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原材料も製造工程も引き算で

【NEWS大地を守る5月号】神聖なる毎日のパン

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焼き上げられた白神ソフトフランスは、どこか神々しさが漂う。サラの代表作とも言える一品だ。

始まりは、庭先の小さなログハウスから。他社がまねできない「引き算のパン作り」を守り続けるパン工場、サラ秋田白神(東京都八王子市)を訪ねました。

二次発酵が終わると、表面に白神山地の残雪をイメージした粉がかけられ、クープが入れられる。

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作り手の都合より大事なものがある

ラグビーボール形にまとめられた生地の2次発酵が終わると、クープと呼ばれる切り込みが入れられていきます。白神ソフトフランスの特徴であるブナの葉をイメージした模様。このクープを入れることで、パン生地が最適な大きさまで膨らむようになり、いちだんとふっくらおいしいパンが焼きあがるようになります。
スッスッとナイフが入れられていく様子は、手際がよくスピーディー。
計量や分割、成形、それぞれの持ち場で、熟練した職人たちはみな、リズムよく動いています。その様子はまるで、工場長という指揮者のもと、それぞれの楽器が持ち味を生かすオーケストラのよう。
ところどころに機械も使われていますが、「作り手の思いが伝わる手作りの良さは失いたくない」と社長の津田雅俊さんは言います。

くるんと三つ折りにされた生地。これを成形し白神ソフトフランスの形にする。

「サラのパンは、毎日食べていきいき健康になれるパン。家族みんなが笑顔になるパンなんです」
一般のパン工場で使用するもので、同社では使わないものがたくさんあります。その代表が油。パン作りを経験したことがある人ならご存じの通り、パン生地はどうしたってベタつきます。パン生地を入れるケースや天板、食型から取り出しやすくするため、それらに離型油を塗るのが一般的。サラでは、離型油は使わず丁寧に手ではがします。

一次発酵で酵母が糖分を食べてアルコールとガスを出すことで生地が膨らむ。

「作り手の都合で余計なものを足すことはしない。そのための手間ひまは惜しみません」(津田社長)
サラのパン作りの始まりは、家庭の台所。創業者の大塚節子さんが、アレルギーの子を持つ友人のために焼いたパンが始まりでした。「添加物のないパンが食べたい」という友人のため、探し回っても見つからず、大塚さんは自分で焼くことを決意。天然酵母を使ったパンは近所で評判となり、庭先のログハウスでパン屋を開業。1995年のことです。

これが白神こだま酵母。発酵力が強く、国産小麦との相性がいい。

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県外不出だった白神こだま酵母

転機となったのは99年。秋田県で発見された「白神こだま酵母」との出会いでした。大塚さんは新聞記事を読み、世界遺産・白神山地の腐葉土から採取された新種の天然酵母がパン作りに向いていると知ったのです。「この酵母を使ってパンを作りたい」大塚さんはさっそく、秋田県総合食品研究所に電話します。ところが、「県の財産だから」と何度かけあっても断られたと言います。
何度も思いを伝える大塚さんの熱意に、研究所もついに共同研究という位置づけでパンを試作する許可を出しました。

一次発酵が終わった生地を手際よくカット。

1年半の共同研究の結果、大塚さんは「白神こだま酵母技術アドバイザー」を任され、白神こだま酵母の販売代理店として2001年にサラ秋田白神を設立。その頃入社したのが現社長の津田さんです。製造スタッフの一員として八王子の店舗では朝から晩まで働き、秋田にオープンした店舗では店長も務めました。秋田は米どころだから天然酵母のパン屋さんなんかうまくいくはずがない、と言われていたが開店後は連日お客さんがひっきりなしに訪れたそう。
サラのパンは、油だけでなく、卵や乳製品も使っていません。

計量の様子。白神ソフトフランスの材料は、小麦粉、砂糖、塩、酵母、水のみ。

それは白神こだま酵母自体が深い味わいと香りを持ち、さらに小麦の味を最大限に引き出してくれるから。一般的なパン作りで使われることが多いイーストは安定性や発酵力が高い一方で、酵母自体の味わいまでは重要視されていません。
原材料にも製造工程にも、余計なものは一切入れない、「引き算」で作られたサラのパン。炊きたての白米のように毎日食べたくなるその不思議な魅力は、食べ続けてみるとよくわかります。

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創業当初からのレシピを守り抜く

職人のみなさん。左から3番目が工場長の黒須健一さん。

「こういうパンを当たり前に買える世の中にしたい。秋田のお店の立ち上げの時、毎晩クタクタになりながら、そう大塚と熱く話したことを記憶しています」
津田社長は大塚さんを「一言で言えば、肝っ玉母さん。大志を抱いている人です。困難に立ち向かう勇気と、けもの道を走っていく度胸がある」と表現します。現在は会社を離れた大塚さんですが、そのスピリットは現在の津田社長はじめスタッフたちに受け継がれています。特に、大塚さんが生み出した定番品のレシピは「神聖なもの」として創業時から一切変えていません。「家族のためのパン」というルーツを守り続けていることが、何よりの自慢です。

津田雅俊社長(右)と取締役営業部長のサンダース成さん(左)。ガーデンズマルシェ(東京・八王子市)内のサラ ブレッドハウスの前で。

2004年には大地を守る会で販売を開始してから、店頭だけでの販売から販路を広げたことで、より多くの人にサラのパンを届けることが可能に。
大塚さんから受け取ったバトンを、次世代に正しく渡すこと。それが津田社長が目下取り組んでいることです。40人弱いるスタッフは、30代が中心となって活躍しています。基本のレシピは守りながらも、時代のニーズに即したパンの開発も続けています。「バトンを正しく渡すことができれば、僕たちが死んでもサラのパンは受け継がれる。サラのパンを止めたくない。つないでいきたいんです」

オーブンからパンが取り出されると、香ばしい小麦の香りが広がる。


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※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。