<10>農業のこと: 2009年12月アーカイブ
2009年12月24日
白菜のあたま縛りお手伝いをしてきました
とらちゃんこと虎谷健です。
年を越した白菜は甘味が増している事に気がつかれましたか?
冬、植物は体内の水分が凍って枯れてしまう事を防ぐため、細胞内のデンプンをショ糖に
変えて水分が凍らないようにします。
寒さにあたり続けると、このように糖が蓄積されることで甘くなるのですね。
冬場のほうれん草も同じ理由で、ぺたんと地面にへばりついて葉の先端が少し枯れて
いたりして、見た目は良くないですがとても甘いんですよ。
ちなみに、年を越させた白菜を「越冬白菜」と呼んでおり、鍋料理に最適です。
白菜を冬越しさせるには、内部の結球部分が霜にやられてしまわないように1つずつ
丁寧に外葉でくるんであげなくてはなりません。
外套の役割りをした外葉は霜にやられ、そして冷たい北風に吹かれてボロボロになって
しまいます。葉の柔らかい品種ほどボロボロになりやすいそうです。
お届けする越冬白菜の先端がちょんと枯れているものがありましたら、葉の柔らかい品種で
ちょっとしもやけしちゃったんだな、と思っていただけるとうれしいです。
さて、その白菜を外葉でくるむ作業、私たちは「白菜のあたま縛り」と呼んでいますが
農家さんはひとつずつ手作業で行っているんですよ!
作業の季節は12月上旬。2~3回霜にあたって外葉が少ししおれ始めたくらいの時が
作業しやすくていいのです。
北風が吹き始め、寒風にさらされながら中腰で行う作業はなかなか大変です。
甘くておいしい越冬白菜、作ってくれるのは大地を守る会の生産者さんの中でも
数人しか居ません。冬場の厳しい作業のため「もう、わしゃやめた!」と言われて
越冬白菜が途絶えてしまってはいけません。
少しでもお手伝いができれば・・・と思い始めたのがこの「白菜のあたま縛りお手伝い企画」
ですが、実はひそやかな楽しみがあることに気が付きました!
その楽しさを皆さんにおすそ分けしようとこの企画が生まれました。
今年も12月初旬に参加者の皆さんと埼玉の福井忠雄さんの畑に行ってきました。
がんばるぞ!おうおう~
お世話になった福井忠雄さんと一洋さん親子。忠雄さんは今年77歳。とてもお元気です。
息子さんの一洋さんが農業を継いで今は二人で畑に出ています。
今年は例年に比べ12月にしては雨の降る量が多い年ですね。この日も天気予報は
「曇り、お昼すぎから雨。」という予報が出ていました。
何とか作業中は雨に降られないでほしいのですが、当たって欲しくない天気予報ほど
よく当たる気がします。
午後から雨という予報と風邪がはやっていることから参加者はちょっと少なめ。大地を守る会の
職員も応援に駆けつけこの人数なら何とかなりそう...。
(でも問題は天気がいつまでもってくれるかです。)
身支度を整えて白菜畑へ。だんだん雲が厚くなってきました...。
昼食時間を少し遅らせる事にして、午前中になるべく作業を進めることにしました。
白菜畑に到着。さあ、バリバリ働くぞ!「ところでこれで福井さんの白菜は全部ですか?」
「いやいや、この3倍くらいありますよ。」
「 ・・・ ^_^; 」
あたま縛りの見本を見せる一洋さん。ささっと縛っていとも簡単に見えるのですが、
実はなかなか大変。
慣れない私たちは白菜を抱え込んで外葉が重なるようにしながら紐をぐるりと回して縛ります。
足も使って体全体を使っての作業です。
こちらが福井さんが縛った白菜。外葉が無駄なくピシッと巻かれています。
こちらが私、虎谷作。ゆるゆるで強い風が吹いたら紐が外れそう...。
福井さん、北風が強く吹く前に収穫してくださいね~。
来年春に入社予定の新人くんも研修参加してくれました。
道のりは長いぞ、あまり先を見ちゃダメ、今ある課題をしっかり乗り越えるんだ。
人生(じんしぇい)と一緒ばい。
家族で参加してくださった方も。子どもさんも充分な戦力です。
黙々と作業が進みます。
初めはおしゃべりが弾んでにぎやかだった畑も、だんだん口数も減ってきて静かになりました。
それぞれの作業に没頭しているようです。
「次はあそこをもうちょっと工夫してもっと上手く縛ってやろう。」という向上心が生まれて
楽しくなってきます。
無心に手を動かしながら、頭ではいろいろなたわいないことなどを考えながら過ごす時間を
持てることがこの企画のひそかな楽しみです。
忙しい年末だからこそこんなゆっくりした時間を持つことは大切ですよね。黙々と作業しながら
今年一年を振り返ったり、来年は何をしようかなど考えたりして・・・。忘年会の出し物について
考えてもいいですね!
そうしているうちに、ちょうどお昼を過ぎたころ、ついにぽつぽつと雨が落ちてきてしまいました。
昼食はビニルハウスの中でとりました。中は明るくて暖かです。
雨の音を聞きながら過す時間も良いものです。
中の様子。福井さんから「かぶの漬物」と「きぬかつぎ」を頂きました。
きぬかつぎに付けるお手製味噌、ゆずの風味がついてて美味しかった!
農家さんでいただく家庭の味は産地訪問会の醍醐味です。
雨はだんだんと強くなってきました。午後の作業はもうできそうにもありません。
午後の作業は中止にし、おやつ用に用意していたおかしも食べてしまう事にしました。
右下の黒糖くるみは体を動かした後にぴったりの甘さで、イベント菓子の定番です。
参加者の皆さんが帰って片付けが終わった後にスタッフと福井忠雄さんご夫婦で記念撮影。
福井さん、ピースサインがすてきです。
外は本降りの雨になってしまいました。こうなると畑にはいると足が沈んでしまって作業に
なりません。プロの農家さんも畑に入りません。
半日でしたが、お疲れ様でした。
大地を守る会 交流局 虎谷健
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福井さんの越冬白菜は、お試し野菜セットで購入できます
大地を守る会のウェブストア お試し野菜セット980円~-----------------------------------------------------------------------------------