〜東京2020大会 「持続可能性に配慮した調達コード(案)」に関する意見募集について〜 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会へパブリックコメントを提出 |
2017年1月16日 |
|
有機食材宅配のパイオニア・大地宅配を運営する株式会社大地を守る会(本社:千葉県千葉市 代表取締役社長:藤田和芳 以下、当社)は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)が実施した「持続可能性に配慮した調達コード(案)」に関する意見募集についてパブリックコメントを提出致しました。
●東京2020大会で推進される「持続可能性に配慮した運営」
組織委員会は、東京2020大会において、「持続可能性に配慮した運営計画」に基づき、「環境」、「社会」及び「経済」の側面を含む幅広い持続可能性に関する取組を推進しています。
その中で、大会の準備・運営段階の調達プロセスにおいても持続可能性に配慮した調達を行うこととしており、組織委員会が調達する全ての物品・サービス等に共通して適用される基準や運用方法等を定めるとともに、持続可能性に配慮した農産物・畜産物・水産物の調達基準についても定めることとしています。
このたび組織委員会より「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」が発表され、それに対するパブリックコメントの募集がありました。当社は、有機農業を推進する立場から、意見を表明しました。
下記にて、主に農産物について、組織委員会が定める「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」のうちもっとも重要と思われる箇所を要点抜粋し、それに対しての当社意見と提案をお知らせ致します。
なお「調達コード(案)」および「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」についての詳細は、下記組織委員会のHPをご参照ください。
https://tokyo2020.jp/jp/games/sustainability/opinion-sourcing-code/
●持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)要点抜粋
「サプライヤーは、農産物について、持続可能性の観点から、JGAPAdvanceまたはGLOBALG.A.P.の認証を受けて生産された農産物について認める。認証を受けて生産された農産物以外を必要とする場合は、農林水産省作成の「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に準拠したGAPに基づき生産され、都道府県等公的機関による第三者の確認を受けていることが示されなければならない。加えて、生産者における持続可能性の向上に資する取組を一層促進する観点から、有機農業により生産された農産物、障がい者が主体的に携わって生産された農産物、世界農業遺産や日本農業遺産など国際機関や各国政府により認定された伝統的な農業を営む地域で生産された農産物が推奨される。」
ところでGAPとは「農業生産工程管理(GAP:Good Agricultural Practice)」の英語の頭文字です。農林水産省のホームページによると、「農業生産活動を行う上で必要な関係法令等の内容に則して定められる点検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動のことです。これを多くの農業者や産地が取り入れることにより、結果として食品の安全性向上、環境の保全、労働安全の確保、競争力の強化、品質の向上、農業経営の改善や効率化に資するとともに、消費者や実需者の信頼の確保が期待されます。」とあります。
●当社の意見
組織委員会は「農産物について、持続可能性の観点からJGAPAdvanceまたはGLOBALG.A.P.の認証を受けて生産された農産物について認める」としています。そもそもGAPは、農業生産工程を管理することにより、「結果として食品の安全性向上、環境の保全、労働安全の確保、競争力の強化、品質の向上、農業経営の改善や効率化に資する」ものです。一方、当初目的から自然環境の保全や食の安全を目指し、農薬や化学肥料の使用をどう減らすかという努力を積み重ねてきた有機農業により生産された農産物(有機農産物等)は、本質的に持続可能性を追求した農産物であり、GAP認証を取得した農産物より優位に位置していると考えます。しかしながら「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」ではそれら有機農産物等を推奨するレベルに留めています。
「持続可能性の観点」から有機農産物等を「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」に組み込んでいないことは、有機農産物等の総合的価値を軽視していることになります。国際的なオーガニック食品の認知度向上の動向に鑑みると、組織委員会はオーガニックについての認識の低さを各国から問われ、批判されることも予想されます。したがって、今回の食料の調達には有機農産物等も積極的に活用されるような取り組みが重要です。
さらにこの「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」に基づいて有機農業実践生産者がオリンピック・パラリンピックに供給するには、現在の有機認証に加えて、更にGAP認証を取得する必要があり、それは時間的にもコスト的にも多くの負担を生産者が負うことになり、長年にわたり環境に配慮し農業の持続可能性の取り組みを実践してきた生産者を、オリンピック・パラリンピックから排除する結果になりかねません。この事態は、今回のオリンピック・パラリンピックに対し、「有機農業を推進する法律」に基づく取り組みが生かされないことと同義と考えます。
●当社の提案
私たち大地を守る会は、長年に渡って有機農産物普及に取り組んできた立場から、有機農産物の価値と、有機農業実践生産者の意欲が正当に評価されるよう、「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」に次の項目を追加することを提案しました。
@JGAP Advance または GLOVALG.A.Pとともに、有機農産物等を明示すること。
A有機農産物等については、農水省GAP取得の例外とするか、あるいは、以下のような軽減策を講じること。
(1)JAS有機認証取得生産者(または、JAS有機認証に準じる自主基準生産の第三者認証を取得している生産者)が、本調達基準に基づき供給を希望した場合、JAS有機の生産工程管理規定とGAPの管理点と適合基準を比較し、GAPに対し不足する部分のみの認証を取得する運用が、「持続可能性に配慮した農産物の調達基準(案)」にある「農林水産省作成の「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」と同等である位置づけになるようにすること。
(2)前項の場合、生産者の事務的負担を軽減するために、「第三者」として確認する団体に、都道府県等公的機関のほかJAS有機認証団体も含めることを検討すること。
B末尾、「推奨」との文言は、少なくとも有機農産物等については、「優先的もしくは積極的に選択すべきである」旨に書き換えること。
<株式会社 大地を守る会について>
自然環境と調和した、生命を大切にする社会の実現をめざし、1975年に設立のソーシャルビジネス(社会的企業)。安全・安心とおいしさにこだわった農・畜・水産物、加工食品、雑貨等をお届けする宅配サービス他を運営しています。現在、利用者数は約31万9,000人、生産者会員は全国に2,500人(2016年12月末現在)。
取材に関するお問い合わせ(取材ご希望の場合は、下記担当までご一報下さい)
広報担当:西田、鷲尾
- 連絡先
- 〒261‐8554 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3
幕張テクノガーデンD棟21階 - TEL
- 043-213-5860
- FAX
- 043-213-5604
- press@daichi.or.jp
|
ページの先頭に戻る |
|