ピープル

「マルディ グラ」シェフ 和知さんちの朝ごはん Vol.8

体の中にひとときの涼を呼ぶ、盛夏の野菜

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きゅうりは夏しか買いません

 もうすぐ8月も終わりですが、今年は本当に雨が多い夏ですね。滅多にお日様を拝めず、蝉の声も心なしか寂しそう。何より、野菜の生育不足が心配です。丹精こめた野菜が思うように育たない農家さんの無念はいかばかりか。毎週、手元に届く野菜たちを、ありがたく、おいしくいただこうと思いを新たにしているところです。

   さて、蒸し暑いこの季節、頻繁に使うのがウリ科の野菜。きゅうりやズッキーニなど水分たっぷりの野菜を食べると、ひととき、スッと爽やかな心地になります。子供の頃、夏場のおやつといえば、味噌をつけたきゅうりをかじっていました。当時はこんなのよりアイスが食べたいな、なんて思っていたけれど、暑さで火照った体に水分と塩分補給で理にかなっていたんですね。

 他の野菜や豆腐、卵ともバランスよく組み合わせたいので、たとえば、きゅうりとにがうりが同じ食卓に上がることはあまりないのですが、夏の朝ごはんには、いつも何かしらウリ系の野菜おかずが入ります。

夏真っ盛りの食卓。きゅうりもみ、ゼブラなすの田楽、ピーマンのおかか和え、玉子焼きに、あおさと豆腐のお味噌汁と寝かせ玄米。

なかでも、いちばん登場回数が多いのは、きゅうり。わが家は四葉きゅうりが大のお気に入りで、毎週注文を欠かしません。ゴツゴツした感触とバリッとした歯ごたえに、子供時代に食べていたきゅうりを思い出すのです。前夜のうちに甘酢に漬けたり、みょうがと一緒にラー油和えにしたり。和知が酢の物など酸っぱいおかずが大好きなので、きゅうりもみにするとあっという間に食べてしまいます。

 

きゅうりとグリーンセロリを甘酢漬けに。パリパリ、シャクシャク、箸休めなのに箸が止まりません。

 きゅうりのように一年中販売している野菜も、わが家では夏場しか買いません。逆に小松菜やほうれん草を買うのは冬場だけ。その野菜がいちばんおいしい時季にたくさん食べて満足して、また次のシーズンを待つ、というサイクルが、日々の朝ごはんづくりの楽しみでもあるから。季節を考えず、夏に大根の煮物や、冬にわかめときゅうりの酢の物をつくったら、もっと気楽に献立を考えられるのかもしれないけれど、それじゃあ、なんだか味気ないな、と思うのです。こうして旬のうちに思う存分食べると、不思議と次のシーズンまで体が欲することもないんですよね。きっと、野菜を通して四季のリズムが体に刻まれるのだと。

「日本むかし野菜」シリーズも毎週楽しみ。高山きゅうりでたっぷりときゅうりもみをつくりました。

ズッキーニも、今の季節に楽しみな野菜の一つです。新鮮なものは生のまま薄—くスライスしてサラダにするのもいいし、塊のお肉と一緒に丸ごとローストすると、驚くほどジューシーに。晩ごはんでは洋風に料理することが多いけれど、朝ごはんで食べるときはナムルや煮物が定番。ぐんと太く、身がパツッと締まったズッキーニが届くようになると、いよいよ夏も盛りだなぁ、と感じます。

ズッキーニのナムルは油で炒めるレシピが多いけれど、これはゆでて調味料と和えるヘルシー版。

大ぶりに切ったズッキーニとなすを煮物に。ズッキーニは出汁や醤油とも相性抜群。

  にがうりは、先日、朝から張り切って豆腐やお肉をたっぷり入れたゴーヤーチャンプルーをつくったのですが、大食い夫婦の私たちにも、さすがにボリュームが多すぎました(笑)。さっぱりと、おひたしやおかか和えも箸休めになりますが、この夏つくって好評だったのは、酒蒸しした鶏ささみ入りの胡麻和え。にがうりの優しい苦味と炒りたての胡麻の香ばしさがたまりません。

にがうりはさっとゆでて、鶏ささみの酒蒸しと胡麻和えに。おかずにもおつまみにも。

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 冷や冷やの冬瓜がジワッと沁みわたる

 そして、夏といえば冬瓜。子供の頃は俵のように大きな冬瓜しかなく、切ったら数日間は冬瓜尽くしになるので、ちょっと飽きたりもしていました。大地宅配でミニ冬瓜が買えるので、気軽に使えるのが嬉しい。祖母はいつも、海老や挽き肉など、いろいろなものと煮物やスープにしてくれて、中でもいちばん好きだったのは、油揚げと煮て、とろみをつけたもの。熱々もいいけれど、今回は冷たくしていただきました。かじると、ジワジワと冷たい煮汁がしみ出て、体中を涼で満たしてくれる感じ。

ミニ冬瓜とはいえ、まるまる1個分を煮物にすればけっこうな量なので、食べきらなかった分は、和知の帰宅後の晩酌に再登場。暑い厨房で過酷な労働の後、お風呂でさっぱりと汗を流してから口にする冷や冷やの冬瓜は、ことのほか沁みたようです。しばらく目を閉じて無言になっていました。

油揚げと一緒に柔らかく煮た冬瓜は、吉野葛でとろみをつけて冷蔵庫で冷や冷やに。中年になると、こういうおかずにホッとしますね。

 

Text by 鹿野 真砂美

Photo by 和知 徹

 

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鹿野 真砂美
フリーライター。『dancyu』などの食雑誌ほか、レシピブックの執筆、編集を中心に活動中。『銀座マルディ グラのストウブ・レシピ』、『銀座マルディグラ流 ビストロ肉レシピ』、『銀座ロックフィッシュのストウブ・レシピ』、『銀座レカン 高良康之シェフのフレンチの基本』(すべて世界文化社刊)の執筆と編集、『シャトー ラグランジュ物語』(新潮社刊)、『これだけで、ラクうまごはん』(新星出版社刊)の執筆協力など。
東京都江戸川区生まれ。父、母方の祖父ともに、江戸前の海苔漁師だった。物心ついたころから台所に立つのが好き。十代のころは両親が居酒屋を営んでいたので、家のごはんは祖母と支度をするのが日課。結婚後、和知とのふたり暮らしの朝ごはんでつくる料理の多くは「おばあちゃんの味」がベース。

和知 徹
「マルディ グラ」オーナーシェフ。世界中を旅して、そこで得たヒントを自身の料理で表現するのがライフワーク。雑誌掲載、テレビ出演ほか、レシピの著書、共著も多数。カフェやレストランのメニュープロデュースも手掛ける。

Mardi Gras マルディ グラ
東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビル地下1階
電話 03-5568-0222
営業時間/18:00〜23:00(ラストオーダー)、日曜休み
料理はアラカルトのみ。岩手県山形村産短角牛を使った1キロ超えのビステッカなど、豪快な肉料理はもちろんのこと、パクチーどっさりの香菜の爆弾など、個性あふれる野菜料理も人気。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。