フードレポート

有機ってなに? 有機野菜は、なぜ広がらない?

そもそも、有機野菜ってなに?

有機野菜とは、種まき、または植え付け前2年以上農薬・化学肥料不使用の畑で栽培され(※1)、かつ認証機関による「“有機JAS認証”を受けた農産物」のこと。

簡単に言えば……、有機野菜=有機JAS認証 を取得している野菜のことです。

有機野菜には、パッケージに印刷したりシールを貼るなど、この「有機JASマーク」の表示が義務づけられています。いわば、このマークが有機の証です。

有機野菜には、パッケージに印刷したりシールを貼るなど、この「有機JASマーク」の表示が義務づけられています。いわば、このマークが有機の証です。

 

日本では、全体の0.22%しか有機野菜の畑がない現実

「有機野菜使用」、「オーガニック野菜使用」など、最近こそよく目にすることがありますが、じつは日本では、国内の耕地面積における有機の畑の割合はわずか0.22%(※2)。しかも、ここ数年ずーっと0.2%あたりで足踏みしているのが現状です。

一方、有機農業先進国では、イタリア8.6%、ドイツ6.1%、イギリス4.0%、フランス3.6%など、日本の何倍もシェアがあり、カナダ1.2%、アメリカ0.6と欧米諸国より有機農業の普及が遅れています。さらに、韓国1.0%、中国0.4%とアジアと比べても後進国であることがわかります。(※3)

 

有機農業が日本で増えない理由は、生産者がコストとリスクを背負うから

有機JAS認証を取得するには、栽培技術以外にも多くのコストや手間がかかります。認証機関に提出する、日々の栽培日誌や細々とした伝票の管理はもとより、農薬以外の資材(肥料や防虫ネットなど)・畑の周辺環境にも厳密な規定があり、栽培品目が増えれば、その分手間も増大します。

また、毎年更新しなければならない認証の審査費用や、有機JASマークのシール代・パッケージ代などもすべて農家の負担。さらに、農薬の使用が制限されているため、大きな病虫害などが起きれば収穫が半分以下になってしまう場合もあり、経営リスクの点でも常に不安と背中合わせです。

そのため、実際には有機栽培と同等かそれ以上の栽培をしていても、あえて有機JAS認証を取得しなかったり、一度取得しても更新しない生産者が多くいます。日本全体の農産物に占める有機の比率が、わずか0.2%で足踏みしている理由のひとつです。

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有機農業先進国と日本の違い

有機農業を国の政策として定めているヨーロッパの一部の国では、有機農産物には「安全」や「安心」以外の価値があると評価し、有機農業を行なう農家へは補助金を出すなどの制度があります。また、国民の関心と理解が高いのも特徴です。

以前、有機農業の研修でドイツに出かけたことがある天恵グループ(愛知県の大地を守る会の生産者)・津田敏雄さんは、店頭に売られている有機野菜を見て驚いたといいます。

 「虫喰いの野菜や、形が不ぞろいな野菜があたりまえのように売られているんだよ。これが商品になるのか、と店員に尋ねると“これは有機栽培で作られているから、形はどうでもいいのではないか”という返事だった。日本では、安心に加えて一般栽培と変わらない形状のものが求められる。日本で有機農業を一般に販売するためには、虫食いや見た目の美しさに対する意識が変わらないと難しいんじゃないかと思う。」

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現在の日本で、「有機野菜」の販売コーナーを、一般的なスーパーで見かけることはほとんどありません。あってもジャガイモやニンジンなど、品目が限られたものが多いようです。有機野菜は割高になりがちなため、コーナー自体を作らないお店が多いようです。

大地宅配のような、固定価格の取引先を持っていない農家には、手間がかかりリスクが高いだけで、有機JAS認証はメリットがあまりないと言えるかもしれません。

大地を守る会の生産者の土づくり勉強会の様子。

大地を守る会の生産者の土づくり勉強会の様子。

大地を守る会の生産者の中には、農薬不使用で栽培していても、有機JAS認証を取得しない生産者がいます。それでも大地宅配では、自社の「生産基準・取り扱い基準」を設け、たとえ有機JAS認証を取得していなくても、環境保全を重視した農業生産を応援しています。

※一部の作物で法律で認められた有機許容農薬を使う場合もある。

※2.平成26年4月1日現在。資料:農林水産省HP「国内における有機JASほ場の面積の推移」

※3. 資料:IFOAM 「The world of organic agriculture」

 

大地を守る会編集部

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。