フードレポート

りんひろこさんの世界のオーガニックフードレポートVol.4(ヨーロッパ編)

世界に学ぶ自然にやさしく、オーガニックな暮らし

毎月大地宅配の野菜をつかったレシピをご提案いただいているりんひろこさん。通常の連載をおやすみして、世界各地のオーガニックフード事情を現地から報告していただいています。4回目の今回で最終回になります。

世界のオーガニックはすごい!

さて、今回、サンフランシスコに始まり、→NY→ロンドン→イギリス中西部→イギリス南西部→サンセバスチャン→トゥールーズ→南仏オクシタニア地方→アンゴラ→バルセロナ→リスボン→パリ→アルザス→ミュンヘンと、実に7か国15か所以上を旅してきましたが、欧米はどこの国に行っても、”オーガニック”や”サステイナブル”という考え方が人々に浸透しているのを感じました。その中でも、「すごいなぁ~!」と感じたことをまとめてみました。

リサイクルなゴミ箱

サンフランシスコでは街にある全てのゴミ箱に必ずコンポスト分別が付いていました。サンフランシスコでは全市民・全事業者に生ごみリサイクルを義務付けていて、そのリサイクル率は驚異の77%なんだとか!そうそう、ドイツ・ミュンヘンの友人宅でも生ごみは分別してゴミに出さないといけないと聞きました。そのお宅には庭にも自前のコンポストがありました。

コンポストと言えば、人間の排泄物もゴミにせず、コンポストとして活用するコンポストトイレがイギリスのファームでは多くみられます。プラスチックのタンクに便座がついていて、そこで用を足した後に上に土をかけるだけ。微生物の働きで全然臭くなくて、その上これがたい肥になる、と一石二鳥。それ以外の国でも空港や駅、ショッピングセンターのレストランなど主要な場所にあるゴミ箱にはかなりの確率でコンポスト分別がありました。

コンポスト

また、ビール王国のドイツはビン類のリターナブルを積極的に行っている国。フランクフルト空港では、ゴミ箱の分別がなく1つのごみ箱に何でも入れて良いのですが、その上に「あなたのために、私たちがごみを分別します」という注意書きがありました。ビール瓶などでもそこに捨てると、分別して瓶代を換金して寄付に回してくれるそうです。

安全な食、食の多様性に関する豊富なキーワード

欧米を旅しているとオーガニック以外にも、食の安全や社会・環境問題に関する様々なキーワードを目にします。グラスフェッド、ケージフリー、ローカル、サステイナブル、フェアトレード、デイリーフリー、グルテンフリー、ベジタリアン、ビーガン、ローフード・・・。これらの表示は普通のスーパーでもよくみかけます。

特に、グラスフェッドというのはサンフランシスコでよく目にしました。穀物だけ食べさせて肥えさせる従来の方法でなく、牧草だけを食べさせて育てる方法のことで、この方法で育てた牛は余分な油が少ない赤味肉になるんだとか。オーガニックレストラン「シェ・パニーズ」もこのグラスフェッドを採用。サンフランシスコ町中の屋台でもグラスフェッド牛を使ったホットドックが売られていましたが、牛肉のうまみが濃厚なソーセージがパンに挟まっていて美味しかったです。

ホットドッグ

時代の先を行く超オーガニックなスーパーマーケット

アメリカならホールフーズマーケット、フランスならビオセボン、ドイツならアルナチュラなどどこの国もオーガニックの商品を取りそろえたチェーンの大手オーガニックスーパーがあります。しかし、欧米では、オーガニックをうたわない普通のスーパーでも、必ずオーガニック商品をたくさん目にします。イギリスの一般のスーパー「ウェイトローズ」などでは、オーガニック商品がものによって3~4割を占めているように感じました。ドイツでは安売りスーパーでもビオ(オーガニック)商品が目立つようになってきているそうです。

また、オーガニックスーパーとして、チェーンでない地元のスーパーもいたるところで見かけます。その中でも、カリフォルニアにある、「レインボーグロッサリー」は驚きのスーパーでした。まず、何もかもが量り売り!まあ、ナッツ類やドライフルーツの量り売りはどこにでもありますが、ここの量り売りはその種類の豊富さが半端ない!惣菜やパスタ、オリーブもそれぞれ10種以上取りそろえていますが、スパイスや紅茶などのお茶なんかは、それぞれ100種類以上あるんじゃないかというほどずらっと並んでいます。

レインボーグロッサリー、スパイス

それだけではありません。なんと、豆腐や味噌、塩麹の計り売りまであります。その味噌だって、4~5種類はあります。

レインボーグロッサリー・豆腐味噌

お客さんは、ドライフルーツやナッツなどは持参した袋や置いてあるビニール袋に詰めますが、みそなどの調味料やオリーブなどの汁っ気のあるものは、持参したメイソンジャーにつめて買っていっていました。種類豊富なハーブなども取りそろえた野菜コーナーも、色とりどりで美しい!

こんな驚きのスーパーですが、経営はコープだそう。食に対する意識の高い住民が多いのだということを実感させられます。

レインボーグロッサリー野菜

 

身近なところにいつも”ファーマーズマーケット”

サンフランシスコ、ロンドン、パリ、トゥールーズ、サンセバスチャン・・どこの街に行っても、決まった曜日に(特に土日が一番多いですが)街のあちこちでファーマーズマーケットが開催されていました。パリには有機栽培のもののみを扱う”ビオマルシェ”もあります。

パリのビオマルシェ

新鮮な野菜やフルーツ、パン、チーズ、それに魚や肉までも対面販売で入手できるし、たいてい食べ物の屋台もあるので食べ歩きもできます。実際に休日にマーケットで食材をまとめ買いして、足りないものは平日にスーパーで買うという人も多いそう。作り手の顔をみながら、その時期のおすすめを聞き、美味しい調理法を教えてもらいながら、野菜を買う。そういう生活が当たり前のようにできる環境は素敵だなと思いました。

自給自足の農場とレストラン

ドイツには一般に開放された見学可能なオーガニック農場がたくさんあります。その一つ、ミュンヘンにあるヘルマンズドルフ農場を訪ねました。ここは、従来型の畜産方法で抗生物質づけの動物の糞尿により周辺地域の自然環境が悪くなることなどに限界を感じていたオーナーが始めたオーガニックな農場で、動物から出た糞尿やゴミからバイオガス(メタンガス)をとって発電し、農場内の電力をすべて賄っています。

農場内では麦やホップも栽培して、クラフトビールやパンも作っています。豚の餌は全て無農薬で、外で草を食べられる時期は外で飼育するという徹底ぶり。レストランやオーガニックスーパーも農場内にあります。このオーガニック豚から作ったサラミは味がギュッと凝縮されて、かみしめるほどに豚のうまみがあふれ出す美味しいサラミでした。パンは、柔らかくてホロホロと崩れる仕上がり。麦の味がしっかり感じられました。

ヘルマンズドルフのサラミ

ヘルマンズドルフ・パン

ヘルマンズドルフの精肉

自給自足がトレンド

様々なところで「自給自足」というものが、今のトレンドになってきているのだなと感じましたが、イギリスの食ジャーナリストHugh Fearnley-Whittingstallの運営する「river cottage」でも、風力発電をして電力を作ったり、牛や豚、鶏などの家畜を育ててたり、近くの川で魚をとったりと、自給自足がテーマ。「river cotttage」にあるレストランでは、そんな「river cotttage」 内で調達したフレッシュな材料を使ったコース料理を堪能できます。今そこで育った牛や豚の肉、そして裏の庭園で育った野菜の料理が並んだテーブルを囲むと、不思議とそこにいるみんなの会話が弾み、とっても豊かで楽しい時間を共有することができるものだと思いました。

リバーコテージ料理

リバーコテージ食事風景

 

4回に渡ってお届けした世界オーガニック事情、いかがだったでしょうか。ご覧いただきありがとうございます。この連載が生活を良い意味で見直すキッカケとなればうれしいです。来月からはいつもの野菜レシピ連載に戻ります。

 

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りんひろこ プロフィール

料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。
http://minato-kitchen.com

ジャーサラダをはじめ野菜レシピでおなじみの、りんひろこさんは、大地宅配をご利用くださっているお一人。生命力あふれるおいしい季節の野菜を、もっと楽しむためのレシピを毎月ご紹介しています。 

大地を守る会編集部

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。