<11>環境のこと: 2013年4月アーカイブ
2013年4月 1日
NEWS 大地を守る2013年4月号 報告 「 食品と放射能問題検討 共同テーブル」
政府に対し新たな提言を提出
一昨年9月に5 団体(※)で結成した「食品と放射能問題検討 共同テーブル」(以下「共同テーブル」)では、各団体が実施してきた食品中の放射性物質に関する検査結果を持ち寄り、放射性物質の検出動向や推移を調べ、必要な対策等について協議を重ねてきました。
2月には改めて2012 年のデータ(2万件超)を検証し、そこで得られた知見をもとに、政府に対し、今後の施策の方向について以下の提言を行うことを確認しました。
放射能対策特命担当 戎谷徹也
1. 品目ごとの検出状況を踏まえ、可能な品目については現在の基準値をさらに下げるべきである。
- 多く品目で放射線量は低下傾向にある。
- 共同テーブル参加団体は、それぞれ独自に政府の基準を下回る自主基準を採用しているが、現在はほとんどの品目において自主基準をクリアしている。
- 上記の状況から、この間検出されていない品目については、現在の基準値をさらに下げることは可能であると考える。
2.市町村単位の出荷制限は見直すべきである。
現在、ある作物から放射性物質が基準値を超えて検出された際、生産された市町村の単位で出荷制限が行われている。しかし以下の理由から、市町村単位の出荷制限は見直し、団体(個人)・ほ場単位など、きめ細かい対応に移行すべきである。
- 放射性物質による汚染は行政区域に基づいているわけでなく、自治体単位での制限等は科学的な根拠に乏しく、汚染実態を反映しているものとはいえない。
- 放射性物質の検出原因がその地域に由来しない事例を考慮すべきである。精肉から検出された場合、原因の多くは肥育時の餌による。また原木栽培のしいたけの場合、原因の多くは原木に由来する。それらの多くは他の地域で産出されたものである。このような場合、生産物を市町村単位で一律に出荷制限せず、由来に基づいたきめ細かい単位で対応すべきである。
- 除染に取り組み、効果を上げている生産者については、検査を前提に出荷できるようにすべきである。除染に積極的に取り組んだ生産者の生産物は確実に数値が下がっている。検査の結果、数値の低減を実現している生産者からの出荷は認めるべきである。これは生産者の努力を後押しするものにもなる。
3. 検出が続いている作物については、政府が調査・研究・支援を行なうべきである。
放射性物質が検出されている品目については、国や行政による調査研究、除染対策支援等を行うべきである。
また国と自治体によって出荷自粛要請品目に齟齬が発生しているものがある。それぞれの検査結果など情報を共有し、連携する体制を整えるべきである。
以上
※「共同テーブル」5団体......(株)カタログハウス、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会 グリーンコープ連合、(株)大地を守る会