カレーライス作りの授業を通して、命と命、人間と自然の関わりを伝え続けてきた関野吉晴さん。私たち人間はこの先どこへいくのか、次代へとつないでいくべきものははたして何なのか。「食」と「旅」をヒントに、その進むべき未来を語ります。
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人はなぜ食べるのか
藤田 探検に出かけられる時はどんな食料を持っていくんですか。 関野 最低限、米だけは持ってますね。どの穀物がいちばん効率がいいか調べたことがあるんですけど、一番は米でした。 藤田 あとは塩でもあれば? 関野 よく「世界中で何がいちばんおいしかったんですか」と聞かれることがあるんですけど、それは素材だけならパタゴニアのカニとか、アラスカの帆立とかあるけれど、いちどアマゾンにいった時に塩を忘れちゃったんです。10日くらいだから大丈夫だろうと思っていたら、鳥や動物をスープにするんですが、塩なしだとこんなにまずいものかと。あとで塩があるところに戻ってきて、白米に塩かけて食べたご飯がいままでのベスト5に入りますね。 藤田 米と塩の味ですか。まさに日本人の原点ですね。 関野 「衣食住」というけど、人間に取っていちばん保守的なのは食なんですね。日本人でいうと、150年前と同じものを着てる人、あるいは茅葺き屋根に住んでいる人はほとんどいないわけで、でも食は半分は変わってない。 藤田 やはり食が一番命の深いところにに関わっているんですね。 関野 まさにそうで、食べることは生きることであり、食べ物を与えることは生かすことなんですね。【送料無料】おいしい・便利・安心がかなう宅配!まずはお得に、お試しセット1,980円!
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私はなぜ旅に出るのか
藤田 しかし先生はなぜ旅に出たり厳しい環境においたりするんですか。気持ちいいんですか。 関野 こんなこと何の役にもたたない。だけど、馬鹿げたことを大人が真剣にやるってことも必要だと思っていて。 藤田 人にすすめるわけではないんですよね。 関野 ぜんぜん人にはすすめないです。むしろ僕は「こんなに好き勝手で贅沢な生き方をしていていいんだろうか」と後ろめたい気がする時があって。僕はラッキーな人間だと思っているんですね。たまたま豊かな日本に生まれたからこんなことができる。でもラッキーとハッピーはぜんぜん違うと思っていて、僕だけいい思いをしているのがラッキー。でもハッピーと言えるためには周りの人たちもみんながラッキーになって初めてハッピーになれるんです。でも世界はぜんぜんそうじゃないわけで。 藤田 罪の意識みたいなものを感じたわけですか。 関野 罪じゃないですね。コンプレックスというか、こんなことやってていいのかなという。だから医者になったのもそれが一つはあるんですね。探検家になりたいと思ったんだけど、「泊めて下さい」「食べさせてください、何でもしますから」と言っても何もできないんですよ。むしろ森に入るときは足手まといになる。 藤田 研究者、ジャーナリスト、写真家という道ではなく? 関野 僕は旅で知り合った彼らを調査とか取材の対象として付き合いたくなかった。要するに「友達でいたい」という気分があって。 藤田 旅先でどこかに留まって活動することは考えなかったんですか。 関野 旅に出てみてわかったのは、「社会に役立つ」ことが非常に難しいことだということですね。中高生の頃は、世界中を駆け巡って橋や道路を造ったり、石油を日本に持って来てくれる人はすごい人だと思っていたけれども、実際に石油を掘ってる現場に行ってみると先住民は森を荒らされて困ってるわけです。 そうするとそれまで自分が「すごい人」と思っていた人が「ひどい人」になっちゃう。だからよく分からない「社会のため」より、むしろマイノリティーである彼ら友達のために何かしたいという気になります。圧倒的に彼らの生き方のほうが環境にいいし、その気持ちは旅をすればするほど強くなる。【送料無料】おいしい・便利・安心がかなう宅配!まずはお得に、お試しセット1,980円!