伝統文化としても食されてきたうなぎ。古くは万葉集にも、歌人・大伴家持が詠んだうなぎに関する2首が収められています。先の記事では、江戸時代の商人と平賀源内による「土用の丑の日」についての通説を紹介しましたが、日本人は奈良時代から食材としてうなぎに親しんできたのです。
国内の産地といえば、浜名湖を擁する静岡県浜松市が有名。愛知県の西尾市(旧一色町)も一大産地です。都道府県単位では鹿児島県、宮崎県が出荷量の多い地域になります。これらはいずれも養殖うなぎの産地ですが、水質環境や育て方が異なるため味にも違いが出ると言われます。
日本各地で生産量が競われてきたうなぎですが、近年、養殖に使われる稚魚(シラスウナギ)の漁獲量の減少から、うなぎの価格上昇がニュースで取り上げられるようになりました。うなぎを取り巻く環境に、どのような変化が起きているのでしょうか。
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うなぎは2500㎞も泳いで日本にたどり着く
代表種である天然のニホンウナギの生態は、長らく謎に包まれてきました。現在でも明らかになっていない部分が数多くあると言われています。
最近の学術研究船などの調査でグアム島付近に受精卵が見つかり、ニホンウナギのふるさとであると目されるようになりました。彼らは遠く南の海で生まれ、稚魚の間に海流に乗って日本へ泳ぎ着き、川を遡上して各地を住処としているようです。
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ニホンウナギ絶滅の日は近い?
そうしたニホンウナギについては、年々減少する漁獲量が問題視されています。2013年には環境省によって、近い将来絶滅する危険性が高い種であるとして「レッドリスト」に登録されました。また、世界の野生動物専門家などで構成される国際自然保護連合(IUCN)も、2014年にニホンウナギを絶滅危惧種に指定しています。
原因の最たるものは、養殖に必要な稚魚の乱獲であると言われています。このままでは価格の高騰だけでなく、うなぎを食べるという文化そのものが失われてしまう恐れもあるのです。
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「うなぎを食べる喜び」を未来の子どもたちに
かつては高級食材だったうなぎですが、今では専門店だけでなくスーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭にも並び、ファストフードチェーンでも安価で食べられるようになりました。うなぎが身近になったことはうれしい反面、流通の拡大がニホンウナギを絶滅危惧種に追いやっているという現実もあります。
ニホンウナギの保護に向けて、漁獲量の調整や稚魚放流といった対策が動き始めています。古くから貴重な栄養源としてきた先人の歩みとともに、個人レベルでも「うなぎを食べる喜び」を、子どもたちに伝えることが必要なのかもしれません。そう考えると、土用の丑の日にうなぎを食べるという習慣も、これまで以上にありがたく感じられてきます。