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カラダと大地を守るために、食べることからエコシフト。


大地を守る会
藤田和芳

チェルノブイリ原子力発電所の事故を機に、大地を守る会は「有機農業と原子力発電は相容れない」という方針のもと、脱原発運動に取り組み始めました。しかし結果として原子力発電を止めるには至らず、今回は原発事故により多くの放射能が日本のみならず世界に撒き散らされるという残念な結果になってしまいました。いまだ終息が見えない中で、いかに皆さまの健康被害を少なくできるか、農業や水畜産業を存続させられるかという課題に今は全力で取り組んでいるところです。

【1】現時点での当社商品の流通可否判断について

現在、当社商品の流通可否は国の暫定基準値に基づいて判断し、自主測定(サンプリング測定)を行なうことで補完しています。
日本の暫定基準値より低い数値を設定している国があることは、もちろん承知しています。また、放射能には「ここまでは安心」という閾値(しきいち)はなく、本来できる限り被ばく量を少なくすることが予防原則だと思います。子どもには食べさせられないという思いは、充分理解できるものです。
大地を守る会は、平時においては、生活協同組合などの団体(※)と「『六ヶ所再処理工場』に反対し放射能汚染を阻止する全国ネットワーク」を作り、セシウムで37ベクレル/kgを警戒基準として設定し、それを超えた場合に流通可否を検討することとしていました。
しかし事故が起きてしまった今は、苦渋の選択ですが、少なくとも国の暫定基準値を超えた食品は流通しない、ということに責任を持つことから始めざるを得ませんでした。今は独自の流通基準を策定することはできませんが、ずっとこれで良いと考えているわけではありません。独自の流通基準を策定するためには、自主測定体制の確立(とりわけサンプル数を増やすためには測定の速度、安定した結果を得るためには測定技術の習熟など)が必須ですが、残念ながら今はその能力を持ち得ておりません。皆さまに安心できる食べ物をご提供するために、まずは自分たちの手で測定できる体制の確立を進めてまいります。


※生活協同組合あいコープみやぎ、グリーンコープ共同体、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、大地を守る会、特定非営利活動法人日本消費者連盟、パルシステム生活協同組合連合会

【2】自主測定体制の確立

大地を守る会では、2004年から外部機関の「放射能汚染食品測定室」(1988年設立)に依頼して放射能を測定してきました。今回の原発事故を受け、新たな自主測定体制に向けて準備を進め、各測定機器が導入できる最短の日程が決まりましたのでご報告します。

  1. ~4月:既存の体制強化と簡易測定の導入【注1】 ・外部機関「放射能汚染食品測定室」による独自検査の検体数を増やしました。 ・簡易測定器「ガイガーカウンター」による青果物の測定をはじめました。
  2. 4月~5月:簡易測定体制の強化 ・より検出感度の高い簡易測定器「NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータ」を導入します。
  3. 5月~6月:「放射能汚染食品測定室」と同等の測定体制の構築 ・放射性物質(ヨウ素131、セシウム134・137)の種類を特定でき、ガンマ線の検出効率が高い「NaI(Tl)ガンマ線スペクトロメータ」を導入します。
  4. 8月~10月:日本食品分析センターと同等の機器を導入した測定体制の構築 ・核種の特定、数値の正確性が確保される「ゲルマニウム半導体検出器」を導入します。

現在得ている測定数値については、この数値が本当にその地域をあらわすものとして公表に耐えうるのかを検証している段階です。数値の精度が確認できた時点で、開示してまいります。上記の自主測定体制の構築により、さらなる測定技術の習熟、データの蓄積、正確性の検証を行ない、測定結果の報告体制を整えてまいります。また独自の流通基準の策定についても議論を進めます。

内部被ばくによる発がんリスクや健康被害については、放射能はもちろん大きなことですが、農薬も発がん性や催奇形性、変異原性、魚毒性などのリスクがあります。大地を守る会としては農薬の使用を極力控えてきた生産者とともに、放射能についても皆さまが安心できるよう検証を続けてまいります。大地を守る会ができることは、生産者と真剣に汚染実態に向き合い、いかに減らしていけるか、残留農薬の削減を行ってきたように取り組んでいくことです【注2】。そう簡単なことではないとは思います。測定体制の確立だけでなく、放射能を吸収する作物を使って土壌から減らしたり、吸着物質を活用するなど、おそらく可能性のあることすべてを試す長い長い取り組みになると思います。

大地を守る会では、ささやかですが風力発電に投資しておりますが、原子力発電に依存しない社会の実現には、自然エネルギーの活用や節電、省エネ技術の確立などさまざまなアプローチがあります。私たちはこれからも自然や環境と共生し、子供たちの未来のために素晴らしい地球を残していけるよう、皆さまとともにできるところから取り組んで行きたいと考えております。

【注1】既存の体制と簡易測定の限界性 簡易測定器では核種(放射性物質の種類)は特定できませんが、放射線(ガンマ線)量が測定できます。放射線(ガンマ線)量を国の暫定基準値にある核種(ヨウ素・セシウム)の換算係数に当てはめ、最小値を超えていないかどうか測定します。 核種の特定は、外部機関の「放射能汚染食品測定室」に依頼していますが、1検体の測定に数時間を要するため、残念ながらお届けする全商品の測定はできません。傾向を推察するためのサンプリングとして測定します。 専門測定機関への依頼は、行政からの依頼が優先されており、結果が出るまでに数週間かかるケースもあります。今後は、核種が特定できる機器や専門測定機関と同等の検出器を導入することで、測定対象数、スピードを大幅に向上させます。 なお、当社が当面測定する放射性物質は「ヨウ素131」、「セシウム134・137」です。

【注2】風評被害という表現の使用について 「生産者の風評被害」という場合、「いわれのない風評によって流通・販売が拒否されることで生産者に被害が及んだもの」という認識に立っており、「多少でも汚染があるものは控えたい」という消費行動を対象にしたものではありませんでしたが、国やマスコミ・流通等で多用されるなかで、私たちの表現においても、皆さまが不快な思いを持たれるケースもあったかと反省しております。今後はその表現の正確性を期してまいります。





大地を守る会の「スイッチ!電力」宣言

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