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放射能除染プロジェクト ジェイラップVOL.2

未曽有の災害を越えて

3.11東日本大震災では、当地・福島県須賀川市も過去経験ないレベルの地震に見舞われ、ダム(藤沼湖)の決壊によって多数の人命が失われ、今もなお行方不明の方を残したまま復旧の見込みも立たない状況です。また東京電力福島第1原発の事故と放射能の被害は、この地域(福島中通り)にも深刻な影響をもたらしました。稲田稲作研究会の米を預かる(株)ジェイラップの社屋・事務所部分は今も傾いたままです。

水系の破断もあって、今年の稲の作付は深い苦悩と不安からスタートしました。しかし仲間がいるということは、本当に嬉しいことです。「水がなくて田植えができなければ来年の肥やしにしよう」「百姓が種を蒔かなかったら百姓じゃない!」と励まし合い、敢然と苗作りに入りました。行政の土壌検査では、研究会メンバーの田んぼはすべてパスして作付許可がおりました。

田植えが始まってみれば、この優良な稲作地帯にあっても耕作放棄地があちこちに目立つようになって、研究会メンバーは余った苗を集め、「苗がある限り、耕作放棄の田んぼを借りて米をつくろう」と走りました。田植えを終えると、稲作研究会は昨年以上の作付になっていました。


ジェイラップ代表・伊藤俊彦さん

手探りの放射能対策-「やれる限り手を尽くす」

私たちがもっとも怖れたのは、米の放射能汚染でした。様々な情報を見ても明確な対策は定まっておらず、すべてが手探りでした。でも、何もしなくて後悔するより、「とにかく放射性物質の米への移行を最大限抑止する。そのために、やれるだけの手を尽くそう」と決意しました。

6月~7月、研究会の機動力を駆使して、すべての田んぼにケイ酸カリウムを散布。これが予想以上の効果を上げてくれました。カリ養分たっぷりの田んぼは、見事に稲のセシウム吸収を抑えてくれていたのです。

汚染傾向の特徴から原因を探ろう。そのために、田んぼ一枚ごとに「土壌-稲ワラ-もみ殻-玄米-米ぬか-胚芽-白米-炊飯」と、それぞれへの移行について詳細なデータをとってみよう。それによって来年確実に放射性物質ゼロを達成させるための根拠の基礎をつくろう。「本当にやり切れるのか」という疑問は不要、合い言葉は「やれる限り、やり切る!」でした。7月末には、大地を守る会から測定機「NaI ガンマ線スペクトロメータ」を現地に設置することができ、一気にフル稼働に入りました。


ジェイラップに貸し出している「NaI ガンマ線スペクトロメータ」

10月末現在、ようやく「大地を守る会の備蓄米」対象ほ場-341枚の田んぼの玄米検査を終了しました。結果は、以下の通りです。

玄米・自主検査結果

1.玄米検体数(ほ場数) : 341検体

2.測定機          : EMFジャパン社製・NaI ガンマ線スペクトロメータ

3.検出限界値       : 放射性セシウム134、137および放射性ヨウ素131それぞれ概ね10Bq/kg

4.測定結果

341検体中、337検体は不検出。

検出された4検体の、核種ごとの測定結果

ヨウ素131 セシウム134 セシウム137
不検出 12.1 不検出
不検出 10.6 不検出
不検出 不検出 10.4
不検出 不検出 10.5

5.補足
上記検査の精度を確かめるために、20検体を第3者検査機関(㈱理研分析センター)に提出しクロスチェックを行ない、その適正さを確かめました。
上記で検出された4検体は、いずれも白米測定では「不検出」でした。
「不検出」は検出限界値未満であり、「残留なし」を保証するものではありません。

≪参考≫
一般に、玄米を精米すると白米は質量的には90%になりますが、放射性物質の残存率は、おおよそ40%と言われています。さらに白米は、炊飯すると加水重量が付加されることで半分以下になります。つまり「白米ご飯」の残存率は白米からさらに50%以下と推定されます。この推計値は引き続き検証して参ります。

 

6.今後の検査および対策について

引き続き、田んぼ一枚ごとでの「土壌」から「白米」までの残留状況の測定を行ないます。
すべての検査を終了した段階で調査結果をまとめ、対策の効果検証を行ない、来期の改善対策に活かします。
またこの結果は、大地を守る会の他の生産者の今後の対策にも活かしていく所存です。


「備蓄米」。おいしいと評判でリピート率が高いのが特徴。

 

結びに-「大地を守る会備蓄米」会員の皆さまへ

収穫を終えてみれば、米はなんと、近年に類を見ないほどの「高食味」「高品質」を達成してくれました。色白で大粒、甘味も粘りも申し分なく、稲作研究会が目指す理想の米質に限りなく近づいてくれています。今さらながら、本当に・・・原発事故が恨めしいです。

不安で胸が裂けそうな状況の真っただ中で、今年の「備蓄米」受け付けが始まり、実際に申し込んで頂けた方がいてくれたことは、望外の喜びであり、心の支えとなりました。一口一口の数がメッセージでした。「作る者の責任」に、これほどまでに気概を感じたことはありません。

結果は、対策は完ぺき! には一歩及ばなかったかもしれません。しかし、幾ばくかの達成感とともに、自信を持って「大丈夫!」と言わせてください。この数カ月の手探りの中で得た多くの発見や知見は大きな意味を持ちます。すでに次年度に向けての挑戦が始まっています。

深い感謝の心をこめて大切に保管し、美味しい稲田のお米をお届けすることを、お約束します。


今年の「大地を守る会の備蓄米」 の収穫祭の様子。今年は例年以上の参加者が集まった。





天笠啓祐さんのわかりやすい放射能講座

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