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自然界の命のつながりの中で

【NEWS大地を守る4月号】豆腐とおからときれいな水と

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早朝、大豆の加熱が始まると工場から湯気が立ち上る。微生物の力で分解された排水は川を経て瀬戸内海へと流れる。

昔から変わらない、いたってシンプルな豆腐作り。何も足さない、そして何も出さない。自然の循環システムの一部となる自己完結型の豆腐店。広島県三原市に椿き家を訪ねました。

椿き家ではおからに豆乳を加えることで昔ながらのおいしいおからを再現する。

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シンプルな豆腐作り支える設備の工夫

大豆と水とにがり。たったそれだけの材料で作られる、正真正銘の本物の豆腐が、椿き家の豆腐です。
椿き家の豆腐作りの工程はほとんど機械化されていますが、その過程はいたってシンプル。12時間から18時間の間、水に浸けられ、柔らかくなった豆は、その後すりつぶされて100度以上まで加熱されます。加熱されたものは絞って豆乳とおからに分けられ、別々の部屋へ。豆乳ににがりを入れて固めれば豆腐のできあがりです。こうして作られた本物の豆腐は、冷やしすぎないで食べるのがおすすめだそう。
多くの豆腐メーカーが使用している消泡剤などの添加物を椿き家では使っていません。消泡剤は豆を煮るときに出る「泡」を抑えるための添加物。泡が出ることによって食感が落ちたり見た目が悪くなったりしてしまうのを防ぐ目的で使われることが多いですが、椿き家では製造設備の工夫で泡の発生を抑えています。
「大豆と水とにがりで豆腐を作る。そうすると、出てくるものは、豆腐とおからと汚れた水だけなんです」
そう説明し案内してくださったのは社長の折笠廣司(おりかさひろし)さん。
おからを32年前から商品化してきました。はじめは周りから「おからなんて商品じゃない、捨てるものだ」と言われたといいます。豆乳固形分を戻し、繊維分を取り除き、おからをおいしく食べられる方法を追求してきました。しっとりなめらかなおからは、今では人気商品。「うちは『おからの椿き家』です」と自信たっぷりに折笠社長は笑顔を見せます。

原料となる大豆。皮や芽をとった脱皮大豆を使う豆腐屋もあるが、椿き家では栄養を残すために丸大豆を使用する。

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微生物の力を借りて排水をきれいに

おからだけではありません。豆腐作りで出てくる「汚れた水」についても、ただ垂れ流すことはしません。
「僕はもともと農業から出発しているので、最後まで自己完結型の企業にしようと思ったんです」
そう説明しながら折笠社長が案内してくれたのは、工場横にある建物。自社で運営している排水処理施設です。大型の浄化槽を備え、工場から出る排水をここできれいにしてから、外に排出しているのです。
水の浄化に使うのは自然界の理論。地域に住んでいる菌を培養し、利用しています。
「牛には胃袋が4つありますよね。食べた草を反芻しながら分解しています。仕組みはそれと同じ。うちの場合は5つの浄化槽で、微生物が分解を進めていくんです」
その上澄みだけが排水になり、絞ったものは肥料になるのだそうです。
浄化槽では微生物たちが常に働いているため、管理には手間がかかります。担当のスタッフが分解の進み具合に常に目を光らせます。
2003年には世界水フォーラムに参加し、社長が自ら作り上げたこの取り組みについて発表しました。
微生物を利用することで、排水路からはヘドロが消え、椿き家からの水が流れる川ではホタルが出るようになりました。

三原市内の山から瀬戸内海の島々を望む。この美しい海を次世代に残すため、椿き家では排水の処理法にも気を配る。

「自然界は培養、分解が基本。山で枯葉が落ちると、微生物の働きで土になる。その菌の恩恵を畑も海も受けています。でも食品作りをやるとどうしても殺菌の方向にばかり進んでしまう。それは人間の都合。それだけじゃ面白くないから、僕は両方やるんです」
始めた頃は保健所にも理解してもらえなかったと言います。やっとわかってもらえるようになったのは、SDGsや「持続可能」という言葉が取りざたされる最近になってから。でも同じことを椿き家では20年以上も前からやってきたのです。大地を守る会での取り扱いは2012年からですが、「大地は僕らのヒーローでしたから、取り引きするのが夢だったんです」と折笠社長は振り返ります。会員さんに人気の山芋とうふなどのバリエーションも増え、椿き家ファンは着実に増えています。

パックに詰められた豆腐はここから全国のお客様の元へと旅立っていく。

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食のあり方生活者に問い直す

折笠社長の生まれは北海道中川群幕別町。実家では折笠農場という農場を営み無農薬でじゃがいもなどを育てていました。そのじゃがいもを販売している中で出会ったのが東京・明星学園の先生たちだったと言います。意気投合し、豆腐を無添加で作る夢を叶えるために研究を始めました。豆乳を均質に炊くなど工程の中で泡の発生を抑え、消泡剤を使わない技術を蓄えてきました。
「儲からなくても意義を見出したらやるべき。それが椿き家の理念です」
そう断言する折笠社長は、現在の食を取り巻く社会が、消費者に迎合しすぎてはいないだろうかと懸念しています。
「それは生活者が意識しないといけないと思うんです。売り方よりも買い方が大事。買い方が世界を変えることに気づいていただきたい」
その思いを広く伝えていくために、2015年からは新たな取り組みも始めました。正しい和食の味覚を伝え育てることを目的に「味覚の学校」を開校したのです。

椿き家の社長・折笠廣司さん。アレルゲン低減化食品の開発を行うまざーずはーとの社長も兼務する。

テーマは「良い食べ物を選び、食べ方を変え、暮らしを変えること」。食材の歴史やそれを育んだ国土や背景まで学び、失われた味覚を取り戻すことを目的にしたスクールです。
和食が世界遺産に指定されたときにふと疑問を感じたという折笠社長。
「各家庭に和食が残り伝わっていれば、それは遺産ではなく日常のはず。いつからか和食は守らなければいけない貴重な存在になってしまったのです」
豆腐とおからと、きれいな水と。本物の豆腐作りは、自然界の命のつながりを、そして食を通じた命のあり方をいま一度私たちに問い直しています。

とろっと食感 山芋とうふ(たれ付き)はこちら
椿き家の有機豆腐セットはこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。