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需要の減少で放棄された牧場に木を植えました

幻の短角牛が牧場を駆け回る。 年に一度の山上げを見た!(後篇)

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植林②

牧場を駆け回る短角牛の山上げの見学を終えたツアー一行は、翌日今回の企画のもう一つの目玉、植林を行いました。短角牛にとって大切な牧場に、なぜわざわざ木を植えなくてはならないのか? 短角牛が抱えるもう一つの現実について考えてみます。

 

飼育頭数減少で放棄された牧場に木を植える

冬、人里で生まれ、夏は広々とした牧場で育てられる幻の牛・短角牛。生産頭数は国内の和牛のわずか1%足らず。短角牛は、年々飼育頭数が減少し、ピーク時の飼育数の約3分の1以下になっています。減少の理由は、高齢化による生産者の減少などが挙げられますが、やはり1991年から始まった牛肉の輸入自由化が大きく響いています。

2009年に短角牛の牧場としての役目を終えた成谷牧野(なりやぼくや)。2012年から、大地宅配の社員と会員、そして地元の方が一緒に、需要が減って放棄された牧場に植林を始めました。

4年目の今年は暖かくなるのが早かったため、これまで見られなかったつつじも開花。山桜と新緑の淡いコントラストが美しい景色も、はっきりとしたオレンジ色の山つつじの色が華やかな風景になりました。

大きく育てよ~。想いをこめながら各自植林に打ち込みました。

大きく育てよ~。想いをこめながら各自植林に打ち込みました。

地面に鍬で穴をあけます。指導者の慣れた腰つき。

地面に鍬で穴をあけます。指導者の慣れた腰つき。

4年もたつと、着実に大きくなり、少しずつ森が育っているということを実感できます。1~2年目のときとは明らかな変遷をみることができました。植林という長いスパンの活動ですが、地道な取り組みならではの喜びがあります。昨年植えたものの、野ウサギにかじられ枯れてしまった木は抜き、新しい苗木を植え直します。牧草がびっしり生えていて、地面を掘るのも一苦労。こうして汗をかきながら参加者全員それぞれに木を植えました。

2012年の植林。まだ苗木もほっそりとしていました。

4年前に植えた広葉樹も大人の身長程の高さに成長しました。

4年前に植えた広葉樹も大人の身長程の高さに成長しました。

野ウサギにかじられ枯れてしまった木

野ウサギにかじられ枯れてしまった木。

 

植えられた苗木のもう一つの物語

今回植えたコナラの苗木には、裏話がありました。昨年の7月14日、いつも成谷牧野の植林の指導をお願いしている岩手県野田村の方から、連絡がありました。

「野田村の方でコナラの苗を作り自分の山に植える予定が、家族が亡くなって、その苗を全て焼却するという話があります」。地元で引き取り手が見つかれば良かたったのですが、震災後、復興作業が急ピッチで進む東北地方。特に津波の被害の大きかった海岸線の住民は植林どころではありません。人手が足りず、植え先を失ったコナラの数は約2000。もちろん、私たちのツアーだけではとても植えきれません。

そこで、私たちは、いろいろなつてを頼って、コナラの植林先を探しました。

コナラを引き取ってもいいと名乗りを上げてくれた方たちがいました。なんと700km以上も離れた神奈川県の秦野市森林組合。昨年の10月末に秦野市森林組合の方がトラックで現地に駆け付け、約1800本のコナラを引き取ってくれました。今年の5月23日、そのコナラの苗を、秦野市森林組合の皆さんと一緒に丹沢の山に植えることができました。

秦野森林組合のトラックに大切な苗木を積み込みました。

秦野森林組合のトラックに大切な苗木を積み込みました。

ここにみんなで植林を行いました。

ここにみんなで植林を行いました。

短角牛をめぐる、生産者、消費者、地元の人たちの様々な想いで、焼却されそうになったコナラの苗木が丹沢と山形町の山に植えられました。短角牛の消費者と生産者の縁で、700kmも離れた地で根付いた2000本のコナラたち。50年後~100年後、それぞれの地で立派な森に育ってくれることを願ってやみません。

幻の短角牛が牧場を駆け回る。 年に一度の山上げを見た!(前編)

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。