」による検査
 (ラウンドアップ耐性 or バスタ耐性 or 両方に耐性、のどれかがわかる)
  →タンパク質レベルでの検査

②科学的信頼度を上げるため(念のため)、PCR法によりDNA情報を検査
 →DNAレベルでの検査

基本は、①が陽性であれば②は陽性。①が陰性であれば②も陰性。しかし昨年、「遺伝子組み換え

食品を考える中部の会」と「農民連」から、①が陰性にも関わらず②が陽性のものが見つかりました。
(※この結果は、何十例かで確認されていて、単純な検査ミスでありまっせん)

簡単にいうと、①は薬局で販売している「妊娠検査キット」と同じ原理のもので、費用はかかりますが

キットさえ買えば普通の市民も実施可能だし、なにより野外でその場で結果がわかります。

しかし②のPCR反応は、専用の試薬と器機が必要なので、市民にはできないうえに、野外では

簡単にはできません。これまで①で陰性ならば大丈夫と思っていたものの中に、GMナタネが

混入しているということになります。これは、検出がやっかいというだけでなく、金川貴博教授

(京都学園大学)によると、もっと怖いことにつながる事態が裏に隠れている可能性があるそう

です。しかし、この「隠れGM」の問題、市民でそれ以上のつっこんだ調査をやるには、金川教授

の話しからすると、相当に困難なようです。ぜひとも専門の調査機関、行政の公的な機関

(大学など)にも積極的に参加してもらう必要があります。これから市民運動の力で実現して

いかなければなりません。



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隠れGM問題について議論(左から天笠啓祐さん、金川貴博さん、農民連の八田純人さん)



遺伝子組み換えの問題の根っこは原子力発電と同じ!?

今回は、京都学園大学、金川貴博教授の講演がありました。金川教授は、遺伝子組み換えの

問題の根っこには原子力発電の問題と似たところがたくさんあると説明されました。

・原子は英語で「nucleus」、遺伝子組み換えの正体は細胞の核「nucleus」を操作すること。

・原子力ムラがあるように、「遺伝子組み換えムラ」がある。

といったアナロジーで講演が始まりました。


確かに、両方の問題は、根本的なところでも似ています。

・情報が開示されないまま、あるシステムを押し付けられる。
・そのシステムの安全神話が形成される。
・あることでシステムが崩壊し、市民が被害を受ける。


原子力発電問題
・原子力発電は安全で安価なエネルギーだから推進しようという一方的押し付け。
・情報が開示されないまま、「原子力発電は安全だ」という神話の形成。
・地震により福島原発が崩壊し、市民が被害を受ける。


遺伝子組み換え食品問題
・安全で安価で作りやすいというふれこみで「遺伝子組み換え作物」が押し付けられる。
・情報が開示されないまま「問題が起こらないので遺伝子組み換え作物・食品は安全だ」
 という神話の押し付け。
・あることでシステムが崩壊し、市民が被害を受ける。


市民側としては、遺伝子組み換え問題についてのガバナンスがしっかりされるよう、

行政、政治、企業に対し、常に監視を怠らないようにすることが大切です。


①市民側からの啓蒙活動で、遺伝子組み換え作物が必要だというシステムの押し付けを
 跳ね返す。国産のもの、遺伝子組み換えに頼らない有機農業で、十分においしい食品が
 作られることを実践、広めていく。

②市民で集められる情報については積極的に集め、開示していく。


来年以降も自生ナタネ調査は継続的に実施され、その情報を発信していきます。




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