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人間と同じ、作物にも基礎体力がある

【NEWS大地を守る9月号】高知、薫る新生姜

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大地と自然の恵み代表の小田々智徳さん(中央)、息子の仁徳さん(左)、
入社3年目の林貫太さん(右)

夏から秋にかけての一時期だけ お目にかかることができる、新生姜。みずみずしい味わいを今年も待ちわびている人は多いでしょう。生姜の一大産地、高知県で有機農業を営む 小田々智徳(おだたとものり)さんのもとを訪ねました。

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生姜は水が大好きなんだ

太陽が昇り、心地よい風が吹く朝7時。朝露が下りて青々としている生姜の葉をかき分けて、ハウスの中を3人が進んでいきます。手作業で土の中から引き抜き、葉の部分を切り落とし、新生姜を収穫します。
新生姜は、夏から10月頃にかけて収穫する白い生姜。生姜は連作障害が起きやすいため、一度生姜を栽培した土で再度生姜を栽培することは避けられています。一般的には4〜5年空けることが多いと言われますが、この畑で生姜を作るのは実に20年ぶりとのことだそうです。

生姜担当の林貫太さん。敷かれているワラは、草よけと乾燥防止のため。

「久しぶりだから生姜がきれい」
満足そうな笑顔でそう話すのは生産者である「大地と自然の恵み」代表の小田々智徳(とものり)さん。息子の仁徳(まさのり)さんが新生姜を引き抜き並べると、父の智徳さんがていねいにそして手際良く、葉を切り落とします。まだ土がついたまま新生姜をケースに入れているのは、入社3年目の若き生姜担当・林貫太さん。
高知県香美市香北町。高知の3大米どころの一つでもあるこの地域。物部川流域は全国有数の多雨地域としても知られ、山間部の多いところでは年平均降水量が3000ミリにも達します。
近年ではゲリラ豪雨など雨による災害ばかりに目が向けられがちですが、高知を生姜の一大産地たらしめているのは、この雨の恵みがあるからなのです。

美しい高知の山々に囲まれた畑と、作業中のスタッフの皆さん。
香美市を流れる物部川。雨が多く、生姜の栽培に適した土地だ。

「生姜は水が大好きです。でも多すぎても水太りしてしまう。だからこそ観察が大事。朝露が降りているか、葉水が上がっているか、そういうことを観察して判断するんです。管理は先行でやるもの。農業は必ず前向きにだけ物事を考えます。1ヶ月後をイメージして管理する」(小田々さん)
収穫が終わった新生姜は出荷場へ運ばれ、水洗いをした後、パッケージに入れられます。機械での水洗いですが、水圧が強すぎると傷がついてしまうというほど繊細な新生姜なので、弱めの水圧で二度洗いします。土が落ちた新生姜たちは、白とピンクがより一層際立ち、清々しいたたずまいです。

水洗いが終わった後の新生姜。色合いが美しい。
機械を通して水洗いをする。傷がつかないように弱い水圧で二度洗いが基本だ。

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自然は手加減してくれない

この間、畑のほうでは炎天下の作業が続いています。この日は畑に防風ネットを張る作業。これから来るであろう台風に備え、茎が倒れてしまわないように拠り所となるネットを張るのです。
「高知では、台風とどう付き合うかは大事なこと。自然は手加減してくれません。今回は準備が間に合ってないみたいだから、と台風が弱くはなってくれないでしょう? 有機農業に皆さん〝癒し〞のイメージを持っているかもしれないけど、そうじゃない。ダイレクトに自然と向き合わなきゃいけないんだから。厳しいですよ」
そう語る小田々さんが、「ビジネスとして成り立つ有機農業をしたい」との思いから同社を設立したの は1996年、37歳のときだったと言います。1代でここまで会社を大きくし、大地を守る会との取り引きも30 年以上に渡ります。積み重なった出荷用のダンボールには、「健全な畑と作物は手間ひまかかる。」という文字が印刷されていました。核にあるのは有機農業に対する確固たる信念です。
「病害虫に対して、すぐに農薬を使うのは、対症療法。この病気にこの薬剤、では知識しか残りません。それよりも大事なのは応用力。人が病気になったときも、薬を与えるより大事なのは患者の基礎体力でしょう。作物にも基礎体力がある。それを考えて環境を整えるのが農業者の仕事だと思う。人間でいう体力に当たるのが、地力、土の力です」

畑から引き抜かれたばかりの新生姜。

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オンリーワンの存在になろう

28名いる社員は平均30歳前後で、入社時には本格的に農業をやったことのない人も多いと言います。単に給料をもらうだけでなく、仕事にやりがい、生きがいが見出せるように。そのためにも会社がオンリーワンの存在、「ブランド」にならなければならない、と小田々さんは考えています。ウェブサイトを充実させたり、サイトを訪れてもらうための二次元バーコードを商品パッケージに印刷したり。自分たちの作る野菜のファンを増やすための活動も力を入れてきました。おいしい食べ方を紹介するレシピ記事、日々の畑や作業の様子を綴ったスタッフブログ。
「値段の裏側に担保されたものが見えないといけないと思うんです。自分たちだけが幸せになってもしょうがない。作ってよし、運んでよし、買ってよし。生産、流通、消費と有機農業に携わるすべての人が恵みを得られるのが理想です」(小田々さん)
作り手の顔が見える野菜に、着実にファンは増えてきている実感があると言います。

一つひとつの作業はていねいで無駄がない。

ところで小田々さん、旬の新生姜が自宅に届いたら、どうやって食べたらいいでしょうか?
「新生姜は乾燥に弱く、日持ちしないので、保存は冷蔵庫で。おすすめはやっぱりガリですね。スライサーではなくよく切れる包丁でなるべく薄く切ったら、塩で軽く揉み、米酢に一晩つけてください。甘いのが好きなら、らっきょう酢でも。かき揚げもいいけど、水分が多いのでやっぱり酢ものが合いますよ」
生姜は、加熱して食べる場合は体を温める効果があると言われますが、生でとる場合はその効果が変化し、体を冷やしてくれる効果があると言われています。酢漬けの新生姜は全体がほんのりやさしいピンク色で、背筋が伸びるようなピリッと爽やかな風味。夏の疲れがたまった体が喜ぶ、みずみずしい味わいです。

若いスタッフが多く、炎天下でも元気いっぱい。中にはベトナムからの技能研修生も。


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※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。