<09>食べて守る生物多様性: 2010年9月アーカイブ

2010年9月 9日

鹿、いのしし対策 長野県の取り組みを見てきました!

とらちゃんこと虎谷健です。

 

今年の夏は暑い!そして、9月に入りましたが、まだ暑い日が続きそうですね。

虎谷は、今年の夏休みは猛暑の東京から逃げるように、長野県の高原に行ってきました。

長野県では有害鳥獣駆除をした鹿やいのししの食材活用が盛んでしたのでちょっとご報告を!

 

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まずは諏訪大社にお参りしてきました。ここでしか手に入らないお札が目的です。

 

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狩りをするものは、猟師や武士、時代の将軍までが唱えた「諏訪の勘文」という、

慈悲と殺生の両立を説くお札「鹿食免」をいただいてきました。

このお札は、殺生は罪悪として狩猟を忌み嫌う時代にも、生きるために狩猟をし鹿肉を食べる事を

許しました。

諏訪地域の人々は諏訪大社から鹿食免を授かり狩猟を続けることで、長く厳しい冬を乗り越えたのですね。

明治時代まで発行されていましたが、食の近代化が進み狩猟が生活の糧とならなくなって

きたために発行が途絶えたとのこと。

しかし、食にまつわる問題が顕著になってきている現代、今の豊かな時代に感謝し

安全な食生活を送れることを祈念して、諏訪大社は今日、再び鹿食免の頒布を始めた

とのことでした。

 

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鹿食免のお札を頂きました。さあ、がしがし鹿を食べよう!(笑)

 

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今回の目的の一つ霧ケ峰高原の奥にある八島湿原。

八島湿原は日本南限の高層湿原で天然記念物にも指定されている貴重な湿原です。

 

「これほど見事な高層湿原は世界でもベルギーに一か所あるだけ。」と、世界の湿原研究者から

高い評価を受けている湿原です。

12,000年前に火山活動でできた溶岩のくぼみが池になり、土砂が流入して水生植物が繁茂し、

冬に枯れた植物が冷涼な気候のために腐らずそのまま堆積し、その上にさらに水生植物が

育って枯れて・・・を、気が遠くなるほど繰り返して今の形になったものだそうです。

 

ぐるっと回っても1時間半ぐらいで歩けるので小さな子どもさんを連れても安心です。

それにしても広くて開放感いっぱいです!

 

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そんな開放感いっぱいの湿原の縁に無粋な柵が張り巡らされております。

これはなんでしょう?

 

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なんと、鹿の侵入を防ぐ鹿防護柵が湿原一面に張り巡らされているのでした。

ここ長野県でも、増殖している鹿による植生被害を防止するために、柵の設置や猟銃による駆除

などが行われていました。

八島湿原のほとりにある山小屋のご主人は鳥類の観察・調査も続けているナチュラリスト。

話が鹿の食害の話に及び、「鹿食免」の話になると「実は私もお札持っているんですよ。」とにっこり。

自然に関心のある方は、鹿の食害問題は避けられない状況に来ている事を実感しているようです。

積極的に鹿を食べて頭数調整に関わろう、という機運が伺えます。

 

長野県では駆除のみならず捕獲した鹿の利用にも力を入れています。

今回の旅行でははからずも鹿料理食べ歩きの旅となってしまいました! 

 

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観光地で「ジビエ祭り」と称して鹿肉を味わってもらう企画が展開されていました。

 

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ドライブインの入口にもありました!鹿食免。

以下、今回出会った鹿料理をご紹介です!

 

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車山高原のドライブインにあったメニューのご紹介。

鹿肉の天ぷらです。

 

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カレー丼です。カレーにすると鹿肉のクセが消えて食べやすくなるようです。

せっかくの鹿肉の風味が消えてしまって残念ですが、鹿肉入門には良い料理かもしれません。

 

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カレーつけうどんです。

 

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こちらは諏訪のレストランで見つけた鹿料理です。

「てっぽう揚げ」と書いてありましたが龍田揚げですね。

ドレッシングをかけてサラダと一緒にいただきました。美味しかったです。

 

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鹿肉のステーキです。赤ワインのソースが相性ピッタリ。

モミジが載っているのは鹿肉を「もみじ肉」と呼んだ呼び名にかけてみたのでしょうか。

 

次の写真はちょっとワイルドなのでご注意を!

 

 

 

 

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こちらは原村にあるレストラン。

屋根から下がっているのは鹿、いのししのハムです。ヨーロッパの市場でよく見る風景ですね。

・・・よく見るとひずめが付いたままの足が丸ごと干してあります!

オーナーさんはなかなかワイルドな方のようでございます。

 

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ハムを注文すると丸ごと席まで持ってきてくれて目の前で削いでくれました。

「何がいい?」とヒゲ面の大男のオーナーさんが聞いてくれたので、

「シカとイノシシをちょっと多めに。豚は少しで。」とちょっとツウぶって注文してみました。

目の前で見る毛とひづめ付きのハムは迫力あります!

 

「鹿やいのししの肉に関心があるんですよ~。」などと話しかけると、ハムを切りながら「原村も

温暖化の影響かハムも作りづらくなってねぇ~。」とのこと。

 

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ワイルドなハムですが、お皿も盛られるとこんなにお上品でございます。

鹿肉のハムは豚に比べて肉の味が強いので薄切りにして丁度よいくらいです。

チーズとあいそうなのでピザにのせても美味しいかもしれません。

高原の涼しい風に吹かれながら赤ワインと一緒に楽しみました。

ちょっとけだるい昼下がりのひとときでございました。

 

大地を守る会 交流局 虎谷健



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