大地を守る会の除染プロジェクト中間報告:福島の米生産団体・ジェイラップ、除染実施により98.8%は放射能不検出。 |
2011年11月8日 |
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要 旨
有機食材宅配のパイオニア・大地を守る会が放射能の高精度検査機器「NaI(Tl)ガンマ線スペクトロメータ」を無料貸与するなど放射能除染活動を支援してきた、福島県の米を中心とした生産団体「ジェイラップ」の米の測定結果が出てきたので中間報告をいたします。産地ではカリウム分を土壌に散布するなど、さまざまな実験をしたところ341検体中、337検体は不検出(検出限界値:概ね10ベクレル/kg)でした。放射能を検出した4検体は、第三者機関にクロスチェックをかけたところ、白米測定では不検出でした。詳細結果は、再度報告いたします。
●除染結果報告
1)実施団体:ジェイラップ(福島県須賀川市)
2)玄米検体数(ほ場数):341検体
3)測定機:NaI(Tl) ガンマ線スペクトロメータ(EMFジャパン社)
核種ごとの分析が可能な高精度検査機器。鉛シールド(厚さ50mmの鉛+厚さ3mmの無酸素銅)の利用で環境値の影響を1/10程度に減らし高感度な測定が可能。検出限界値は放射性セシウム134、137および放射性ヨウ素131それぞれ概ね10ベクレル/kg。
4)測定結果:341検体中、337検体は不検出。以下は検出された4検体の各種ごとの測定結果。
※20検体を第3者検査機関(㈱理研分析センター)に提出しクロスチェック実施。
上記で放射能検出された4検体は、いずれも白米測定では不検出。
上:NaI(Tl)ガンマ線スペクトロメータによる検査の様子
下:ジェイラップの代表・伊藤俊彦さん
5)除染実験内容:6~7月すべての田んぼにカリウム分など実験資材を散布。来年の資材投与タイミングをはかるために、田んぼ一枚ごとに「土壌-稲ワラ-もみ殻-玄米-米ぬか-胚芽-白米-炊飯」の移行データを測定。結果は専門家である河田昌東氏(チェルノブイリ救援・中部)を交えて検証。
6)今後の検査、対策:引き続き田んぼ一枚ごとでの土壌から白米までの残留状況の測定を実施。全ての検査を終了した段階で調査結果をまとめ、対策の効果検証を行ない、来期の改善対策に活かす。
●今年ほど「作る者の責任」を感じたことはない。(ジェイラップ代表・伊藤さん)
収穫を終えてみれば、米はなんと、近年に類を見ないほどの「高食味」「高品質」を達成してくれました。稲作研究会が目指す理想の米質に限りなく近づいてくれています。今さらながら、本当に...原発事故が恨めしいです。不安で胸が裂けそうな状況の真っただ中で、今年の「備蓄米」(※)受け付けが始まり、実際に申し込んで頂けた方がいてくれたことは、望外の喜びであり、心の支えとなりました。「作る者の責任」に、これほどまでに気概を感じたことはありません。結果は、対策は完ぺき! には一歩及ばなかったかもしれません。しかし、幾ばくかの達成感とともに、自信を持って「大丈夫!」と言わせてください。この数カ月の手探りの中で得た多くの発見や知見は大きな意味を持ちます。すでに次年度に向けての挑戦が始まっています。
※ジェイラップ(稲田稲作研究会)と大地を守る会が共同で立ち上げた、1993年の大凶作を教訓にできた翌年のお米を予約するシステム 。
■稲田稲作研究会のお米を販売しています。
販売 :大地を守る会の宅配、ウェブストア
商品名:大地恵穂・稲田コシヒカリ(がんばろう福島)
5kg 3480円(税込)
白米、七分、玄米を販売予定。
今年の「大地を守る会の備蓄米」の収穫祭の様子。今年は例年以上の参加者が集まった。
※ウェブストアは11月10日(木)13:30~ 発売開始
https://store.daichi.or.jp/NewsDetail/index/contentscd/9/year/0/no/551
●大地を守る会とは
自然環境と調和した、生命を大切にする社会の実現をめざし、1975年に設立のソーシャルビジネス(社会的企業)。安全・安心とおいしさにこだわった農・畜・水産物、加工食品、雑貨等をお届けする宅配サービス他を運営しています。現在、利用者数は約12万6千人、生産者会員は全国に2,500人(2011年9月末現在)。
お問い合わせ(取材ご希望の場合は、下記担当までご一報下さい)
広報担当:中川啓、齋藤史恵、宇田川千夏
- 連絡先
- 〒261‐8554 千葉県千葉市美浜区中瀬1-3
幕張テクノガーデンD棟21階 - TEL
- 043-213-5860
- FAX
- 043-213-5604
- press@daichi.or.jp
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