注目の食料ジャーナリスト手島奈緒がお届けする、本物の食べ物レポート。
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ポストハーベスト農薬(収穫後農薬)ってなんだろう?
2013年12月、群馬県にある食品工場が製造した冷凍食品に、マラチオンが混入されるという事件が起きました。最初は原因がわからず、どこで、なぜ農薬が混入したのか、メディアでずいぶん騒がれていました。各食品に共通している食材は小麦でしたから、もしかして小麦由来かもと興味を持って経過を見ていたところ、ある日「小麦のポストハーベスト農薬残留の可能性?」という小さな小さな記事が新聞に掲載されているのを見つけました。
「ポストハーベスト農薬」とは、栽培期間中の散布ではなく、収穫後に虫がわかないよう作物に直接散布される農薬のことです。日本では禁止されていますが、輸入穀物・柑橘類に使用されています。ほとんど話題にならないのでご存知ない方のほうが多いかもしれません。ポストハーベスト農薬が問題になったのは、1980年代後半。小麦の上に白い粉をまいている写真が雑誌に掲載され、「食の安全」に関心がある人のあいだでは「国産小麦」の需要が高まりました。当時は畜産物の飼料においても「ポストハーベストフリー(PHF)」が優位性を持って語られていたほどです。
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小麦だけではないポストハーベスト農薬
さて、スーパーマーケットのグレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム等の売場を見てみましょう。「防カビ剤としてオルトフェニルフェノール(OPP)、チアベンダゾール(TBZ)、イマザリル、ジフェニル(のいずれか)を使用しています」と値札の近くに表示されているはずです。これらの農薬は輸送途中にカビが生えないよう、収穫後に本国で散布されたもので、表示が義務付けられています。発がん性や催奇形性が指摘されているものもあり、小麦と同じく以前は大きな問題になっていました。昨今ではその表示を見ても何のことかわからないと言う人のほうが多いかもしれませんね。
収穫後農薬は輸送中のカビや虫を防ぐために必要なものではありますが、作物に直接散布されていることもあり、安心して食べられるかどうか気になるところです。幸い、自給率が低いながらも小麦は国産のものがありますし、ちょうどネーブルや文旦などの晩柑類の季節です。海を渡り、はるか彼方からやってくるものより、自分の身近で収穫されたもの、国産のものを選択することは、健康にも環境にもよく、また日本の農業を応援することにもつながります。収穫後農薬の心配がない国産のものを選びましょう。
文・写真/手島奈緖(てしまなお)
食料ジャーナリスト。2010年「ほんものの食べものくらぶ」を設立、食べる人と作る人をつなぐ活動に取り組んでいる。