道の駅のレストランのメニューもカキづくし!
こんにちは、ライター渥美です。今回は7月初旬に行われた「北海道・厚岸ツアー」の模様をお届けします! 言わずと知れたカキの名産地の厚岸湖。カキを誰よりも愛する私にとって、産地の見学で生ガキ、生産者との交流BBQで焼きカキ、という夢のようなツアーでしたが、その裏にある様々な努力、アイディア、工夫を知るほどに、カキのおいしさもひとしお! そしてカキだけじゃない、新たな“おいしい”試みもあるんですよ~。
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厚岸の「カキキン」さんに習う、カキの“一番おいしい食べ方”
やってきました、カキの特産地、北海道は厚岸湖。まずはそのおいしさをお届けせねば!ということで、カキ生産者「カキキン」中嶋均さんのところにお邪魔し、試食させていただくことに。そして着いた早々手渡されたのは、軍手とカキ剥きナイフ。え? もしかして……?
カキの説明をするカキ生産者・中嶋さん。
「カキの一番おいしい食べ方は、自分で剥くこと!」。
ならば頑張らねば!ということでカキ剥きに初挑戦。まずは貝の平らな側を上にして、軍手をした手の平に。蝶番が「6時」の位置だとすると貝柱はだいたい「2時」の場所にあります。そのあたりの「ここが二枚貝の境目!」と信じた場所に、反対の手で持ったナイフをぐぐっ!っと、貝が砕けるのもひるまず押し込んでゆくと……隙間が!
「そうしたら中を覗いて、貝柱の正確な位置を確認して」。
ナイフを貝の内側に沿わせながら貝柱を探り当て、カット。貝にくっついている周辺のビラビラも軽くこそげて、手でぱかっと貝を開き――ほーらこんなにキレイに!
ふるっふるのカキがお目見え!
なーんちゃって。これは当然「byカキキンさん」で、こちらは身を刺しちゃったり、ビラビラがちぎれちゃったりしましたが、これが結構楽しい。そしてそのままパクッと口に入れると……お~いし~!
ちょっと長めの「マルエモン」は、カキらしい磯の香りとクリーミーさが濃厚。夜のBBQでは焼きカキでいただきましたが、ふるふるっとした食感もたまりません。一方の小ぶりな「カキエモン」はクリーミーなのに上品でクセがなく、いくらでも食べられちゃいそうな。こちらは、中嶋さんが厚岸で初めて取り入れた「シングルシード方式」による、生まれも育ちも厚岸のプレミアムなカキです。
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厚岸湖のカキ死滅!から生まれた「カキエモン」
さて一行は、そんなカキを育む厚岸湖へ。沖にはカキ養殖で一般的な「はえ縄」が、水面に平行に何本も張ってあります。ここからさらに下垂した無数のロープに、カキを定着させたホタテの貝殻が何枚も括り付けてあります。
一面に広がるカキ養殖場。
見せていただいたのは昨年仕込んだ1年物のカキ。はえ縄は持ち上げると船が傾くほど重く、引き上げたホタテ板には大きなカキがびっしりとついています。このままでさらに育ててもいいのですが、この時点でバラして養殖籠に移すという生産者さんも。手間はかかりますが、殻の形が良くなり、籠の中で転がることで殻の付着物も取れ、生食用としての付加価値がつくのだそうです。
重いはえ縄を力強く持ち上げる、カキ生産者・溝端さん。
「カキエモン」は、そうした価値をさらに高めたカキと言えるかもしれません。
実は日本のガキの8割以上は宮城県から「種ガキ」=稚貝を買い、産地で養殖したものなのですが、「カキエモン」は稚貝も厚岸生まれ。コストも手間もかけて「種ガキ」生産に踏み出した理由は、昭和57~58年の冷夏による厚岸湖のカキの死滅にありました。本州生まれのカキは、厚岸の寒さに耐えられなかったんです。そしてこの開発を厚岸初の「シングルシード方式」で実現したのが、「カキキン」の中嶋さんです。
「厚岸生まれ、厚岸育ちのカキを作りたかった」と中嶋さん。
種ガキが採れる天然環境は限られており、厚岸では水槽で作るのですが、幼生をホタテ板に定着させる従来のやり方では大きな水槽が必要です。一方の「シングルシード(一粒種)方式」では、ホタテ貝殻を幼生1つしか付着できないサイズ(0.35mm)にまで粉砕し、小さな水槽で効率よく作ることができるのだとか。ホタテ板とは異なり360度自由に成長できるので形が丸くなり、さらにこれを養殖籠で育てることで、生食向きの美しいカキが完成するわけです。
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極上の生食アサリを、クラムマットで生産?!
その中嶋さんが次に挑むのが、フランスなどでは一般的な「生食あさり」。実は生ガキ試食の際、アサリも生食させていただいたのですが、ヒモの歯触りはサクサクで身は驚くほど甘く、カキに負けないそのおいしさに衝撃を受けました。今回のツアー最大の目的、説明会の記事でもご紹介した「クラムマットによるアサリ着床実験」も、そんな「厚岸のおいしいアサリをたくさんの人に食べてほしい!」という思いから始まっています。
「クラムマット」とは?
小さな身から濃厚なうまみが口の中に広がります。
さてそんなわけで、一行を乗せたボートはアサリ場(砂州)へ。見渡す厚岸湖一面に広がるのは、流れにゆっさゆっさと揺れるアマモです。6月にはもっと青々と生い茂り、厚岸湖がまるで草原のように見えるんだとか。クラムマット実験のためにやってきたNPO法人海辺つくり研究会の「アマモLOVE」な森田さんは、身を乗り出してアマモを口に入れてみたりしています(アマモは甘藻、根元が甘いんだとか!)。このアマモが珪藻類や小さな生物のよりどころとなり、生れる豊かな生態系がおいしいアサリやカキを育んでくれるんですね~。
こんなに長いアマモが多くあることは珍しいそう。
クラムマットによるアサリ着床実験をご指導くださる森田さん(左)。
到着後、森田さんの指導の下、5つのチームがクラムマットを設置しました。
①干潮時にもやや水をかぶる場所(「カキキン」中嶋さん)
(森田コメント:最高の場所。稚貝がつけば、成長は早い)
②砂州内の水たまりの脇(「成清海苔店」成清さん&「ドラゴンフライ」間山さん)
(森田コメント:稚貝が流れされてくる場所。早い段階で大きいものがつく可能性大)
③長く伸びた「砂州の尻尾」のような場所の先端(ツアー参加者・梅沢さんご夫妻)
(森田コメント:いろいろなものが集まってきやすい場所。なかなかいい選択)
④砂州の真ん中の平らなところ(森田さん)
(森田コメント:稚貝はつくとは思うが、生育はあまりよくないかも)
砂に似せたセラミックのペレットに、砂粒の陰が好きなアサリの稚貝が着床するという仕組み。
クラムマットを設置する”生産者班”・成清海苔店の成清さんとドラゴンフライの間山さん。
そしてわれら「大地・取材班」が設置した場所は――
⑤砂州がうねって周囲にアオサがある砂州のキワ(大地・取材班)
(森田コメント:潮の流れで環境が変わる可能性大。最も厳しいところ)
という森田さんをはじめ、居合わせた海の男たちが「ここはイカン……」とこぞってダメ出し……。でも「実証実験は、ダメそうな場所に置くことも大事」(森田さん)。
有明海ではクラムマット1枚で10kg、1平米で30kgのアサリが着床した場所もあったのだとか。結果が出る3年後には、浴びるほどの生食アサリが食べれるかも!と一発逆転を夢見て、楽しみに待ちたいと思います~。
3年後の結果はいかに!
(取材・文)渥美志保
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